• 作成日 : 2023年8月25日

経理代行とは?サービス内容やメリット、選定方法をわかりやすく解説!

経理代行とは?サービス内容やメリット、選定方法をわかりやすく解説!

会社の記帳や年末調整などの業務を、外部の経理代行サービスと契約し委託するケースがあります。経理業務を社内だけでこなすことが難しい企業にとって、経理代行サービスは必要な部分だけをスポットで利用できるという点で利便性のあるサービスです。今回は、経理のアウトソーシングである経理代行とは何か?利用するメリットや利用した場合のコストについて解説していきます。

経理代行とは

「経理代行」とはその名の通り、会社の経理業務を代行するサービスです。会社の経理業務は経営者あるいは経理の経験や知識をもつ経理担当者が行うのが一般的です。

しかし、経営者の業務が多忙である、事務員がいない、経理知識が乏しいなどの理由により社内で経理事務を行えないケースがあります。また、自社で処理するより外部に委託したほうが効率的だと考える経営者の方がいるかもしれません。

このようなニーズに応えるため、経理業務を会社に代わって代行する経理代行サービスを提供する企業があります。

経理代行サービスに含まれる業務

ひとことで経理業務といっても、会社にかかわる経理には実にさまざまな業務があります。
経理代行サービスが提供する代行業務を一つずつ解説していきましょう。

記帳業務

売上や仕入、預貯金の動きや経費の支払いなど、日々の営業取引を簿記手順に基づき帳簿に記入する業務を「記帳業務」といいます。青色申告をしている法人や個人事業者であれば、複式簿記による会計処理を行わなければなりません。

記帳業務には複式簿記の基礎知識が必要です。雇用している従業員に簿記の知識がなければ習得させるか、あるいは簿記の知識をもった従業員を新たに雇用する必要があります。

教育にかかるコストや時間、新規に雇用する従業員にかかるコストなどを総合勘案した結果、外部の経理代行サービスに業務委託したほうが有利と判断する場合もあるでしょう。

経理代行サービスでは、請求書領収書、通帳などの書類を提供すると、仕訳の起票、総勘定元帳や売掛帳など帳簿などへの転記、月次決算である試算表の作成までを代行します。

給与計算

役員や従業員に対する役員報酬や給与は毎月発生するので、その都度計算しなければなりません。給与計算には社会保険や労働保険、所得税や住民税などさまざまな知識が必要です。

そこで、毎月のタイムカードなどの勤怠情報や扶養親族の情報を経理代行サービスに提供して、給与計算の代行を依頼します。

年末調整

会社が従業員を雇用し給与を支払っている場合、会社には源泉徴収義務が生じます。年末調整は、給与から源泉徴収した所得税の精算業務であり、大事な経理業務の一つです。

年末調整では、年間の給与支払額にかかる資料(賃金台帳など)と、従業員が記入した「扶養控除等申告書」「生命保険料控除申告書」「基礎控除等申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除等申告書」の3つをあわせて提出します。

経理代行サービスでは、これらの書類をもとに従業員一人一人の正確な所得税(年税額)を計算し、源泉徴収した所得税の過不足を精算します。

決算書の作成

会社は年に一回「確定申告書」を作成し、税務署に提出しなければなりません。決算には簿記の知識に加えて専門的な税法の知識も必要です。そのため一般の方が自ら決算を行うのはハードルが高い業務です。

経理代行サービスに月次の記帳業務を委託しているのであれば、決算業務までをあわせて委託可能です。決算書の作成から、申告書の作成、納付税額の計算までが代行されます。

経理代行サービスの依頼先

では経理代行サービスを提供している会社にはどのような種類があるかについて解説します。

税理士事務所・会計事務所

経理代行サービスでポピュラーなのが税理士事務所や会計事務所と顧問契約を結び、記帳業務から決算申告までを一括で依頼するケースです。

税理士は会計や税務申告のプロですから、会社の経理事務の全てをカバーしてもらえます。また、負担が大きい社内業務の一部だけを税理士事務所に委託することも可能です。

経理代行会社

法人税や所得税などの税額を確定させる行為は税理士の「独占業務」のため、無資格の経理代行会社では単純な記帳代行までしか依頼できません。

しかし、経理代行会社には社内税理士や公認会計士が所属するケースが多いです。税理士事務所や会計事務所と同様、記帳代行から税務申告までを一括依頼できる会社もあります。

経理代行サービスを導入するメリット

経理代行サービスを導入するメリットについて解説します。

経理業務にかかるコストを削減できる

経理業務全般を社内の従業員だけでこなすためには、従業員に会計や税法に対する充分な知識が必要です。経理に精通した熟練の事務員がいれば別ですが、社内に業務をこなせる従業員がいなければ、外部から新たに人員を採用しなければなりません。

専門知識をもつ人員であれば人件費も安くはなく、経理業務のためだけにわざわざ人員を増やさなければならないのでコストも増加します。

その点、経理代行サービスであれば、業務をスポットで委託する形です。常時雇用する従業員を抱えるよりコストを削減できます。

コア業務へ集中できる

マイクロ法人のように経営者自身が経理業務を兼務している場合や、経理担当の従業員がほかの現場業務も兼務しているような場合があります。経理業務の負担が大きく本来のコア業務に集中できない場合には、経理代行サービスが便利です。

企業は常に活動しているため、それにともなう記帳業務も毎日発生します。経理代行サービスに全て委託すれば、日々の記帳業務から解放されコア業務に集中できます。

専門知識に基づくサービスが受けられる

自社だけでは、節税に対する知識をもって会計処理や税務申告を進めることは難しいでしょう。その点、経理代行サービスを提供する会社には専門的な知識をもっている方がいます。
単純な記帳代行だけではなく、節税など会社にとって有利な選択についてコンサルティングを受けながら経理業務が行えます。

経理代行サービスを導入するデメリット

中小企業、特に人員の少ない会社にとってメリットの大きい経理代行サービスですが、デメリットもあります。

経理代行サービスに支払うコストが発生する

経理専門の従業員を雇用するよりコストが抑えられる経理代行サービスですが、コスト的なデメリットが発生することがあります。

経営者自身が経理業務を兼務していたケースでは、もともとなかったコストが追加で発生します。また、年末調整や給与計算まで一切の業務を全て委託した場合、パートタイムで経理事務を雇用したほうが格安になるケースも考えられます。

社内に経理事務のノウハウが残らない

経理事務に限らず、社内業務は一般的には熟練者から新卒者に指導していく形で社内にノウハウとして蓄積していくものです。経理代行サービスを利用すれば一時的には業務が楽になります。しかし、そのノウハウはあくまで外部にあるため社内には残りません。

結果として、継続して代行サービスを利用し続けざるをえなくなる可能性があります。

経理代行サービスの選定ポイント

経理代行サービスを提供している会社は多数ありますが、そのなかでも選定するためのポイントについて解説します。

サービスや指導がきめ細かいこと

経理業務は会社の財務的な機密部分ですから、本来は社外秘の情報ばかりです。経理代行サービス会社を利用することにより社内の重要な部分を見せることになります。そのため、書類の整理方法や経理処理の誤りなど、きめの細かい指導をしてくれる会社を選定する必要があります。

情報提供が迅速であること

月次決算は、最新の財務情報を知り経営方針に生かすためには欠かせないものです。それだけに、情報は常に新鮮でなければなりません。経理代行が完了した時点で迅速に月次決算の結果を返してくれる代行サービスを選定すべきでしょう。

コンサルティングを受けられること

経理業務をしていれば、今年の決算が黒字なのか赤字なのかがおのずと見えてきます。経理代行サービスであれば、月次処理の段階で損益をある程度把握できます。決算を見据えて月次処理の段階から適切なコンサルティングを提供してくれる会社を選定しましょう。

経理代行の導入の流れ

経理代行を実際に導入する際の流れを見ていきましょう。

1. 業者選定・問い合わせ

最初に、上述の「経理代行サービスの選定ポイント」を参考に、サービス業者を選定し、問い合わせをします。問い合わせ方法は電話やメール、フォームなどが一般的です。

問い合わせでは、相談日を予約します。この時点では、業者は3社程度の候補を上げ、見積もりが出た時点で1社に絞るのが良いでしょう。

2. 相談・ヒアリング

相談は、初回は無料としている業者もあります。会社や事業の概要、経理の現状などを話したうえで、どのような課題を解決したいのかを相談しましょう。

3. 提案・見積もり

相談で話した内容をもとに、業者が経理代行プランの提案と費用の見積もり提示を行います。提案・提示されたプランの内容・見積もり金額を参考に、どの業者にするかを決めましょう。

4. 契約成立

導入を決めた業者と契約します。契約に際しては、どの範囲について委託するのか、どのようなルールに基づくのかを細かく確認しておきましょう。これら詳細の確認は、あとでトラブルにならないよう、念入りに行うことが重要です。

5. 必要書類の確認・初期設定

契約したら、経理代行サービス業者は、必要な資料の確認と会計ソフトの初期設定を行います。必要な資料は毎月確実に送付できるよう、作成・送付の体制を整えましょう。

6. 業務開始

資料確認・初期設定が完了すれば、移行期間を経て業務開始となります。業務が開始されてから、業者から読み取りが難しい資料の読み方や、証憑書類が存在しない処理の定義などについて問い合わせを受けた場合は、その都度しっかりと答えていくことも大切です。

マネーフォワード クラウドなら経理業務を簡単に自動化!

ここまで経理代行サービスを利用するケースを紹介してきました。しかし、経理代行サービスを利用するコストを抑えて自身で経理業務を行いたい、社内に経理業務のノウハウを残したいという経営者の方もいるのではないでしょうか。

そのような方に、経理代行を依頼しなくても経理業務を簡単に自動化できる「マネーフォワードクラウド」を紹介しましょう。

「マネーフォワードクラウド」はクラウド型の経理ソフトであり、誰でも簡単に伝票の起票ができます。伝票入力さえ行えば総勘定元帳や出納帳への転記処理は自動で行ってくれますし、月次試算表や決算書までご自身で作成できます。

自計化を目指す経営者の方は「マネーフォワードクラウド」の導入を是非検討してみてはいかがでしょうか。

経理代行を契約する前に依頼先をきちんと検討しましょう

経理代行サービスを利用することは、財務的な機密部分を見せることを意味します。コストをかけて利用するのですから、質の高いサービスを提供してくれる会社を充分検討してから委託することをおすすめします。


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