- 更新日 : 2026年1月27日
年商と年収の違いとは?中小企業が信頼できる取引先を見分けるために
メディアで企業の規模を表す際によく用いられる「年商」ですが、これが何を意味するかはご存知でしょうか。
年商が1億円を超えているからといって、必ずしもその企業がそれだけの利益をあげているとは限りません。今回は、「年商」の意味と「年収」との違い、さらには年商以外にも企業の信用を表す財務的な安全性をご紹介していきます。
年商と年収の違いとは?
まず、「年商」についての意味ですが、年間を通してのその事業の売上のことを年商と言います。つまり、「年商1億円の企業」といえば、年間の売上が1億円の企業ということになります。
しかし、企業の売上だけでは、その企業が利益をあげていて、信用できる企業かどうかは判断できません。売上は何十億とあがっていても赤字の企業も存在するのも事実です。
それに対して、年商とよく混同されるのが年収です。年収については、年間を通してのその人の所得です。個人事業主の場合は、その事業の利益に相当する所得金額であり、中小企業の経営者の場合は、役員報酬の年間合計額です。中小企業の役員報酬についても、企業の利益の金額と連動して設定されることが多いことから、年商と比較して年収の方が企業の実態を表す数字であると言えるかもしれません。
年商だけでは不十分! 信用できる企業の見分け方とは
先述した通り、年商については企業の売上を表すだけのものです。したがって、年商ばかりを誇張する企業には注意が必要です。いくら年商が高くても、それはあくまでも売上規模が大きいだけであって、信用できる企業とは言えません。
では、取引する上で、信用できる企業とはどのような企業でしょうか。どのような数字を確認する必要があるのでしょうか。こちらについて財務分析の安全性という考え方から見ていきます。
中小企業の取引について、最も避けなければならないことの一つは、キャッシュの入金が遅れることです。サービスや商品を提供したにもかかわらず、その代金が期日になっても入ってこないという状況は、自社の資金繰りに大きな影響を与えます。
財務分析の安全性分析は、その重要な「キャッシュの支払能力」を重視して企業の安全性を分析します。安全性分析に用いられる指標のうち、特に重視されるのが自己資本比率です。
自己資本比率(%) = 自己資本(純資産) / 総資本(純資産+負債) × 100
自己資本比率とは、その企業の総資本のうち、どれくらいの割合が自己資本であるのかを表す指標です。すなわち、現状の資産(現預金・設備など)の源泉は自己資本(資本金として出資した金額と、企業活動によって得た利益)であるのか、あるいは他人資本(銀行からの借入など)であるかを表しています。
例えば、銀行からの借入が多くて自己資本比率が低い企業は、その借入条件の変更などがあった場合にキャッシュが回らなくなってしまう事態に陥る可能性があります。
すなわち、自己資本比率が低い企業というのは他人資本によって大きく影響されるケースも考えられるため、安全性が低いということになります。
そういった面も含めて、この自己資本比率というのは高いほど安全な企業だと言えます。業種や企業形態などによっても異なりますが、一般的には50%以上が優良な企業であり、10%未満の場合は安定性のない企業だと言われています。
その他にも、安全性分析には「流動比率」や「固定比率」など、さまざまな指標があり、そのような指標から総合的に企業の安全性を判断することになります。(安全性分析についてより詳しく知りたい方はこちらから)
もちろん、このような指標については、その企業の財務諸表(損益計算書や貸借対照表)を確認しなければ正確には分かりません。基本的には上場企業でない限りは財務諸表を公開していることはほとんどありませんので、取引先の企業について調べたとしても数値は分かりません。
この安全性分析の概念を意識しておくことで、取引先の企業の状況について、年商などのあいまいな指標だけではなく、キャッシュの支払能力という概念から信用できる企業なのかを判断しようとします。あるいは、逆に取引先や銀行などから信用されるために、自社の財務的な安全性を高めることの重要性についても気付くことになるでしょう。
財務的な安全性を高めることで、銀行からの融資が受けられるだけではなく、これまでよりも大きな仕事や継続的な案件を得られるチャンスにつながるかもしれません。
まとめ
最後に、今回のポイントについてまとめておきましょう。
・年商というのは、その事業の年間での「売上高」であり、利益の金額とは異なる
・信用できる企業を見分ける一つの手段として、安全性分析がある
・安全性分析に用いられる指標を意識して改善することは、自社の信用を高める上で有効である
信用できる企業を見分けることは難しいことですが、「年商」などの一つの要素で企業を見るのではなく、今回紹介した安全性分析も含めて、財務的な観点から総合的に判断することが重要です。
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