• 更新日 : 2025年9月9日

資金繰りのアドバイスをもらえる7つの相談先を紹介|相談にかかる費用はいくら?

資金繰りとは、会社の支出と収入を管理して収支の過不足を調整することです。会社を経営するにあたって、資金繰りの管理は重要なポイントです。

ただ、「資金繰りが悪化してきたため、外部に相談したい」「財務状況を踏まえて具体的なアドバイスをもらいたい」などと考えている企業の経営者や役員もいるでしょう。

そこで本記事では、資金繰りについてアドバイスをもらえる7つの相談先を紹介します。相談先ごとの費用相場もまとめています。

資金繰りについて相談すべき会社の特徴

資金繰りについて相談した方が良い企業の特徴を以下にまとめました。

  • 自転車操業の状態にある
  • 多くの売掛金を抱えている
  • 長期的なプロジェクトに参加している
  • 大きな成長や事業拡大を目指している

資金繰りが悪化しており自転車操業の状態にある企業は、すぐにでも外部の機関や専門家へ相談した方が良いでしょう。小手先の対応だけで回復できる状態ではない可能性が高いため、第三者に介入してもらうことをおすすめします。

また、多くの売掛金を抱えている企業も、一度相談してみると良いでしょう。売掛金の振り込みは30日〜60日後であることが多いため、売り上げがあるにもかかわらず資金不足に陥る可能性があります。資金繰りの悪化を防ぐためにも、取引先ごとの売掛金を整理してみましょう。

そして、長期的なプロジェクトに参加している企業や事業拡大を目指している企業も、専門家へ相談することを推奨します。大規模なプロジェクトや事業拡大には多額の資金が必要となることが大半であるため、資金調達の相談とあわせて資金繰りについてアドバイスをもらっておくと安心です。

資金繰りについてアドバイスをもらえる7つの相談先

資金繰りについてアドバイスをもらえる相談先を7つ紹介します。

1. 日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、民間の金融機関の取り組みを補完しつつ、事業を営む人々を支援する機関です。株式会社日本政策金融公庫法に基づいて活動を行っており、国が株式の100%を常に保有することが認められている特殊法人です。

主に企業への融資を行っていますが、事業計画や経営課題などに対するアドバイスやセミナーの開講なども実施しています。実際に相談したい場合は、対面・オンライン・電話のいずれかで対応してもらえます。

日本政策金融公庫には中小企業や個人事業主向けの融資制度が豊富にあるため、経営に関して相談するだけでなく資金繰り改善に向けて借り入れしたい企業におすすめです。

参考:日本政策金融公庫

2. 商工会議所

商工会議所は、商工業の発展と社会福祉の増進を目的に活動する会員制の総合経済団体です。商工会議所法という法律によって設立された特別認可法人で、東京や大阪など全国各地に商工会議所があります。

日商簿記の検定試験を実施しているのが特徴で、他にも資金調達や販路開拓などの相談に対応したり会員同士のビジネス交流会を開催したりしています。相談したい場合は対面もしくはオンラインで可能ですが、事前に予約が必要です。

商工会議所には経営相談員が在籍しているため、会社の資金繰りや経営状況についてじっくり相談したい人に向いています。また、必要に応じて中小企業診断士や社労士などと連携することもできます。

なお、同様の団体として商工会があり活動内容も商工会議所と似ていますが、商工会は特に小規模事業の支援をしているのが特徴です。

参考:日本商工会議所

3. よろず支援拠点

よろず支援拠点は中小企業庁が設置した経営相談所で、47都道府県に支援拠点があります。

無料で何度でも相談できるのが特徴で、さまざまな分野に精通した専門家が在籍しているため本質的なアドバイスをもらえます。経営改善、売上拡大、海外展開、創業など経営に関することであれば何でも相談可能です。ただし、相談するには、ネットや電話で事前に予約が必要なため注意してください。

よろず支援拠点は、資金繰りや経営課題に関して成果が出るまで相談したい人に向いています。何度でも相談してもコストがかからないため、資金繰りが実際に改善するまで通うこともできます。

参考:よろず支援拠点全国本部

4. 信用保証協会

信用保証協会は、信用保証協会法に基づいて活動を行う公的機関です。中小企業が金融機関から融資を受けるときや私募債を発行するときなどに保証人となってくれます。

主に行っていることは保証制度の提供ですが、専門家の派遣、経営改善や資金調達といった相談への対応やセミナーの開催なども実施しています。実際に相談したい場合は、窓口や相談会に足を運ぶかオンラインでの対応も可能です。

信用保証協会は、融資を受けたり私募債を発行したりするときに保証制度を利用したい人に向いています。中小企業や小規模事業者でも保証制度を利用すれば、金融機関から融資を受けられる可能性があります。

参考:一般社団法人 全国信用保証協会連合会

5. 税理士

税理士は、税金に関する専門家です。国家資格である税理士試験に合格した人、弁護士や公認会計士の資格を持つ人などが税理士として活動できます。

税理士が主に行っているのは、税務書類の作成や相談への対応、会計業務などです。特に税務書類の作成・税務業務・納税者からの相談対応の3つは税理士の独占業務となっています。

税理士に相談したい場合は、「税理士情報検索サイト」を利用するか、税理士会の相談会に参加すると良いでしょう。節税対策、確定申告、税務調査、経営改善などに関して専門的なアドバイスをもらえます。

税理士の利用は、税金が資金繰りに大きな影響を与えているとすでに判明している人におすすめです。法律の範囲内でそれぞれの会社に合った節税対策を提案してくれるでしょう。

6. 中小企業診断士

中小企業診断士は、中小企業の経営課題に関して診断やアドバイスなどを行う専門家です。国家資格である中小企業診断士試験に合格し、実務や養成課程を受けることで中小企業診断士として活動できます。

中小企業診断士が主に行うのは、経営コンサルティングや経営計画書の作成、セミナーの開講などです。「日本中小企業診断士協会連合会」の公式サイトで会員検索する、もしくは市役所や区役所のホームページから探せば中小企業診断士に連絡を取れます。

中小企業診断士への相談をおすすめしたいのは、中でも資金繰りや事業計画といった経営に関するアドバイスを求めている人です。中小企業診断士に現状を説明すれば、財務状況を分析したうえで経営戦略や資金繰り改善についての助言をもらえるでしょう。

7. 金融機関

現在取引している金融機関に、資金繰りや経営について相談するのも一つの手です。

たとえば、追加の融資を提案してくれたり、返済期日を伸ばしてもらえたりすることがあります。また、コンサルティングを行ってくれる金融機関もあり、経営戦略の見直しや企業内研修などを実施しているケースもあります。

取引中の金融機関に相談したい場合は、支店の担当者に連絡を取るのが早いでしょう。公式サイトにて相談予約を受け付けている機関もあります。

金融機関の利用がおすすめなのは、実際に取引している相手に相談したい人です。会社の財務状況について細部まで把握してもらえていることが多いため、資金繰りや融資について的確なアドバイスをもらえる可能性があります。顔見知りの方が気楽に相談しやすいという人にも向いています。

資金繰りについて相談する前に準備すべきこと

資金繰りの相談をする前に準備しておくべきことをいくつか紹介します。

会社の状況がわかる資料を揃える

資金繰りについて相談する場合は、会社の概要や現在の状況などがわかる以下のような資料を用意しておくとスムーズに進められます。

資金繰り表とは、一定期間における現金の収入や支出を管理する表のことです。収支の流れや預金の残高などを可視化することで会社の資産について把握しやすくなります。

資金繰り表を作成したことがない場合は、マネーフォワードにて無料のテンプレートを配布しているため、こちらの記事を参考にぜひ作成してみてください。

現状の財務状況について整理する

決算書や資金繰り表などの資料を用意するだけでなく、当日にわかりやすく説明できるように現在の会社の財務状況について整理しておくことも重要です。

具体的には、以下の内容についてスムーズに説明できるレベルまで準備や整理をしておきましょう。

  • 資金繰りに関する具体的な状況
  • 資産や経営に関する現時点での課題
  • 資金繰りが悪化した原因
  • 資金ショートまでの猶予

上記の内容について、簡単にでも良いので資料としてまとめておくと、なお良いです。決算書や計画書などと一緒に提示することで、より的確なアドバイスをもらえる可能性があります。

将来的な目標や希望を明確にする

相談当日までに、将来的な目標や希望も明確にしておきましょう。

たとえば、「◯円ほどの追加融資を受けたい」「◯◯年のような資金に余裕があった状態まで改善させたい」「◯円は節税したい」といった内容です。

上記のように具体的な目標や希望を伝えれば、それらを踏まえた助言をしてくれたり、ゴールから逆算した計画を立ててくれたりする可能性があります。

また、実際は厳しい目標だとしても「現状だと◯円までなら融資できる」「希望額には及ばないが◯円ほどは節税を見込める」などと現実に即した意見も伝えてもらえるでしょう。

資金繰りについて相談したときに発生する費用

本記事で紹介した相談先の費用相場を以下の表にまとめました。

日本政策金融公庫無料
商工会議所無料(ただし、相談するには会員になる必要があり、入会金3,000円と資本金に応じた年会費が発生する)
よろず支援拠点無料
信用保証協会無料
税理士
  • 単発契約:約10,000円〜30,000円/1時間
  • 顧問契約:約10,000円〜50,000円/1ヶ月

(初回であれば無料で相談できる場合が多い)

中小企業診断士
  • 単発契約:約10,000円〜30,000円/1時間
  • 顧問契約:約30,000円〜170,000円/1ヶ月

(初回であれば無料で相談できる場合が多い)

金融機関無料

税理士や中小企業診断士に相談すれば、各会社に応じて一歩踏み込んだアドバイスをもらえることも多いですが、何度も相談するとなると相談料が嵩んでしまいます。

資金にあまり余裕がない企業は、まずは日本政策金融公庫やよろず支援拠点など無料の相談機関を利用するのが良いでしょう。

資金繰りの相談に関するよくある質問

最後に、資金繰りの相談に関するよくある質問をいくつか紹介します。

個人事業主でも資金繰りについて相談できる?

事業規模や従業員数に関係なく資金繰りについて相談できるところが多く、本記事で紹介した相談先のほとんどは個人事業主でも利用可能です。

中でも日本政策金融公庫・商工会議所・商工会などは、小規模事業者の支援を得意としており、個人事業主ならではの悩みや不安に対して的確なアドバイスをくれるでしょう。

また、開業したばかりで資金に余裕がない人には、よろず支援拠点を利用するのも一つの手です。経営に関して何度でも無料で相談できます。

スタートアップ企業が資金繰りの相談をするならどこが良い?

スタートアップ企業が相談するなら、相談料のかからない日本政策金融公庫やよろず支援拠点などを利用するのが良いでしょう。

日本政策金融公庫は、創業支援やスタートアップ支援などに重点的に取り組んでおり、起業から間もない企業への融資制度が充実しているのが特徴です。経営に関する相談だけでなく融資に関する相談もしたい企業に向いています。

また、よろず支援拠点は、資金繰りだけでなくマーケティングや、人材育成といった経営に関するあらゆる相談に応じてくれるのが特徴です。何から相談していいかわからない人や、軌道に乗るまでサポートしてほしい人などにも向いています。

無料で資金繰りについて相談できるのはどこ?

無料で資金繰りについて相談できるのは主に以下の機関です。

  • 日本政策金融公庫
  • 商工会議所
  • よろず支援拠点
  • 信用保証協会
  • 金融機関

上記の機関であれば、相談料が発生しません。特によろず支援拠点は何度でも無料であるため、1回だけでは相談が終わらなさそうな場合や資金繰りを改善できるまで相談したい場合におすすめです。

ただし、商工会議所だけは相談するのに会員となる必要があり、入会金と年会費がかかるため注意してください。

また、上記の他にも税理士や中小企業診断士も、初回のみ無料で相談できる事務所があります。税理士や中小企業診断士のような専門家に相談する場合は、公式サイトで料金体系について事前に確認しておきましょう。


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