- 更新日 : 2025年2月20日
課税売上高とは?課税仕入れとの違いや消費税の仕入税額控除もわかりやすく解説
消費税の申告書の作成においては、課税売上げや課税仕入れの仕組みを正しく理解することが重要です。この記事では、課税売上高や仕入税額控除などの消費税額の計算において重要なポイント、インボイス制度における注意点などをわかりやすく解説します。
目次
課税売上高とは?
課税売上げとは、「消費税の課税対象となる売上」のことです。
消費税の課税対象となる売上げのこと
事業取引には「国内事業」と「海外事業(輸入)」があります。
国内事業は、日本国内で行われる商品の販売、サービスの提供、譲渡や貸付など、対価を得て行うすべての取引のことです。国内取引には、消費税が課税される「課税取引」と消費税が課税されない「非課税取引」及び「免税取引」(輸出等)があります。
消費税の課税対象は、以下の3つの取引です。
- 「国内」において「事業者が事業」として「対価を得て」行う「資産の譲渡」等
- 特定仕入れ
- 輸入取引(保税地域から引き取られる外国貨物の引取り)
そのため、「国外」において行われる輸出取引(免税取引)や資産の譲渡等に該当しない取引(不課税取引)は、消費税の課税対象とはなりません。
また、土地の売却や貸付けなどの取引は、消費税の性格や社会政策的な配慮などにより「非課税取引」となっています。
課税売上げと課税仕入れの違い
課税売上げとは、商品の売上のほか、事業のための資産の譲渡、貸付、サービスの提供など対価を得て行う国内取引です。ただし、土地の売却や貸付けなどの「非課税取引」は課税売上げに含まれません。
課税仕入れとは、商品などの棚卸資産の仕入れ、事業用資産の購入または賃借、原材料や消耗品、サービスの購入など、事業者が事業として他社から資産を譲り受けることなどを言います。また、土地の購入や賃借などの非課税取引や、課税対象とならない給与などは課税仕入れに含まれません。
仕入先が免税事業者でも課税仕入れには該当しますが、インボイス登録事業者以外からの課税仕入れは、原則仕入税額控除の対象にならないため注意が必要です。
課税売上げの計算が必要な3つの理由
課税売上げの計算が必要な理由は下記の3つです。
消費税の納税義務があるか判定するため
消費税の課税事業者になるかどうかは、基準期間(個人は前々年、法人は前々事業年度)における課税売上高が1,000万円を超えているかどうかで判断します。
そのため、消費税の納税義務があるかどうかの判定をするために、課税売上高の計算が必要となります。
簡易課税制度が適用されるか判定するため
消費税の計算方法には、一般課税(原則)と簡易課税制度があります。
簡易課税制度は、中小事業者の事務負担軽減を図るための制度で、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者で、事前に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出している場合に適用できます。
そのため、簡易課税制度が適用できるかどうかの判定をするために、課税売上高の計算が必要となります。
仕入税額控除の計算をするため
仕入税額控除には、①個別対応方式、②一括比例配分方式、③全額控除と3つの方法があり、③全額控除は、課税仕入れにかかる消費税額の全額を一括して控除できる方法です。
全額控除は、課税売上高が5億円以下で、かつ課税売上割合が95%以上の場合に適用することができます。
課税売上割合は、以下のとおりに計算します。

- 分子:国内における課税資産の譲渡等の合計額(課税売上高+免税売上高)
- 分母:国内における資産の譲渡等の対価の合計額(課税売上高+免税売上高+非課税売上高)
そのため、仕入税額控除の計算においても、課税売上高の計算が必要となります。
仕入税額控除とは?
仕入税額控除とは、「課税売上げの消費税額から課税仕入れの消費税額を引くこと」ができる制度のことです。
課税売上げの消費税額から課税仕入れの消費税額を差し引くこと
消費税の納税額は、原則、売上にかかる消費税(預かった消費税)から仕入れなどにかかった消費税額(支払った消費税)を差し引いて計算します。
そして仕入税額控除とは、商品を購入した消費者と仕入れを行った事業者との消費税の二重・三重の課税を避けて、仕入時に支払った消費税額を納税額から控除することで、消費税額の申告・納税を行う制度です。
仕入税額控除の適用を受けるための要件とは
インボイス制度導入後は、一定の要件を満たした適格請求書(インボイス)を発行・保存した取引のみが仕入税額控除の対象となるため、原則、インボイスがなければ仕入税額控除は適用できません。
ただし、課税仕入れにかかる支払対価の額が1万円未満の場合には、少額特例として一定の事項が記載された帳簿を保存するだけで仕入税額控除が認められます。また、請求書の交付を受けることが困難な取引については、帳簿の保存だけで仕入税額控除が認められます。
少額特例は、基準期間における課税売上高が1億円以下または特定期間における課税売上高が5,000万円以下の中小事業者が対象です。
課税売上割合の95%未満の場合のルールとは
課税売上割合が95%未満の場合には、課税仕入れにかかる消費税額を全額控除することができず、「個別対応方式」か「一括比例方式」を選択適用して、仕入税額の一部を控除することになります。
個人事業主に消費税の納税義務が発生する要件は?
個人事業主が消費税の課税事業者になるかどうかは、原則、「基準期間」の課税売上高で判断します。また、消費税の納税義務が発生する要件は以下の3つです。
課税売上げが1,000万円を超える場合
「基準期間」または「特定期間」の課税売上高が1,000万円を超えている場合は、消費税の課税事業者となります。
「基準期間」は、個人は前々年の1年間(1/1~12/31)、法人は前々事業年度になります。例えば個人事業主の場合は、令和4年の課税売上高が1,000万円を超えると、令和6年から消費税の課税事業者となります。
「特定期間」は、個人は前年の1/1~6/30の半年間、法人は前事業年度の開始日から6か月間です。
免税事業者から課税事業者に切り替えた場合
「消費税課税事業者選択届出書」を税務署に提出することで、事業者は理由を問わずに任意で課税事業者になることができます。
多額の設備投資などを行う予定がある場合には、消費税の還付を受けられるため、課税事業者を選択する手続きを行うことがあります。
インボイス制度に対応する適格請求書発行事業者に登録した場合
インボイス制度の開始に伴い、適格請求書(インボイス)を発行するための適格請求書発行事業者に登録した場合には、課税売上高が1,000万円以下の免税事業者も課税事業者となり、消費税の申告・納税義務が発生します。
インボイス制度後に免税事業者のままだとどうなる?
令和5年10月からインボイス制度がスタートしました。インボイス(適格請求書)を発行できるインボイス発行事業者の登録をせずに、免税事業者でいることを選択した場合の注意点を解説します。
仕入税額控除が適用されなくなる
インボイス発行事業者の登録していない免税事業者は、インボイスが発行できないため、事業者との取引に仕入税額控除を適用できず、消費税(経費)の負担が増加します。
取引先からの減額交渉または取引終了の可能性がある
取引先は仕入税額控除が適用できず、経費の負担が増えることで、消費税相当分の値下げ(減額)交渉や取引終了となる可能性があるため、注意が必要です。
課税売上げは確定申告書のどこを見ると確認できる?
課税売上高は、消費税及び地方消費税の確定申告書の「⑮課税資産の譲渡等の対価の額」で確認できます。

出典:消費税及び地方消費税の申告書・添付書類等|国税庁、「消費税及び地方消費税の申告書」を加工して作成
消費税額の計算の仕組みを理解しよう
消費税の納税額の計算においては、課税売上高や仕入税額控除等の仕組みを理解することが大事なポイントとなります。インボイス制度の導入に伴って課税事業者となり、消費税の申告・納税を行う必要が出てきた場合に備えて、消費税額の計算の仕組みを正しく理解しておくとよいでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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