- 更新日 : 2024年11月29日
小口現金の勘定科目は?仕訳例や廃止して管理を効率化する方法を紹介
小口現金とは、会社の経費を精算するために用意しておく少額の現金のことです。小口現金のやり取りの仕訳をする際は、交通費・消耗品費・通信費・新聞図書費・雑費などの勘定科目を用います。
小口現金をやり取りする際は、出納帳での管理が一般的です。本記事では、小口現金を仕訳する方法を4つのステップに分けた上で、仕訳例を提示しながら解説します。
目次
小口現金の管理の仕方
まず、そもそも小口現金とは何かを説明した上で、具体的な管理の仕方を解説します。
そもそも小口現金とは
小口現金とは、会社の経費を精算するため、手元に置いておく少額の現金のことです。使われる主なシーンとして、従業員による消耗品購入や交通費支払いなどが挙げられます。
小口現金の管理方法は、一定期間ごとに経理担当者が小口現金を係に前渡しする「定額資金前渡制度(インプレスト・システム)」や必要に応じて随時小口現金を補給する「随時補給制度」です。小口現金で管理している企業は、一般的に「定額資金前渡制度」を採用しています。
小口現金のやり取りは出納帳で管理することが多い
小口現金を精算する際、一般的に小口現金係が支払いの都度内容を出納帳に記入して管理します。小口現金のやり取りを記録するために使用する帳簿が「小口現金出納帳」です。
似た帳簿に、現金出納帳(金銭出納帳)があります。現金出納帳とは、帳簿上の残高と実際の残高の一致を確認するための帳簿です。経理担当者が、毎日の現金取引を記入する補助簿として用いられます。
小口現金出納帳の内容や、現金出納帳との違いが詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
小口現金の勘定科目
小口現金には「消耗品費」「交通費」「水道光熱費」「通信費」「雑費」などの勘定科目を使います。以下に各勘定科目と内容をまとめました。
消耗品費 | 文房具代・封筒代・コピー用紙代など消耗品を現金で購入する際 |
(旅費)交通費 | タクシー・バス・電車などの運賃を現金で支払う際 |
水道光熱費 | 水道代・電気代・ガス代などを現金で支払う際 |
通信費 | 切手代・電話代・携帯電話料金代などを現金で支払う際 |
雑費 | 新聞代や来客用のお茶代を現金で支払う際 |
小口現金の仕訳方法
小口現金の仕訳方法を、それぞれ解説します。
小口現金の前渡しを仕訳する
経理担当者が各部署の小口現金係に小口現金を渡します。10万円の小切手を振り出し、各部署の係が金融機関で換金した場合の仕訳例が、以下のとおりです。
小切手を振り出すと、当座預金残高が減少します。資産が減少する「当座預金」を貸方、増加する「小口現金」を借方に記載しましょう。
小口現金の入出金を記録する
小口現金入出金の都度、出納帳に記録していきます。各部署の係が小口現金出納帳に記録しておけば、経理担当者の負担を軽減できるでしょう。
交通費が5千円で、小口現金出納帳に記録する際の記載例は、以下のとおりです。
(収入) | (支出) | ||||||
小口現金係からの報告を仕訳する
定期的に、各部署の小口現金係が小口現金を精算し、経理担当者に報告します。出費がある場合、「小口現金」を貸方、各費用を借方に仕訳が必要です。
小口現金7万円分を出金した報告を受けた場合(消耗品費1万円・旅費交通費2万5千円・水道光熱費2万円・通信費1万円・雑費5千円)、以下のように仕訳をします。
小口現金補給の仕訳をする
小口現金の出金を繰り返すと、小口現金係の元から現金がなくなるため、補給が必要です。前渡の場合と同じように、減少する「当座預金」を貸方、増加する「小口現金」を借方に記載します。
小口現金補給で、経理担当者は7万円の小切手を振り出し、係が金融機関で換金した場合、以下のとおりです。
小口現金の精算業務を効率化するには
小口現金には、従業員が立て替えた経費をすぐに精算できるメリットがある一方で、経費発生の都度精算処理が必要な点がデメリットです。小口現金の精算に労力がかかっている場合は、小口現金を廃止して効率化することも検討した方がよいでしょう。
小口現金を廃止する場合は、代わりに振り込みやキャッシュレス化により、現金支払いを減らす方法があります。
小口現金をなくすメリットやフローについて詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
小口現金のやり取りは出納帳で管理
小口現金のやり取りは、出納帳で管理することが一般的です。仕訳時には、支払内容に応じて交通費・消耗品費・通信費・新聞図書費・雑費などの勘定科目を使用します。
小口現金は経費発生の都度精算処理が必要で、管理者の負担が増える点がデメリットです。業務効率化を検討しているのであれば、小口現金の代わりにキャッシュレス化を検討するとよいでしょう。
よくある質問
小口現金とは?
会社の経費を精算するため、手元に置いておく少額の現金のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
小口現金の勘定科目は?
やり取りの際に、交通費・消耗品費・通信費・新聞図書費・雑費などの勘定科目を用います。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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