- 作成日 : 2024年8月19日
新聞図書費はどこまで経費にできる?仕訳の例やポイント解説
新聞図書費は、新聞の購読料や書籍代、地図代、情報誌の購入費用に関わる勘定科目です。この記事では、新聞図書費に該当する経費と該当しない経費、仕訳例や仕訳のポイントについて解説します。
目次
新聞図書費とは
新聞図書費とは、従業員が事業に携わるにあたって必要な知識を得るための書籍や、調査・統計を目的とした雑誌や書籍などの購入費のことです。事業に関連していることが重要で、新聞や書籍を購入しても必ず新聞図書費に計上されるとは限りません。
新聞図書費に該当する経費
新聞図書費に該当する経費には、以下のようなものがあります。なお、いずれも事業に関係していることを前提とします。
新聞図書費に含まれるもの一覧 |
---|
など |
新聞図書費に該当しない経費
新聞図書費に該当しない可能性が高い経費には、以下のようなものがあります。なお、以下に該当する書籍代などでも、事業に関係するものであれば新聞図書費として問題ありません。休憩室にある雑誌などは従業員の娯楽などのために置かれているものであるため、新聞図書費ではなく福利厚生費として処理します。
新聞図書費に含まれないもの一覧 |
---|
など |
新聞図書費の仕訳例
新聞図書費はどのように処理するのか、仕訳例を3つ取り上げます。
(仕訳例:業界紙購入)
当社では、業界の動向や顧客のニーズを調査する目的で業界紙を定期的に購読している。2ヵ月分の定期購読料として6,000円を現金で支払った。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
新聞図書費 | 6,000円 | 現金 | 6,000円 |
事業活動で必要な情報取得のために業界紙を購入していることから、新聞図書費として仕訳をします。
(仕訳例:地図購入)
商圏分析や競合を把握する目的で、エリアマーケティングのための地図を現金1万円で購入した。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
新聞図書費 | 10,000円 | 現金 | 10,000円 |
エリアマーケティングなど、地図を事業活動で利用することを目的に購入した場合は新聞図書費で処理できます。
(仕訳例:図書カード購入)
書籍を効率良く購入できるようにすることを目的に、図書カード3万円分を現金で購入した。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
新聞図書費 | 30,000円 | 現金 | 30,000円 |
図書カードの購入費用を新聞図書費にできるのは、あくまで事業活動で利用する書籍を目的に購入した場合です。図書カードを購入しただけでは新聞図書費にはならないため、注意しましょう。また、得意先に贈答品として送ることを目的に購入した図書カードは、新聞図書費ではなく接待交際費(交際費)として扱います。
新聞図書費の仕訳のポイント
新聞図書費の仕訳に関して把握しておきたいポイントを4つ紹介します。
定期購読をしている場合
新聞や雑誌の定期購読を利用している場合で、毎月購読料を支払う代わりに1年に1回まとめて購読料を支払うケースもあるでしょう。購読料をまとめて支払う場合に注意したいのが費用計上です。
法人税法では、短期前払費用の特例が規定されています。例外として、継続的に役務の提供(サービスの提供)を受ける場合に、翌年以降に時間の経過により費用化されるものは、短期前払費用として支払時に費用計上ができるという特例です。
対象は役務の提供であり、物品の受け渡しが行われる取引においては規定されていません。そのため、定期購読料が事業年度をまたぐ場合には、原則的な方法により翌期以降の支払い分を「前払費用」とし、翌期以降に新聞図書費に振り替える処理を行います。
電子書籍を購入した場合
電子版の書籍や雑誌を購入した場合も、紙の書籍や雑誌を購入した場合と取り扱いは同じです。業務に必要な情報を取得する目的で電子書籍を購入することから、通信費ではなく、新聞図書費で仕訳をします。
軽減税率が適用される場合
軽減税率の対象には、飲食料以外に新聞も含まれます。ただし、一般社会的事実を掲載した、定期購読契約に基づいて週2回以上の発行があるものに限られます。業界紙や海外の新聞なども、定期購読により週2回以上の発行があれば軽減税率の対象です。
ただし、定期購読契約に基づかない新聞の購入費、例えばコンビニエンスストアで購入した新聞などは軽減税率の対象から外れます。
また、軽減税率の対象とするには新聞の譲渡が必要です。定期購読契約であっても、電子版の新聞は電気通信回線を利用した役務の提供と捉えられているため新聞の譲渡にはならず、軽減税率の対象にはなりません。
個人事業主の場合
個人事業主の場合、新聞図書費に計上できる範囲が事業に直接的に関係のあるものに限定されます。家事費と見なされるものについては、新聞図書費として経費にできません。新聞図書費として認められるのは、マーケティングのために情報誌や業界紙を購入している場合などです。
個人事業主の新聞図書費については、以下の記事で詳しく解説しています。
「新聞代は確定申告で経費にできる?仕訳や軽減税率についても解説!」
新聞図書費は適切に処理しよう
新聞代や書籍代であっても、新聞図書費に該当しないケースがあります。新聞図書費は、事業活動に関係のある新聞図書の購入に関わる費用です。関連しない書籍代などは、新聞図書費には含めません。また、新聞については軽減税率の対象になるものとならないものがあります。消費税の申告を要する事業者は、適切に処理できるように軽減税率の条件を正確に把握しておきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
金利スワップの仕訳とは?勘定科目や会計処理を具体例でわかりやすく解説
企業が銀行から融資を受けるとき、将来の金利変動に備える手段として「金利スワップ」という仕組みが使われることがあります。金利スワップとは、固定金利と変動金利を交換(スワップ)することで、金利変動のリスクを軽減する金融取引の一種です。取引自体は…
詳しくみる駐車場代を経費にする際の仕訳に使う勘定科目まとめ
駐車場代は、出張や社員旅行などどのような目的で車を使用したのか、また月極駐車場かコインパーキングかによっても勘定科目が異なります。詳しい仕訳の方法や消費税の対象となるかどうか。さらに、個人事業主は駐車場代を損金算入できるのかについて見ていき…
詳しくみる分記法とは?三分法や総記法との違いや仕訳例を解説・簿記3級受験者必見!
簿記には分記法や三分法、総記法とよばれる記帳方法があり、仕訳方法によってメリットとデメリットが異なります。仕訳方法の種類を知ることは簿記の第一歩です。この記事では主に分記法の基本について詳しく解説するとともに、どのような会社が分記法に合って…
詳しくみる売掛金とはどんな勘定科目?仕訳例や回収の流れ、ポイントなどを解説
売掛金とは、企業が商品やサービスを販売した後、まだ顧客から受け取っていない未収の代金を指す会計用語です。これは貸借対照表上で流動資産として計上され、将来の現金収入を示します。売掛金は企業の信用取引の結果生じるもので、通常は一定の支払期限内に…
詳しくみる椅子を購入した際の勘定科目は?仕訳方法を解説
会社のオフィスや会議室で使う椅子を購入した際、会計処理をするための勘定科目は「消耗品費」や「工具器具備品」を使用します。「10万円未満」で椅子を購入した場合は消耗品費、「10万円以上」であれば有形固定資産といったように、条件によって勘定科目…
詳しくみる長期借入金とは?仕訳例も解説
長期借入金とは、会社が金融機関や特定人から受けた融資のうち、弁済期限が貸借対照表日の翌日から起算して1年以上のものを指す。貸借対照表では固定負債の部に記載される。 なお、弁済期限が貸借対照日の翌日から起算して1年以内のものは短期借入金となる…
詳しくみる