- 更新日 : 2025年2月18日
会議費とは?接待交際費との違いは?損金算入の特例や上限、仕訳方法も紹介
法人の経費の中には、勘定科目の取り扱いを間違えると、法人税に大きな影響を与えかねないものがいくつかあります。そのひとつが「会議費」です。会議費は、接待交際費などのほかの経費と性格が似ている部分も多く、会計処理をする際、その支払いが会議費に該当するのか、他の経費に該当するのかを正しく判断する必要があります。
そこで、ここでは会議費の内容や取り扱いについて解説します。
目次
会議費とは?
会議費とは、会社の経営に関して行なわれる社内外の会議や打ち合わせの際に必要となる費用のことです。具体的には、会議を開催する会場の費用や資料代、飲食費などが含まれます。
会議費は、社員のみで行われるケースと、取引先など社外の人を含めて行われるケースの2つがあります。食事を提供する場合は、昼食を超えない程度の飲食物などに要する経費が会議費に該当します。
会議費は、会計上は損益計算書の販売費および一般管理費として区分されます。
会議で提供される食事代と、接待交際費との区分を明確にするのは難しい場合もあります。会議費となるのは、原則、商談や会議を主目的とし、やむを得ず食事を挟んで開催することとなった会議における昼食程度と認識しておくほうがよいでしょう。
会議費の計上については、場所や時間などについて特に規定がないため、会議に関係した費用であれば会議費として計上できます。
会議費と接待交際費の違いとは?
法人が会議費を計上する場合に注意しなければならないのが、接待交際費との違いです。
接待交際費については、国税庁のサイトに以下のように説明されています。
交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます。)のために支出するものをいいます。
引用:No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算|国税庁
原則、取引先と接待を目的とした食事をした場合は「接待交際費」になります。
会議費に上限はある?
次に、会議費に上限があるかどうかについて見ていきましょう。
会議室代など、飲食費ではなく会議のための費用には上限はありません。飲食を伴う会議費の上限を考える際には、1回あたりの金額を考える必要があります。1回あたりの金額上限は、常識的な範囲(昼食程度)の費用です。常識的な範囲(昼食程度)を超えた場合は会議費とみなされず、接待交際費とみなされる可能性があります。
会議費は損金算入できる?損金不算入になる場合とは?
法人の場合、接待交際費は一定金額を超えた部分が損金に算入できないため、飲食代を接待交際費で処理せずに、会議費で処理したいところでしょう。では、会議費であればすべて損金算入できるのでしょうか。
原則、会議費はすべて損金算入できます。ただし、税務上、接待交際費に該当するものは、例え会議費の勘定科目を使って処理したとしても、一定金額(後述)を超えた部分は、損金算入できません。
接待交際費の損金不算入制度と特例
法人税法では交際費等の支出額は原則として全額が損金不算入(税務上経費にならない)とされます。しかし、中小法人を中心に企業活動上やむを得ない接待交際費について税負担を緩和するため、租税特別措置法による特例が設けられています。
- 次のいずれか有利な方法を選択できます。
- ① 年間800万円までの交際費等を全額損金算入する
- ② 交際費等のうち接待飲食費(社外の者との飲食費)の50%相当額を損金算入する
- ※実質的には、接待交際費の一部について損金算入が認められる形です。
- 特例として接待飲食費の50%に限り損金算入が認められます(資本金100億円超の一部法人等を除きます)。
- それ以外の交際費等は原則どおり全額が損金不算入です。
この特例措置には適用期限が設けられており、従来は「令和6年3月31日までに開始する事業年度」が対象期間とされていました。令和6年度税制改正によりこの適用期限が3年間延長され、令和9年3月31日までに開始する事業年度まで特例の適用が継続されます。したがって、中小法人の年800万円まで損金算入措置や、接待飲食費50%損金算入の措置は少なくとも2027年3月末まで開始事業年度で有効となります。
なお、交際費等の損金算入の特例を適用する法人は、法人税の確定申告書に、別表15「交際費等の損金算入に関する明細書」を添付して申告することも求められています。
交際費等から除外される飲食費の基準額引上げについて
交際費等の中でも、事業に関連する相手との少額な飲食の費用については一定条件を満たせば交際費等に該当せず全額を損金算入できます。改正前は「1人当たり5,000円以下」の飲食費がこれに該当しましたが、令和6年度税制改正(2024年度)によりこの金額基準が倍増され、1人当たり10,000円以下の飲食費まで損金算入可能となりました。
この新基準は2024年4月1日以後に支出する飲食費に適用されています。
改正後の1人当たり10,000円以下の範囲であれば、その飲食費は税務上交際費等から除外され、会議費等として全額が損金算入可能です。
具体的なケース例
例えば取引先4名との会食で総額4万円(1人1万円)であれば、その費用は交際費ではなく損金算入ができます。
一方で1人当たり10,000円を超える場合は注意が必要です。仮に1人当たり10,001円でも超過部分だけでなく支出した飲食費全額が交際費等に該当し、損金不算入の対象となります。
「1人当たり金額」の判定について
なお、この「1人当たり金額」の判定は消費税の経理方式によって異なります。
税抜経理を採用している法人は税抜価格で、税込経理の場合は税込価格で1人当たり費用を計算します。例えば税込経理では1人1万円(税込)までが基準となり、税抜経理では消費税を除いた実質金額で1人1万円以下かを判断します。インボイス制度の導入後は領収書の消費税額にも留意し、適切に判定する必要があります。
損金算入のための必要書類(記載事項)
上述のとおり、1人当たり10,000円以下の飲食費であっても所定の書類を保存していなければ税務上は交際費等から除外することはできません。税法では損金算入を認めるための記載事項を定めており、以下の内容を記載した書類(通常は会食の領収書や経理メモ等)を保存しておくことが要件とされています。
- 飲食等を行った年月日
- 参加者の氏名・名称および先方との関係
- 参加人数(何名で飲食したか)
- 支出金額と店舗の名称・所在地(店舗が存在しない場合は領収書に記載の支払先名称・住所等)
- その他参考事項(その費用が飲食に要したものであることを明らかにする事項)
これらの事項を網羅した伝票や領収書を保存していれば、税務調査の際にその飲食費が交際費等から除外されることを説明できます。とりわけ相手先の氏名や会社名については、社内の飲食ではなく事業に関連する社外の相手との飲食であることを明確にするために必要です。
参考:No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算|国税庁
個人事業主は会議費を確定申告で経費にできる?
個人事業主の場合、事業に必要とされる会議費については必要経費になります。
個人事業主において注意すべきことは、事業に必要な会議費とプライベートでの飲食の区別です。事業上、必要な会議室代や付随費用、会議を伴う飲食費のみが会議費として扱われます。プライベートと事業の区別がつかない支払いは会議費とはなりません。
また、法人の場合は接待交際費について一定までしか損金に算入できませんが、個人事業主の接待交際費については上限はありません。
個人事業主の場合、どの必要経費においても、公私の区別、すなわち取引の記録に基づき、業務上直接必要である部分を明らかに区分できるようにすることが大切です。
会議費の仕訳方法
会議費の仕訳を行う際の勘定科目は「会議費」を用います。税込経理とした場合の具体例を見ていきましょう。
(例)社内で会議を行うために、会社外の会議室代として2万円を現金で支払った。
(例)取引先と会議を行い、飲食代2万円を現金で支払った。なお、この飲食代は会議費に該当するものである。
会議費を理解して適切に計上しよう
会議費は、会議を行うためにかかった費用のことです。会議に付随したもの、かつ常識的な範囲(昼食程度)の金額であれば、会議費で処理することが可能です。
ただし、接待交際費になるものを会議費で処理してしまうと、法人税の計算に影響を与える可能性があります。法人税を正しく納付するためにも、会議費を理解して適切に計上するようにしましょう。
交際費についてより詳しい情報を知りたい方は以下のサイトをご参照ください
【参考】国税庁|交際費
よくある質問
会議費とは?
会社の経営に関して行なわれる社内の会議や打ち合わせの際に必要となる費用のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
会議費と接待交際費の違いとは?
原則として、取引先と食事をした場合は接待交際費となります。詳しくはこちらをご覧ください。
会議費は損金算入できる?
原則すべて経費にできます。ただし、法人の場合には接待交際費に該当するもので一定金額を超えた部分は損金算入できません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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