• 作成日 : 2015年10月23日

貸倒引当金で個人事業主が節税する方法とは

貸倒引当金というと、取引量が多い大企業だけが対象のように思われている方もいるかもしれませんが、個人事業主青色申告をしている場合には、貸倒引当金のうち一定額は必要経費として認められます。そこで、今回は、個人事業主の貸倒引当金について解説します。

貸倒引当金とは

貸倒引当金とは、売掛金や貸付金等の金銭債権が将来回収できないと思われる場合に、回収不能見込額をあらかじめ見積り計上しておくものです。見積額の算定は、個別の金銭債権を過去の貸倒実績に基づいて、個別に評価して計上します。貸倒引当金は、マイナスの資産科目になります。貸倒引当金を新たに計上する場合には、反対科目は「貸倒引当金繰入(費用勘定)」という勘定科目を使います。

所得税法上の貸倒引当金の扱い

会計的には、適切な見積りを行えば、費用処理をすることができますが、これを自由に認めると租税回避に使われてしまう危険性もあります。

そのため、所得税法では、原則として見積りでの損失計上を認めず、青色申告をする場合にかぎり、貸倒引当金の必要経費としての計上を認めています。

ただ、無制限に必要経費として認めるわけにはいかないので、一括評価として認められるのは、年末における貸金の帳簿価額合計額の5.5%までとなっています。ただし、金融業の場合には、貸倒れの危険性が他の業種に比べて高いため、3.3%までとなります。

なお、貸倒れが確実になった場合には、所得税法上も青色申告はもちろん白色申告でも個別評価をして貸倒引当金繰入が認められます。個別評価による貸倒引当金の繰入は次の3つの場合があり、それぞれ額が異なります。

個別評価による貸倒引当金の繰入

(1)破産や民事再生などの法的手続の申立て、または、手形交換所による取引停止処分があった場合には、金銭債権の2分の1
(2)更生計画認可の決定、再生計画認可の決定があった場合には、その事実が生じた年の翌年以後5年を経過した後に弁済される金額
(3)金銭債権の債務者について、債務超過の状態が相当期間継続し、事業の好転の見通しがない場合には、取立ての見込みがないと認められる金額

貸倒引当金の対象となる債権

貸倒引当金の対象となる債権は、事業上の債権になります。具体的には、売掛金、貸付金、未収金などです。

逆に、貸倒引当金の対象にならないのは、個人的な貸付金、預け金、保証金、敷金、預け金、手付金、前渡金、立替金、仮払金などです。これらは事業と関係がないか、あるいは、返済される可能性が高い債権だから認められていないのです。

貸倒引当金の計算方法

つぎのように計算します。

貸倒引当金繰入額 = 一括評価による繰入額 + 個別評価による繰入額

節税としての活用

貸倒引当金のうち、個別評価による繰入額については貸し倒れが確実なので、節税というよりは適正な処理になるだけですが、一括評価による繰入額については、貸し倒れになるかどうかは不確実なので、見積もりで費用計上できることは節税となります。

ただし、貸倒引当金繰入として必要経費に計上した額は、翌年度には貸倒引当金戻入として収入に計上しなければならないので、翌年度に同額の貸倒引当金を必要経費として計上できたとしても節税の効果はありません。

したがって、売上が右肩上がりで上昇しているような場合については、節税効果が高いですが、売上が減少している場合には、節税とならない場合があります。

まとめ

以上、貸倒引当金の概要、所得税法上の貸倒引当金の扱い、貸倒引当金の対象となる債権、貸倒引当金の計算方法、節税としての活用について書いてきました。

会計的には仕訳が特殊なので難しいところがあるのですが、税法上は貸し倒れるかもしれない債権について必要経費として認められると思ってもらえればよいと思います。

初年度については節税効果も認められるので、一度どれくらい貸倒引当金が必要経費として認められるか検討してみてはいかがでしょうか。

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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:土屋 英則 (税理士)

税理士法人ゆびすい
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