- 作成日 : 2024年10月29日
法人税は電子申告が義務化!申告のやり方やe-Taxでの納付方法も解説
令和2年度より、大法人で法人税の電子申告が義務化されています。電子申告が可能になることで申告や納付が進めやすくなっていますが、きちんと理解していないと作業が増えた感覚になるでしょう。この記事では、大法人で義務化された法人税の電子申告について、申告のやり方や納付方法などを解説します。
目次
法人税は電子申告が義務に
大法人における法人税の電子申告が義務化されました。義務化の対象となる法人と電子申告の対象となる書類について紹介します。
法人税の電子申告の対象となる大法人
法人税の電子申告が義務化されたのは、内国法人のうち、事業年度開始時において資本金の額等が1億円を超える法人です。また、通算法人、相互会社、投資法人および特定目的会社も義務化されました。
令和2年4月1日以後に開始する事業年度から適用されているため、上述の法人は電子申告が必須です。なお、2024年10月時点において、中小法人などは対象となっていません。
法人税の電子申告の対象となる書類
法人税の電子申告の対象となる書類は、申告書および申告書に添付すべきとされている書類のすべてです。申告書に添付すべきものとされている書類は、各種の別表に加えて、財務諸表や勘定科目内訳書なども対象となります。
これらの書類は全て電子申告で提出することになるため、提出漏れがないかなどに留意が必要です。
法人税の電子申告のやり方は?
実際に法人税を電子申告するやり方について紹介します。電子申告の流れは以下のとおりです。
- 利用者識別番号を取得する
- 電子証明書を取得する
- 使用するソフト・コーナーを選択する
- 電子申告データを作成・送信する
各項目について具体的に紹介します。
利用者識別番号を取得する
電子申告をするためには、e-Taxを利用できるように準備しなければなりません。e-Taxを利用するために、まずは利用者識別番号を取得します。利用者識別番号の取得は、Webサイトで取得を行う方法か、書面や税理士などに代理で取得してもらう方法があります。
なお、取得にあたっては法人情報や担当者情報などの入力が必要です。
電子証明書を取得する
電子申告をするためには、データが改ざんされていないかを確かめるために、電子証明書の提出が必要です。電子署名をするためには、あらかじめ電子証明書の取得が必要です。電子証明書がICカードと一体になっている場合には、ICカードリーダーなどのデバイスの購入も必要となります。
電子証明書の例としては、法人の代表者のマイナンバーカードなどが挙げられます。
使用するソフト・コーナーを選択する
電子申告の手続きを進めるにあたって、ソフトを選択する必要があります。国税庁が提供しているソフトに加えて、市販の会計ソフトなどもあります。多くの会計ソフトは電子申告に対応しており、e-Taxシステムに直接申告書を送信できる機能を備えています。
なお、各ソフトは利用できるデバイスや電子申告が可能な税目などが異なるため、自身の利用環境に合ったソフトを選択しなければならないので注意が必要です。
電子申告データを作成・送信する
電子申告ソフトの指示に従って、まずは電子証明書の登録を行います。法人税の申告書などをe-Taxにアップロードし、利用者識別番号を使用してログインします。
アップロードしたデータを登録し、電子署名を付与します。なお、電子署名するにあたってはe-Taxに登録されている電子証明書と同一の証明書を使用しなければ申告できません。
申告書データに電子署名を付与し、申告データを送信すると、受信通知が送られます。受信通知により、電子申告ができているかを確認できます。
e-Taxによる法人税の納付方法は?
e-Taxの申告後、法人の納付手続きを行います。納付方法は、ダイレクト納付(e-Tax上で銀行口座を登録しておき、その口座からの直接引き落とし)、インターネットバンキング、振替納税、クレジットカードなどから選択できます。
なお、納税期限があるので、その期限までに納付手続きを進める必要があります。
電子申告のやり方や納付方法などを理解しよう
大法人で電子申告が義務化されました。電子申告に慣れるまでは難しく、時間がかかるかもしれません。しかし、慣れてしまえば比較的スムーズに進められるでしょう。
最初は、利用者番号や電子証明書の取得などの準備が必要です。必要なものを事前に理解しておけば、スムーズに進められます。また、納付にあたって銀行に行く必要がなくなるため、業務を効率的に進められるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
税制改正大綱とは?令和4年度の中小企業に関する改正ポイントを解説!
令和3年12月24日、令和4年度税制改正大綱が閣議決定されました。今後、国会での審議や本会議での可決で改正法が成立する見込みです。令和4年度税制改正大綱で柱とされたのが、成長と分配の好循環、経済社会の構造変化を踏まえた税制見直しの2つです。…
詳しくみる販売者は気をつけたい!軽減税率の値引きの話
2019年10月1日より、消費税が8%から10%へと引き上げられます。 これと同時に軽減税率が導入され、一部の商品は8%で据え置きとなります。そのため事業者は、取り扱う商品によって対応を変えなければいけません。また、販売時に値引きがあった場…
詳しくみる収入印紙を金券ショップで買うことのメリット・デメリット
契約書や領収書に貼る収入印紙は郵便局や印紙売りさばき所で売られていますが、金券ショップで売られていることもあります。金券ショップでは額面より低い金額で売られているため、経費削減に役立てているケースも多いことでしょう。 しかし、収入印紙を金券…
詳しくみる自動車重量税はだれがいつ納付しているのか?
「自動車重量税」についてご存じでしょうか。自動車を所有している方なら、購入時や車検のときに請求書等で目にしたことくらいはあるかも知れませんが、「どのみち支払わなければいけないもの」として見過ごしている場合が多く、その詳細については案外知られ…
詳しくみる税効果会計とは?目的や手順、適用時の注意点を解説
税効果会計は、主に上場企業で用いられる会計手法で、会計上の収益・費用と税務上の益金・損金の認識時点が異なる場合に、法人税その他所得を課税とする税金を適切に期間配分することにより、損益計算書の税引前当期純利益と税金費用を合理的に対応させる目的…
詳しくみる消費税は輸入と輸出では扱いが違う?
グローバル社会の進展により、国際取引が頻繁に行われるようになりましたが、輸入や輸出をした場合、消費税はどうなるのか悩まれる方もいるかと思います。そこで、今回は、輸入や輸出をする際の消費税の処理に関する解説をします。 消費税の課税対象 消費税…
詳しくみる