- 更新日 : 2025年2月19日
商品輸入時の仕訳と会計処理を解説
昨今、副業を始める人が増えている中で、海外から商品を輸入仕入れし、日本国内で商品を販売する輸入業が注目を集めています。人気商品は多岐にわたるため個人でも参入しやすい一方、輸入による仕入れは国内での取引とは異なるため、仕訳や勘定科目に悩む人も多いようです。
今回は輸入取引の一般的な流れや、輸入により経費がかかったときの仕訳をどのようにするか、また関税や消費税の取り扱いについて解説していきます。
輸入の流れ
一般的な輸入の流れは以下のようになります。国内取引と異なり、税関を通す点に特徴があります。
- 商品を注文
- 相手先からインボイスが送付される
- 日本へ商品が到着
- 税関に輸入申告書を提出し、関税や消費税を納税する
- 輸入許可通知書が発行される
- 商品の受け取り
輸入代行業者に依頼している場合は、一般的に②から⑥までは輸入代行業者が行い、後日「輸入許可通知書」とインボイスが届きます。
インボイスとは貨物の「送り状」をいい、海外の輸出者が国内の輸入者宛てに発行する貨物の明細書です。また、関税や消費税の税額は輸入代行業者からの請求書か、輸入許可通知書に記載されています。
輸入時の仕訳と会計処理
商品の注文時
商品注文時においては特に会計処理をする必要はありません。モノの動きやサービスの提供がなく、経済的価値の変動がないためです。従って、商品注文時は「仕訳なし」となります。
商品の船積み時(海外で商品が船積みされる時点)
商品を注文し、商品を海外で船積みした時点で仕入計上します。
商品の代金が500,000円とした場合の仕訳は以下のようになります。金額は取引発生時レート(船積み時のレート)を使用します。
(例)商品500,000円を船積みした。
輸入通関時
輸入通関時に、税関に関税と輸入消費税を納付し、および輸入許可書の取得を行います。会計上、関税は仕入高、輸入消費税は仮払消費税等で処理します。
例)通関時に税関へ関税および消費税を納付した。
輸入仕入にかかる消費税は、CIF価格(※)を基準に別個計算するため、国内仕入のような一律10%の課税仕入とはなりません。また、輸入消費税は、国税と地方税に区分する必要があります。
CIF価格 = 商品価格 + 海外での運賃 + 保険料
また、関税は、会計上商品の金額に含まれますが、輸入消費税は含まれません。消費税はこの税関通貨時点では費用としては認識されず、事業年度末に消費税の確定申告を行った際に認識されます。
代金支払時
商品を引き取り、代金を支払った時点で以下のような仕訳をします。すでに関税や輸入消費税の支払いは通関時において納付しているため、ここではそれらに関する仕訳はありません。商品の代金を支払うことにより、買掛金が取り崩され、普通預金の残高が減少します。
例)輸入した商品の代金を普通預金から支払った。
輸入仕訳は記帳のタイミングに注意
一般的に国内取引では商品を実際に受け取った時点で仕入計上を行いますが、輸入仕入の場合は、海外の取引先が商品の船積みを行った時点で仕入計上を行います。
また、関税、輸入消費税は会計上、一般的な国内の商取引とは異なる処理が行われます。関税は支払った段階で、仕入(費用勘定)に計上されます。
一方、輸入消費税は支払った際、「仮勘定」の科目として仮払消費税等に計上されることになります。
輸入仕入は国内取引とは会計上のルールが異なりますので、記帳のタイミングを誤らないようにしましょう。
よくある質問
輸入の流れとは?
注文した商品を海外で船積みした時点で仕入計上し、税関で関税と消費税を納付します。その後、輸入許可証を取得し商品を引き取ります。詳しくはこちらをご覧ください。
輸入時の会計処理のポイントは?
仕入を計上するのは海外の取引先が商品の船積みを行った時点となります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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