- 更新日 : 2024年8月8日
交通違反の罰金や反則金の仕訳に使う勘定科目まとめ
交通違反により罰金や反則金を支払ったときは、経費計上はできません。一般的には租税公課や立替金などの勘定科目を用い、仕訳をすることになります。個人事業主が交通違反を犯したときは何の勘定科目を使うのか、またどのように仕訳をするのか仕訳例を挙げつつ解説するので、ぜひ参考にしてください。
罰金や反則金は経費にできる?
違法駐車や速度超過などの交通違反を犯したときは、交通違反金として罰金や反則金を課せられることがあります。業務遂行中かどうかに関わらず、交通違反金は損金にはなりません。
交通違反金は交通違反を犯した従業員や役員などの個人が負担する性質のお金のため、会社の経営や運転などに必要なお金ではないからです。業務遂行中以外に犯した交通違反金を会社側が立て替え、従業員や役員が返還しない場合には、「給与」や「役員報酬」として扱うことになります。
ただし、交通違反を犯したときに交通違反金に加えてレッカー移動代を請求された場合は、法人はレッカー移動代を「雑費」などの勘定科目で仕訳し、損金として扱うことが可能です。また、個人事業主の場合であれば、レッカー移動代を必要経費にできます。
罰金や反則金を租税公課で仕訳する
業務時間内に生じた交通違反に対する交通違反金を会社が負担した場合は、「租税公課」の勘定科目で仕訳をします。
違反金として現金で5,000円を支払い、「租税公課」の勘定科目で仕訳をしたとしましょう。帳簿には以下のように記録します。
罰金や反則金を立替金で仕訳する
業務時間外に従業員や役員が交通違反を犯し、会社が一時的に交通違反金を立て替えた場合は、「立替金」の勘定科目を使って以下のように仕訳ができます。
立替金の勘定科目で処理をしたときは、後日、交通違反を犯した従業員や役員から返還してもらうことが原則です。しかし、お金のやり取りを簡略化する目的で、給与から立て替えた違反金を差し引いて処理もできます。
交通違反金として5,000円を会社が立て替え、後日、給与や賞与、役員報酬から差し引く形で相殺するときは、以下のように仕訳ができるでしょう。
個人事業主の場合
個人事業主も法人と同様、交通違反金を経費として計上はできません。会社のお金から交通違反金を支払った場合は、「事業主貸」の勘定科目で仕訳をします。
個人事業主が個人のお金で交通違反金を支払ったときは、仕訳をして帳簿に残す必要はありません。プライベートのお金と会社のお金を明確に分けておくことで、より正確な仕訳ができるようになります。
業務時間内・外に関わらず交通違反金は経費計上できない
業務時間内・外に関わらず、交通違反金は損金にはなりません。会社のお金から支払ったときは、正しく仕訳をして帳簿に残すようにしましょう。
業務時間内の交通違反に関しては、「租税公課」の勘定科目を使って仕訳をします。損金にはならないので、後で加算調整が必要です。
業務時間外の交通違反に関しては、会社が一時的に立て替え、後で交通違反を犯した従業員や役員から立て替えた金額の変換を受け取るときは「立替金」の勘定科目を使って仕訳をしましょう。
しかし、会社が立て替え、後日従業員や役員から返還を受けると、資金のやり取りが煩雑になることがあります。やり取りを簡略化したいときは、給与や賞与、役員報酬に充当する形で交通違反金を会社が支払うことも可能です。その場合は、「給与」や「賞与」、「役員報酬」の勘定科目を使って仕訳をしましょう。
個人事業主も交通違反金は経費とすることができません。会社のお金から支払ったときは、「借方」を「事業主貸」として仕訳をしましょう。
ただし、交通違反金とは別にレッカー移動代などの徴収額があるときは、業務時間内であれば経費にすることが可能です。「雑費」などの勘定科目で仕訳をしましょう。
よくある質問
罰金や反則金の仕訳に使う勘定科目は?
業務時間内であれば「租税公課」、業務時間外で一時的に立て替えるときは「立替金」、従業員や役員の報酬に充当するときは「給与」や「賞与」、「役員報酬」の勘定科目で仕訳をします。詳しくはこちらをご覧ください。
個人事業主の場合はどうすればいい?
「事業主貸」の勘定科目で仕訳をして、経費には含めません。その場で個人的に支払ったときは、仕訳をする必要はありません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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