- 更新日 : 2025年8月29日
共益費の勘定科目・仕訳例は?管理費や家賃との違いついても解説!
賃貸オフィスなどを契約する際、家賃とは別に、共益費がかかることがあります。なぜ、契約によって共益費が発生するのでしょうか。この記事では、共益費の概要と管理費や家賃との違い、共益費を支払ったときの勘定科目と仕訳、共益費を受け取ったときの勘定科目と仕訳について解説していきます。
共益費とは
賃貸オフィスなどの契約をする際、家賃とは別に、共益費が毎月発生することがあります。共益費は、オフィスビルなどの入居者が、共同で利益を受け、かつ共同で責務を負う共用の部分にかかる費用のことです。英語では「Monthly fee for common areas of an apartment building」といい、「Common charges」や「Maintenance fee」と表現されることもあります。
共益費に該当する具体的な費用として挙げられるのは、以下のようなものです。
- エントランスや通路、階段などの清掃費や電気代、空調費
- エレベーターの点検費用
- 共同の給湯室の水道光熱費や衛生費
- トイレの清掃費や照明交換費用
- 駐車場の維持管理費
- 共用部分の防災対策やセキュリティ対策などに関する費用 など
共益費と管理費の違い
賃貸オフィス契約の際、共益費とは別に管理費が請求されることがあります。管理費は、ビル全体の管理にかかる費用のことです。
共益費と同じように共用部分の管理にかかる費用をいうこともありますが、ビル管理会社の費用や管理組合の費用、ビル外壁の修繕費なども含まれる点が共益費とは異なります。
また、先取特権の有無にも違いがあります。先取特権とは、優先的に債務の弁済を受けられる権利のことです。実質が共益の費用であれば先取特権がありますが、共用の費用でない費用には先取特権がありません。
共益費と家賃の違い
共益費と家賃は、どちらも賃貸オフィス契約などで毎月発生するものになります。大きな違いは、その内容です。共益費は共用部分の維持管理費ですが、家賃は専有部分の賃貸料です。
また、料金の改定がしやすいかどうかも異なります。共益費は水道光熱費などの変動費が含まれているため、改定に法的な制限はありませんが、家賃は借地借家法による制限があります。
なお、賃貸契約によっては、共益費がないケースもあります。これは、共益費分がすでに家賃に組み込まれているためです。共用部分の維持費は共益費がなくても発生しますので、共益費がない分、家賃が上がるのが通常です。家賃が上がれば、家賃をベースに計算する仲介手数料や敷金などの初期費用も増えてしまいます。
共益費の勘定科目
オフィスの賃貸契約を結んで共益費を支払った場合、共益費は家賃に含めて、「地代家賃(支払家賃)」の勘定科目で処理することが多いです。共益費は単独で発生するものではなく、賃貸契約に付随して発生するものだからです。
一方、「共益費」などとして、家賃と共益費を区分して仕訳を行うこともあります。これは、地方自治体が法人に課する法人事業税において、外形標準課税の計算上、契約書などで明確に区分があるときは、共益費を支払賃借料に含めないためです。資本金や出資金の額が1億円を超える外形標準課税の対象になる法人は、節税のため、家賃と共益費を勘定科目で区分することがあります。
共益費を受け取った場合については、仕訳例でも後述するように、事業に合わせて「売上」や「受取家賃」などの勘定科目を使用して仕訳します。
共益費の仕訳例
共益費に関する仕訳について、不動産会社が共益費を受け取ったとき、不動産会社以外が共益費を得て受取家賃としたとき、法人が賃貸事務所を契約して共益費を支払ったときの3つのケースに分けて仕訳を解説します。
共益費の収入時の仕訳
共益費の収入があった場合の仕訳について、不動産会社の場合と不動産会社以外の場合に分けて説明します。
不動産会社の場合
(例)自社所有のオフィスビルの貸し出しを事業として行っている不動産会社のA社は、C社にオフィスビルの一角を貸し出している。本日、毎月の家賃50万円とともに、共益費5万円を当座預金に入金を受けた。
(※家賃部分は次月分を前受けするケースも多く、前受けの場合は前受金で処理します)
A社のように、オフィスビルの貸し出しをメイン事業として行っている不動産会社の場合、事業収入として、共益費含む家賃は、売上に計上します。
不動産会社以外の場合
(例)B社は、社宅として所有するアパートのうち、長期間、社員の入居が見込まれないアパートについて、第三者に貸し出しを行っている。第三者に貸し出している分について、毎月の家賃10万円とともに共益費1万円を受け取り、ただちに当座預金とした。なお、B社は不動産の貸し出しを主な事業として行っている会社ではない。
不動産の賃貸事業をメインで行っている不動産会社ではなく、副収入として共益費含む家賃収入を得たときは、「受取家賃」などの勘定科目を使って仕訳をします。
共益費の支払時の仕訳
家賃とともに共益費を支払ったときは、以下のような仕訳を行います。
(例)D社は、オフィスを賃借している。本日、毎月の家賃50万円とともに、共益費5万円を当座預金から支払った。
共益費に消費税はかかるの?
共益費に消費税が課税されるかどうかについては、対象の物件が住宅であるか、住宅でないかで変わってきます。
まず、賃貸オフィスなど住むことを目的にしていない物件の共益費は、消費税の課税対象です。一方、アパートやマンション、社宅など、住むことを目的とした物件の共益費は非課税になります。住宅であれば、管理費の名目であってもその内容が、居住者が共同に使用する部分の費用であれば非課税です。
次に、不動産会社などが共益費を受け取る場合について考えます。共益費の名目で、清掃費や水道光熱費などを毎月一定額徴収し、それぞれの経費の支払いに充てるケースでは、共益費としての徴収分を課税対象にして問題ありません。
一方、テナントごとに設置されたメーターをもとに、実際にかかった費用を共益費として集金する場合は、水道光熱費は共益費と明確に区分できますので、共益費ではなく水道光熱費として扱うのが正しいです。また、共益費を受け取った会社は、水道光熱費を代わりに支払ったに過ぎないため、共益費ではなく、預り金として処理します。預り金なので、課税売上には計上せず、消費税の課税対象にもなりません。
共益費について理解できましたか?
共益費は共有部分の維持管理などにかかる費用をいいます。オフィスビルなど、賃貸物件の契約を行ったとき、毎月の費用として家賃とともに請求されることが多いです。法律上は、家賃と共益費とではいくつか違いがありますが、会計処理上は同一のものとして扱っても問題はありません。共益費を支払ったときは家賃と合わせて「地代家賃」、共益費を受け取ったときは家賃と合わせて「売上」や「受取家賃」に計上します。なお、消費税については、住宅用か住宅用でないかで違いがありますので、よく確認しておきましょう。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料を紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
電子帳簿保存法 徹底解説(2025/10 最新版)
電子帳簿保存法は、1998年の制定以降、これまでに何度も改正を重ねてきました。特に直近数年は大きな改正が続いた上に、現在も国税庁による一問一答の追加・改定が続いており、常に最新情報の把握が必要です。
70P以上にわたるボリュームであることから、ダウンロードいただいた方から大好評をいただいている1冊です。
インボイス制度 徹底解説(2024/10 最新版)
インボイス制度は施行後もさまざまな実務論点が浮上し、国税庁によるQ&Aの追加・改訂が続いています。これを受けて、「結局どうすればいいのか、わからなくなってしまった」という疑問の声も多く聞かれるようになりました。
そこで、インボイス制度を改めて整理し、実務上の落とし穴や対応のヒントまで網羅的に解説した最新資料を作成しました。問題なく制度対応できているかの確認や、新人社員向けの教育用など、様々な用途にご活用いただける充実の資料です。
マネーフォワード クラウド会計Plus サービス資料
マネーフォワード クラウド会計Plusは、データの自動取得、自動仕訳、自動学習の3つの自動化で経理業務が効率化できる会計ソフトです。
仕訳承認フローや業務分担にあわせた詳細な権限設定が可能で、内部統制を強化したい企業におすすめです。
マネーフォワード クラウド経費 サービス資料
マネーフォワード クラウド経費を利用すると、申請者も承認者も経費精算処理の時間が削減でき、ペーパーレスでテレワークも可能に。
経理業務はチェック業務や仕訳連携・振込業務の効率化が実現でき、一連の流れがリモートで運用できます。
よくある質問
共益費とは?
例えば、賃貸オフィスなどの入居者が共同で利用する、共用部分にかかる維持管理費用、防災対策費用、セキュリティ対策費用などをいいます。詳しくはこちらをご覧ください。
共益費の勘定科目は?
共益費を支払ったときは「地代家賃(支払家賃)」、共益費を受け取ったときは「売上」や「受取家賃」の勘定科目を使います。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
神社のお札やお守りは経費にできる?勘定科目や仕訳を解説
神社でお札やお守りをいただいたときは、目的や金額によってはお札代を経費とすることができます。ただし、法人の場合であれば寄付金の勘定科目で経費計上が可能ですが、個人事業主の場合は経費計上できません。お札代をどのように扱うことができるのか具体的…
詳しくみる印鑑証明を取得したときの仕訳と勘定科目まとめ
印鑑登録を証明する書類として、法人の場合も個人事業主の場合も事業上、印鑑証明の取得が必要になることがあります。印鑑証明を取得した場合、どのような勘定科目で処理するべきなのでしょうか。この記事では、印鑑証明を取得したときに使える勘定科目を、仕…
詳しくみる未渡小切手とは?仕訳から解説
未渡小切手とは、取引先に渡す予定で振り出したにもかかわらず、渡せないままになっている小切手のことです。本記事では、未渡小切手が見つかった場合の対処方法や、混同されがちな未取付小切手との違いについて解説しています。未渡小切手の取扱い方が分から…
詳しくみる未払利息の仕訳とは?勘定科目や計上時期をわかりやすく解説
借入金や社債があると、月末や決算日までに発生している利息が、まだ支払われていないというケースがあります。このとき使われるのが「未払利息」という勘定科目です。実際にはまだ支払いをしていなくても、発生している利息は費用として計上し、同時に負債と…
詳しくみるローン返済を経費計上する際の勘定科目を紹介
ローンは、特定のものを購入する目的などで利用されます。法人の場合は、業務用の自動車を購入するためのカーローンなどが代表例として挙げられます。 ローンの返済時には現金が出ていくことになりますが、ローン返済分は経費として計上できるのでしょうか。…
詳しくみる過入金はどう仕訳する?勘定科目や返金・相殺の対応を解説
経理における入金処理について、過入金が発生するのは先方の振り込み間違いだけでなく、当方のミスが原因のこともあります。過入金が発生したらできる限り早急に対応することが大切です。 この記事では、入金処理における過入金への対応方法と仕訳処理につい…
詳しくみる会計の注目テーマ
- 勘定科目 消耗品費
- 国際会計基準(IFRS)
- 会計帳簿
- キャッシュフロー計算書
- 予実管理
- 損益計算書
- 減価償却
- 総勘定元帳
- 資金繰り表
- 連結決算
- 支払調書
- 経理
- 会計ソフト
- 貸借対照表
- 外注費
- 法人の節税
- 手形
- 損金
- 決算書
- 勘定科目 福利厚生
- 法人税申告書
- 財務諸表
- 勘定科目 修繕費
- 一括償却資産
- 勘定科目 地代家賃
- 原価計算
- 税理士
- 簡易課税
- 税務調査
- 売掛金
- 電子帳簿保存法
- 勘定科目
- 勘定科目 固定資産
- 勘定科目 交際費
- 勘定科目 税務
- 勘定科目 流動資産
- 勘定科目 業種別
- 勘定科目 収益
- 勘定科目 車両費
- 簿記
- 勘定科目 水道光熱費
- 資産除去債務
- 圧縮記帳
- 利益
- 前受金
- 固定資産
- 勘定科目 営業外収益
- 月次決算
- 勘定科目 広告宣伝費
- 益金
- 資産
- 勘定科目 人件費
- 予算管理
- 小口現金
- 資金繰り
- 会計システム
- 決算
- 未払金
- 労働分配率
- 飲食店
- 売上台帳
- 勘定科目 前払い
- 収支報告書
- 勘定科目 荷造運賃
- 勘定科目 支払手数料
- 消費税
- 借地権
- 中小企業
- 勘定科目 被服費
- 仕訳
- 会計の基本
- 勘定科目 仕入れ
- 経費精算
- 交通費
- 勘定科目 旅費交通費
- 電子取引
- 勘定科目 通信費
- 法人税
- 請求管理
- 勘定科目 諸会費
- 入金
- 消込
- 債権管理
- スキャナ保存
- 電子記録債権
- 入出金管理
- 与信管理
- 請求代行
- 財務会計
- オペレーティングリース
- 新リース会計
- 購買申請
- ファクタリング
- 償却資産
- リース取引
.png)


