- 更新日 : 2024年10月25日
収支報告書とは?収支報告書と決算報告書の違いや書き方を具体例別に紹介!
収支報告書とは、企業や団体などの組織や、飲み会や部活動などの集まりでの収支を記録した書類です。決算報告書よりも簡潔な内容とすることが多いですが、お金の出入りや運営状況の判断材料になるため、組織の外部・内部のどちらにとっても重要な情報源となります。
当記事では収支報告書の概要や決算報告書との違い、収支報告書の記載事項、記載例などを解説します。
目次
収支報告書とは?
収支報告書とは、ある一定期間(1年間や1飲み会単位など)の収支についてまとめた書類です。お金が入ってくる「収入」と、お金が出ていく「支出」の増減や内訳などを記載します。収支計算書や会計報告書などと呼ぶ場合もあるようです。
企業の会計や財務状態を報告する「決算報告書」と似ていますが、実際は区別して使われます。自治体や政治団体、企業のサークル活動、その他のコミュニティ団体の収支などを記録する書類を収支報告書と呼ぶケースが多いようです。
多くの収支報告書は、現金の出入りのみを記録する「現金主義」かつ、複式簿記より簡単な「単式簿記」によって記帳されます。ただし収益を目的にした事業を行う町内会やPTA、その他団体などは法人税の確定申告が必要となり、青色申告のために発生主義・複式簿記による記帳を行うケースがあります。
収支報告書の作成目的
収支報告書の作成目的は、「会費は適切に使われているのか」「予定のイベントを開催できる財政状態か」などの情報を提供し、職員やメンバーなどから信頼を獲得する(不審に思われない)ことです。外部に活動の詳細を報告する意図もあります。
お金の出入りを記録して入るものの、経営状態や資産保有状況については決算報告書ほど詳細に報告しません。とはいえ確定申告や次年度の予算案設定のときに、収支報告書は重要な資料になります。
収支報告書と決算報告書の違い
収支報告書と決算報告書には、以下のような違いがあります。
収支報告書と決算報告書には、以下のような違いがあります。
| 収支報告書 | 決算報告書 | |
|---|---|---|
| 収支の認識 | 現金主義が一般的 | 収益は新収益認識基準(実現主義) 費用は発生主義 |
| 簿記の形式 | 単式簿記が一般的 | 複式簿記 |
| 報告の対象 | 組織の会員や部員など | 利害関係者(株主、債権者、税務署など) |
| 作成の目的 | 適正な運営を報告するため | 利害関係者に報告するため |
| 関連法規 | なし | 会社法 金融商品取引法 法人税法 |
まず、収支報告書と決算報告書は、作成目的や誰に向けて作成するのかが異なります。収支報告書が組織内外に運営が適正に行われていることを報告するのに対し、決算報告書は利害関係者に対して企業の儲けや資産状況を報告することなどを目的としています。
また、収支報告書が簡易的な簿記の方法で作成できるのに対して、決算報告書は利害関係者に対して報告する必要があるため、原則的な方法での作成が求められます。
収支報告書の記載事項
収支報告書の書式はとくに決まっていません。収支報告書として作成する組織規模の場合は法的な開示・提出義務もないことが多いため、自由にテンプレートや記載事項を決定できます。
しかし、収支報告書の作成目的を満たすには、記載しておいたほうがよい事項が存在します。具体的な記載事項は次のとおりです。
| 収支報告書の記載項目 | 概要 |
|---|---|
| 当期収入の総額 | 1年間の収入 |
| 当期収入の項目ごとの金額 | 会費、雑収入、臨時収入、補助など |
| 当期支出の総額 | 1年間の支出 |
| 当期支出の項目ごとの金額 | ・備品購入費、交通費、通信費、水道光熱費などの管理費 ・イベント開催費といった活動費 |
| 概要 | 収入や支出の目的やそのほかの備考について |
| 前年度繰越金 | 前年度から繰り越された金額 |
| 収入合計 | 当期収入の総額と前年度繰越金の合計 |
| 次年度繰越金 | 収入合計から当期支出の総額を差し引き、次年度に繰り越す金額 |
| 予算額 | 期首に設定した予算の金額 |
| 決算額 | 決算時に確定した金額 |
| 比較増減 | ・収入の部では決算額から予算額を差し引いた金額 ・支出の部では予算額から決算額を差し引いた金額 |
収支報告書を作成する際は、領収書やレシート、現金出納帳、総勘定元帳などを参考に記載します。数値の根拠を求められたり、税務署がチェックしたりする可能性もあるため、領収書等や帳簿類はなくさないように保存しておきましょう。
金額計算や日々の記帳は、Excelや会計ソフトを活用することをおすすめします。
収支報告書を記載する際は、領収書やレシート、現金出納帳、総勘定元帳などを参考に記載します。数値の根拠を求められたり、税務署がチェックしたりする可能性もあるので、領収書等や帳簿類はなくさないように保存しておきましょう。
金額計算や日々の記帳は、EXCELや会計ソフトを活用することをおすすめします。
収支報告書の書き方の具体例
収支報告書の書き方は難しいものではありません。ほとんどの場合は現金の収支について記載するのみであるためです。簡単な例をみていきましょう。
収支報告書の書き方の見本(町内会)
収支計算書の基本的な書き方とサンプルについて、町内会の収支を例にまとめました。

概要欄で書ききれない情報がある場合は「添付書類参照」や「別紙参照」とし、必要な資料を添付したりコピーしたりしておきましょう。
部活動・サークル活動の収支
部活動やサークル活動の収支の場合、町内会と項目が少し変わるだけになります。部員や部員の保護者、管理者などがひと目で判断できるように項目や概要欄を整理しておきましょう。

飲み会や忘年会の収支
飲み会や忘年会の収支は、メールや報告書等で上司や経理担当に報告するケースが多いです。例えばメールの場合は簡潔にわかりやすくまとめ、数日以内に報告しましょう。
◯月△日 営業部 歓送迎会 会計報告
〇〇部長
お世話になっております。
先日、居酒屋〇〇にて開催しました、営業部での歓送迎会に関する会計報告です。
ご確認のほど、何卒よろしくお願いいたします。
<収入の部>
会費:5,000円×15名=75,000円
会社補助:50,000円
合計:125,000円
<支出の部>
飲食代:7,000円飲み放題コース×15名=105,000円
景品代:10,000円
合計:115,000円
残金10,000円は次回の飲み会に繰り越し。
以上
このとき領収書やレシートの写真やPDFを添付すると、経理担当も詳細が把握しやすくてよいです。
収支報告書のテンプレート(無料)
以下より無料のテンプレートをダウンロードしていただけますので、ご活用ください。
収支報告書の作成のポイントをおさえよう!
収支報告書は、外部・内部の人間に組織の活動内容や運営状況を伝えるための大切な書類です。信頼獲得や運営状態の把握などに欠かせないため、書き方や書式、作成目的のポイントを押さえ、しっかりと作り込みましょう。
よくある質問
収支報告書とは?
収支報告書とはある一定期間(1年間や1飲み会単位など)の収支についてまとめた書類のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
収支報告書の作成目的は何?
適切な情報を提示して、職員やメンバーなどから信頼を獲得することです。詳しくはこちらをご覧ください。
収支報告書に必須の記載事項はある?
基本的に収支報告書の書式は決まっていません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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