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  • 作成日 : 2019年7月17日
  • 更新日 : 2020年9月17日

売掛金と買掛金の仕訳方法 未回収トラブルを避ける対策は?

商売をしていると、売上や仕入れについて掛取引を行っている方も多いでしょう。また売掛金が未回収となっている場合も少なくないと思われます。今回は、売掛金と買掛金の基本、仕訳方法、売掛金が未回収になってしまった場合の対処法を解説します。

売掛金・買掛金とは?

売掛金とは、商売で商品などを売り上げたとき、その場で現金を領収するのではなく、後日代金の受領を行う掛取引のことをいいます。買掛金とは、商売で商品などの仕入れを行ったとき、その場で現金を支払うのではなく、後日代金の支払いを行う掛取引のことをいいます。掛取引は、通常、事業者間で行われます。また、お互いに締め日と支払日を決めておき、その日に金銭などの授受を行います。

例えば、当月末締め、翌月末支払いという取り決めの場合には、当月に商品の納品などが行われるので、売上側では売上(売掛金)が、仕入れ側では仕入れ(買掛金)が当月に計上されますが、代金の支払いは翌月の末日までに行われます。
この支払期間が長いと、売り掛け(売上)側の会社は入金の時期が遅くなるため、資金繰りに苦労することとなります。反対に、買い掛け(仕入れ)側の会社からすると、支払い時期が遅くなりますので、資金繰りは楽になります。

また、飲食店では「ツケ払い(後日払い)」をしている場合がありますが、その場合には実際に飲食した日に売上(売掛金)を計上しなければなりません。

掛売り上げ・掛仕入れ・代金の授受・値引きがあった場合などの仕訳

一般的な掛売り上げ、掛仕入れに関連する取引についての仕訳は次のとおりです。

1. 10,000円の掛売り上げがあった場合
(売掛金)10,000円
(売上)10,000円

2. 10,000円の掛仕入れがあった場合
(仕入)10,000円
(買掛金)10,000円

3. 1の売掛金10,000円の振込入金があった場合
(普通預金)10,000円
(売掛金)10,000円

4. 2の買掛金10,000円の振込支払いがあった場合
(買掛金)10,000円
(普通預金)10,000円

5. 1の売掛金に対して値引き300円があり、9,700円の振込入金があった場合
(普通預金)9,700円
(売上値引き)300円
(売掛金)10,000円

6. 2の買掛金に対して300円を値引いて振込支払いした場合
(買掛金)10,000円
(普通預金)9,700円
(仕入値引き)300円

7. 1の売掛金に対して振込手数料540円(当社負担)が差し引かれて振り込まれた場合
(普通預金)9,460円
(売上値引き もしくは 支払手数料)540円
(売掛金)10,000円

8. 1の売掛金に対して振込手数料は先方負担で振り込まれた場合
(普通預金)10,000円
(売掛金)10,000円

9. 2の買掛金に対して振込手数料540円を自社負担で振り込んだ場合
(買掛金)10,000円
(支払手数料)540円
(普通預金)10,540円

10. 2の買掛金に対して振込手数料540円(先方負担)を差し引いて振り込んだ場合
(買掛金)10,000円
(普通預金)10,000円

売掛金の回収トラブルと対策

商売をしていて一番気を付けなければならないのが、売掛金の回収です。
掛売上げが行われると売掛金と売上が計上されます。売上が計上されるということは、収益が発生するため、会社の利益が増えることになります。会社の利益が増えると、税金の支払額が増加することとなります。さらに、消費税の支払いも増加します。

したがって、売掛金の回収が通常通り入金されれば問題ありませんが、万が一、先方からの入金が滞った場合、その売掛金の入金がない状態で、先に税金等の支払いをしなければなりません。そうなると、会社の資金繰りが悪化するため、金融機関などから借入しなければならない場合もあります。もちろん、金融機関から借入をすれば利息の支払いが生じます。

また、いわゆる黒字倒産というものは、売上があって利益が生じているにもかかわらず、売掛金などの回収が滞り、資金繰りが悪化したことが原因で起こります。

売掛金の回収が滞った場合の対応としては、相手先に請求をし続けることが重要です。それでも売掛金の回収ができない場合は、法的手段により代金の回収をするために、弁護士へ依頼することも一つの方法です。
また、貸倒処理をすることで、利益の額を減らし、税金の支払いを圧縮する方法もあります。ただし、税法上の貸倒処理については、一定の要件に該当しないと認められないので注意しましょう。売掛金の貸倒れは、次の場合ごとの各金額を貸倒処理することができます。

(1)売掛金が切り捨てられた場合

次に掲げるような事実に基づいて切り捨てられた金額は、その事業年度の損金として処理できます。

  1. 会社更生法、会社法、民事再生法の規定により切り捨てられた金額
  2. 債権者集会の協議決定で、合理的な基準によって切り捨てられた金額
  3. 債務者の債務超過の状態が相当期間継続して、売掛金の弁済を受けることができない場合に、その債務者に対して、書面(実務上は内容証明郵便)で明らかにした債務免除額

(2)売掛金の全額が回収不能となった場合

債務者の資産状況、支払能力等からその全額が回収できないことが明らかになった場合は、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金処理することができます。

(3)一定期間取引停止後弁済がない場合

次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対する売掛金について、その売掛金の額から備忘価額(例えば1円)を控除した残額を貸倒れとすることができます。

  1. 債務者の資産状況等が悪化したため、その債務者との取引を停止した場合において、その取引停止の時と最後の弁済の時のうち最も遅い時から1年以上経過したとき
  2. 同一地域の債務者に対する売掛金の総額が取立費用より少なく、支払いを督促しても弁済がない場合

以上のように、売掛金が回収できなかったらといって、すぐに貸倒処理とすると税務上否認されてしまいます。

したがって、最も重要なことは、当たり前ですが、きちんと支払いをしてくれる会社と取引することです。特に、新規の取引先には十分注意してください。
新規の取引先は、取引当初は現金取引をし、問題がなければ掛取引を始めたり、また、掛取引をする条件として、保証金などの名目でお金を先に預かったりすることなども一つの方法です。
せっかく売上げたのに、お金がもらえない事態に陥らないためにも、取引先と売掛金の管理は徹底して行いましょう。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:並木 一真(税理士/1級FP技能士/相続診断士/事業承継・M&Aエキスパート)

並木一真税理士事務所所長
会計事務所勤務を経て2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・節税対策・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等を中心に幅広く税理士業務に取り組んでいる。

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