- 更新日 : 2025年2月20日
日産を「年収1000万円」の家計に例えたら分かる、監査法人がゴーン氏不正を見逃した理由
カルロス・ゴーン氏の逮捕劇から10日が経ちました。日産自動車の有価証券報告書に、自身の報酬を約50億円過少に記載した疑いが持たれているゴーン氏。世界を股に掛けるカリスマ経営者のスキャンダルだけに、国内外で報道もヒートアップしています。
その標的は日産とルノーだけでなく、「不正を見抜けなかった」として日産の監査を担当したEY新日本監査法人にも及んでいます。
会計士「不正を見抜くのは難しかっただろう」

なぜ監査法人は不正を見抜くことができなかったのでしょうか。上場企業の監査の経験がある公認会計士のAさんは、「監査法人が不正を見抜くのは難しかっただろう」と指摘します。
「そもそも監査は、会社の状況や業種によって、『売上や利益の〇%以下の数字は細かくみない』などのルールを設けていることがあります。
例えば、日産は2017年度の売上が11兆9,512億円にも上ります。このうち、同年のゴーン氏の役員報酬7億3,500万円の割合は0.006%です。毎年高額だと話題になるゴーン氏の役員報酬でさえも、割合にすると0.01%にも満たないのです。
売上額の大きい企業だと、細かい数字まで追っていくときりがないので、監査のレベルを落とす部分がどうしても出てくるのです」(Aさん)
日産の売上を「年収1,000万円家計」に例えると…
日産の年間売上を「給与収入1,000万円の家計」に例えると、より数字のコントラストがはっきりすると言います。
「日産の2017年度の有価証券報告書をもとに、売上を『給与収入1,000万円』に換算すると、次のような表になります。

表から分かるとおり、ゴーン氏の役員報酬は615円に相当します。想像よりも少なく感じた方が多いのではないでしょうか。
また、ゴーン氏は2010~14年度までの5年間で報酬約50億円を過少記載していた疑いが持たれていますが、これを換算すると4,184円に相当します。
◆毎年の貯金額は64万円
◆ゴーン氏の役員報酬は615円
◆5年間で50億円の過少記載は4,184円 に相当する。
監査法人を擁護するわけではないですが、年収1,000万円の家計のうち約4,000円がへそくりになっているのを気付くのは難しい、ということは想像できます。
さらに、その4,000円がちゃんとした名目で処理されていたら、監査法人としてはさらに企業を追及することは難しいという実情があるのです」(Aさん)
監査法人は日産に疑義指摘していた

また、新聞各社の報道によると、EY新日本監査法人は2011年頃から日産に対し、オランダの子会社の「実態が不透明」などと複数回指摘していたそうです。
「資金の流れが不透明だと指摘していたそうですが、日産側は問題ないとしていたそうですね。
先ほどの内容と重複しますが、基本的に、監査はその企業の内部統制がしっかり機能していることを前提にしています。企業側から正当な理由を述べられると監査法人としてはそれ以上の追及ができなくなるのです。
とはいえ、第三者の立場から上場企業の監査を行うことを法律で唯一認められているのが公認会計士ですから、“外部の目”としてチェック機能は強化していかなければなりません。
監査法人や公認会計士は、会計基準・監査基準等の法規知識に加えて、経験豊富な経営者と適切にコミュニケーションをとれるだけのビジネスの知識・経験を身につけることが必要になるでしょう」(Aさん)
参考|日産自動車株式会社 第119期(自平成29年4月1日 至平成30年3月31日) 有価証券報告書
https://www.nissan-global.com/JP/DOCUMENT/PDF/FR/2017/fr2017.pdf
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
単一基準配賦法とは?原価計算例や複数基準配賦法への検討をわかりやすく解説
原価計算の第一歩として、中小企業を中心に採用されることが多い「単一基準配賦法」。計算がシンプルというメリットがある一方で、実は原価情報の誤差が経営判断に影響する可能性があります。なぜこの方法では原価が不正確になることがあるのでしょうか。 こ…
詳しくみる役員賞与は税金が高くつく!?
ボーナスと呼ばれる賞与は、もらう側にとって仕事が評価された喜びを高め、モチベーション・アップにもつながります。一方で、支払う側にとっては、そのモチベーション・アップを業績に反映させ、雇用環境をさらによくするための投資にもなります。 さらに、…
詳しくみる帳票のペーパーレス化とは?なぜ必要か?電子化の始め方や進め方を解説
帳票のペーパーレス化は企業に多くの利点をもたらします。 単に、「経理」とは限定せず全業務の「帳票」をペーパーレス化することにより、企業全体にコスト削減と業務効率化、スペースの有効活用など多くのメリットが考えられます。 本記事では、帳票のペー…
詳しくみるIFRS(国際会計基準)とJGAAP(日本会計基準)の違いは?具体例でわかりやすく解説
IFRSとJGAAPの違いは、企業の財務報告における売上や貸借対照表の表示方法などが挙げられます。この記事では、収益認識や営業利益などの具体例を交えながら、IFRSとJGAAPの違いをわかりやすく解説します。 IFRS(国際会計基準)とは …
詳しくみる覚書に収入印紙は必要か不要か?かかる金額は?
様々な契約の場面では、契約書以外に「覚書」の作成が必要となる場合があります。その際、「覚書に収入印紙は必要か」「覚書に貼る収入印紙の金額が分からない」といった点で困る方も多いのではないでしょうか そこで当記事では、覚書の基本知識や収入印紙が…
詳しくみる経理マニュアルの作り方やポイントを解説!見本・テンプレートつき
経理マニュアルとは、経理業務を標準化し、属人化やミスを防ぐための指針となる文書です。業務が煩雑でミスが減らない、引継ぎに問題があると感じているなら、経理マニュアルがその解決に役立ちます。 この記事では、作成の手順や押さえておきたいポイントを…
詳しくみる会計の注目テーマ
- 勘定科目 消耗品費
- 国際会計基準(IFRS)
- 会計帳簿
- キャッシュフロー計算書
- 予実管理
- 損益計算書
- 減価償却
- 総勘定元帳
- 資金繰り表
- 連結決算
- 支払調書
- 経理
- 会計ソフト
- 貸借対照表
- 外注費
- 法人の節税
- 手形
- 損金
- 決算書
- 勘定科目 福利厚生
- 法人税申告書
- 財務諸表
- 勘定科目 修繕費
- 一括償却資産
- 勘定科目 地代家賃
- 原価計算
- 税理士
- 簡易課税
- 税務調査
- 売掛金
- 電子帳簿保存法
- 勘定科目
- 勘定科目 固定資産
- 勘定科目 交際費
- 勘定科目 税務
- 勘定科目 流動資産
- 勘定科目 業種別
- 勘定科目 収益
- 勘定科目 車両費
- 簿記
- 勘定科目 水道光熱費
- 資産除去債務
- 圧縮記帳
- 利益
- 前受金
- 固定資産
- 勘定科目 営業外収益
- 月次決算
- 勘定科目 広告宣伝費
- 益金
- 資産
- 勘定科目 人件費
- 予算管理
- 小口現金
- 資金繰り
- 会計システム
- 決算
- 未払金
- 労働分配率
- 飲食店
- 売上台帳
- 勘定科目 前払い
- 収支報告書
- 勘定科目 荷造運賃
- 勘定科目 支払手数料
- 消費税
- 借地権
- 中小企業
- 勘定科目 被服費
- 仕訳
- 会計の基本
- 勘定科目 仕入れ
- 経費精算
- 交通費
- 勘定科目 旅費交通費
- 電子取引
- 勘定科目 通信費
- 法人税
- 請求管理
- 勘定科目 諸会費
- 入金
- 消込
- 債権管理
- スキャナ保存
- 電子記録債権
- 入出金管理
- 与信管理
- 請求代行
- 財務会計
- オペレーティングリース
- 新リース会計
- 購買申請
- ファクタリング
- 償却資産
- リース取引