- 更新日 : 2025年2月19日
創立費と開業費の会計処理について
会社の創立と開業準備にかかる費用である創立費と開業費は、繰延資産として資産計上でき、償却方法としてはいつでも必要経費として償却することができる、任意償却が適用されます。創立費、開業費、繰延資産についてとその償却方法を説明します。
繰延資産とは
税務上の繰延資産とは、法人が支出する費用のうち、支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶものをいいます。
一方、会計上の繰延資産としては、創立費、開業費、株式交付費、社債発行費、開発費の5つが挙げられます。
開業費とは
開業費とは、会社設立後から営業開始までにかかった費用で、印鑑作成費用、開業のチラシ、DMの作成費用、市場調査費などのことをいいます。
開業費の会計処理
開業費は、会計上は、定額法で5年償却することになりますが、税法上は任意償却といい、いつ償却しても構いません。
創立費とは
創立費とは、定款、作成費用、登記費用、登録免許税、会社の設立事務に必要な費用など、会社設立に必要な費用のことです。
法人を設立するために支出したこれらの費用は設立時に一度に費用計上すると、その期の費用が大きくなってしまうので、繰延資産に計上して、将来数回に分けて償却することが可能です。
創立費の会計処理
会計上は繰延資産に計上し、定額法で5年償却しますが、税務上は任意償却でもよいのは開業費と同様です。
まとめ
開業費や創立費とは何か、また、繰延資産としての償却方法について説明しました。会社設立当初は、創立費や開業費などの費用がかかるうえ、事業が順調にいくまで赤字になることもあります。
創立費や開業費を繰延資産として資産計上しておき、利益の出たときに任意償却を利用して損金算入することで、節税につなげることができます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
手形売却損とは?仕訳例からわかりやすく解説
お金の代わりとして使えるのが手形です。手形は金融機関に売却することで、早期に現金化できます。ただし、満期日前に現金化すると割り引かれてしまうため注意が必要です。この割引料を「手形売却損」といいます。 手形売却損は売却時の内容によって仕訳を行…
詳しくみる請求金額より少なく入金された場合の仕訳方法は?パターン別に解説
請求した売掛金に対して、入金が足りない場合はどのように対応すべきでしょうか。取引先への督促や仕訳の方法がわからない方も多いでしょう。 過少入金が発生した場合、まずは原因を特定することが重要です。本記事では、過少入金が起こる要因や仕訳の方法、…
詳しくみる貯蔵品はこんなに便利!知って得する貯蔵品に関する知識まとめ
利益を生み出すために必要な費用は、基本的にすぐに消費することを前提に経理処理を行なうものです。 とは言え、購入したけれど例年通りに消費することができず、期末にたくさん余ってしまった消耗品や収入印紙は消費していない状態であるため、費用計上する…
詳しくみる協賛金の仕訳方法と勘定科目まとめ
会社で協賛金を支払うことや受け取ることになった場合、いくつかの勘定科目が考えられます。勘定科目によって税区分が異なるため、各科目の特徴を理解していくことが大切です。 今回の記事では、協賛金を支払った際に考えられる勘定科目や消費税区分について…
詳しくみる法人成りの仕訳とは?資産・負債の引継ぎや税務処理をわかりやすく解説
個人事業から株式会社や合同会社へと形態を変える「法人成り」は、節税対策や信用力向上のために実施されることが増えています。しかし、会計処理の面では、個人の支出と法人の帳簿をしっかり切り分ける必要があり、資産や負債の引継ぎ、設立時の費用、税金の…
詳しくみる立替金とは?仕訳方法や預り金などとの違いを解説
立替金とは会社内外に関わらず、取引先や従業員などが本来負担すべき金銭を一時的に会社が立て替えた際に仕訳処理するための勘定科目です。立て替えは一時的なものとし、相手から返済してもらうことが前提です。 本記事では立替金の意味や、似ている用語との…
詳しくみる