役員報酬を確実に損金扱いするための3つの注意点

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役員報酬イメージ

法人会計において、金額の大きさからも特に重要度が高いものの1つとして「役員報酬」と「役員退職金」が挙げられます。

いずれも金額が決して少なくない額であるため、きちんと手続きを踏まなかったばかりに、経費として認められない(=損金不算入)といった事態は避けなければいけません。

役員報酬も役員退職金も正しく損金に算入できるよう、今回は事前に行うべき手続きについて確認していきます。

損金不算入とは?

損金不算入とは、会社が費用として計上しているにも関わらず、損金として認められないものをいいます。損金として認められないものには、過大役員給与、過大役員給与、寄付金及び交際費の損金不算入制度といったものがあります。

※経費になるもの・ならないものに関しては「個人事業主が迷う「これって経費?」覚えてお得なQ&A28選!」をご参照ください。

実質的に立場を有していれば「役員」とみなされる

まずは役員の定義について確認してきましょう。通常、会社法上での役員は株主総会決議で選ばれた取締役等で、その会社の登記簿謄本に記載されています。しかし、税法上の役員は会社法の役員と一致していないため、名前が登記簿に載っていないこともあり注意が必要です。

この背景には、法人税における「課税の公平」という概念が深く関係してきます。

課税の公平とは?

税法には「課税の公平」という考え方があります。税金は法律等に則って徴収されますが、法律で決まられたとおりの運用が課税の公平に反するのであれば、実際にはどうかといった視点で判断します。そのため、原則ではない例外規定が多く存在するのです。

従って、相談役や顧問といった肩書きで取締役ではなくても、会社経営に携わっている人であれば役員とみなします。また、同族会社の場合は一定の大株主で会社の経営に携わっている人も役員とみなします。“みなす”という扱いになるため「みなし役員」と呼ばれます。

同じような肩書きで「兼務役員」もいます。正確には「使用人兼務役員」で、取締役でありながら部長であるなど、使用人と役員の両方の立場を持っている人がこれに該当します。

社長や副社長、専務、常務といった役付きの役員は、仮に使用人としての立場を有していたとしても、使用人兼務役員には該当しません。使用人兼務役員の報酬は使用人の部分と役員の部分を分けて考えることになります。

過大役員給与の場合は損金(経費扱い)にはなりません!

Photo by Tax Credits

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役員給与を損金として取り扱うためには、3つの注意点があります。これを守らないと「過大である」として損金に算入されません。

1. 定期同額給与であること

まずは「毎月決まった日に同じ金額を支払うこと」が重要です。役員給与の金額は、定款あるいは株主総会の決議を経る必要があります。

もっとも、経営状況が著しく悪化するなどやむを得ない場合は、減額が可能ですが、細かな規定があるので、税理士等の専門家に相談したほうが良いでしょう。

なお、減額が認められるのは、主に以下の場合となります。

(1) 株主との関係上、役員としての経営責任からやむを得ないと判断される場合
(2) 取引銀行との関係上、返済についてリスケジュールを行うのに必要であると判断された場合
(3) 資金繰り悪化に伴う経営改善に、役員給与の減額が必要であると判断された場合

2. 事前確定届出を提出してあること

1.のような定期同額給与以外へ臨時給与の例としては賞与があります。賞与を損金として認められるためには、予め税務署への届出が必要です。そのため、賞与ではなく役員給与に含めて支給することが多いようです。

事前確定届出を出す場合には株主総会等の決議が必要となります。そして決議をした日から1ヶ月を経過する日(その会計期間開始の日から4か月を経過する日のとのいずれか早い日)までが提出期限になりますので、それまでに所轄の税務署に届出をしなくてなりません。

3. 業績連動給与の場合は「有価証券報告書」への記載が必要

利益に連動して給与(賞与)を支給する場合は、利益に対する取り決めが「有価証券報告書」記載されている必要があります。そのため、同族会社でこれに該当する企業は少ないでしょう。 

役員報酬が「過大」であると判断される2つの基準

上記の3つのポイントを守っても、役員報酬の金額が過大であると判断された場合は、損金として認められないので、注意が必要です。

役員報酬が「過大」であると判断する基準は、2つあります。

形式基準

1つは形式基準です。前項で述べた3つのポイントが守られているかです。これらの形式基準を満たしていることを証明するために、議事録を定款等に記載されている方法に従って作成しておく必要があります。

実質基準

もう1つは実質基準です。役員の仕事の内容、会社の収益、従業員の給与、同業他社の役員報酬の金額を総合的に見て、その会社の役員報酬が妥当であるか判断するというものですので、はっきりした基準はありません。他社よりも多い金額を役員報酬とするのであれば、税務署も納得できる合理的な理由が必要になります。

役員報酬として支給していなくても、役員報酬とみなされる場合があるので、こちらも注意が必要です。例えば以下のものがあります。

(1) 役員に対して無利息で金銭を貸した場合の利息相当額
(2) 土地や建物を安く貸した場合の適正な賃料との差額
(3) 資産を無償譲渡した場合譲渡した資産の時価など

なお、これらに該当する場合は法人税と所得税の二重課税にならないように注意が必要です。

退職金も役員報酬と同様「過大」の場合は損金不算入

役員の退職金についても見てみましょう。役員報酬と同じように、適正な部分は損金に算入されますが、過大であると判断された部分については損金に算入されません。その際は、同規模の同業他社に役員として従事した場合と比較して、退職金の額が妥当であるかが判断されます。

おわりに

役員報酬を正しく損金として処理することは難しいことではありません。手続きを正しく踏む必要があるだけです。 税法はみなす規定が多いことから、法人税の取り扱いは注意が必要です。

また、書類の提出期限等細かな規定も多いことから、手続きをしなかったために損金として認められないといったケースも多く存在します。早め早めの手続きをすること、場合によっては税理士等の専門家に事前に相談をするようにしましょう。

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※掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:加地 延行 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。
創業は70年を超え、税務・会計はもちろんのこと経営コンサルティングや法務、労務、ITにいたるまで、多岐にわたる事業を展開し今では4500件を超えるお客様と関与させて頂いております。
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