外交員報酬の税法上の扱いは?源泉徴収の方法について解説

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保険の外交員や集金人、または電力計の検針人などを指す「外交員」に支払う外交員報酬は、税法上「給与」とは違う扱いを受けます。

ここでは外交員及び外交員報酬の定義を解説するとともに、税法上の「給与」との違いを明らかにし、外交員報酬に関する源泉徴収での注意点について解説します。

「外交員報酬」と「給与」の税法上の違い

「外交員」の定義

外交員については所得税法第204条第1項第4号に基づいて、次のように解釈されています。

事業主の委託を受け、継続的に事業主の商品等の購入の勧誘を行い、購入者と事業主との間の売買契約の締結を媒介する役務を自己の計算において事業主に提供し、その報酬が商品等の販売高に応じて定められている者

(引用:国税不服審判所 平11.3.11裁決、裁決事例集No.57 206頁)

つまり企業から雇われているわけではないものの、継続的に企業からの委託を引き受けて外回りの営業を行っている者が外交員です。この外交員に支払われる報酬を外交員報酬と呼びます。

「外交員報酬」と「給与」の税法上の違い

税法上の外交員報酬と給与の違いについては、国税庁のホームページに公開されている「所得税法基本通達204−22(外交員または集金人の業務に関する報酬または料金)」に具体的に記されています。

(1) その報酬または料金がその職務を遂行するために必要な旅費とそれ以外の部分とに明らかに区分されている場合  法第9条第1項第4号《非課税所得》に掲げる金品に該当する部分は非課税とし、それ以外の部分は給与等とする。

(2) (1)以外の場合で、その報酬または料金が、固定給(一定期間の募集成績等によって自動的にその額が定まるもの及び一定期間の募集成績等によって自動的に格付される資格に応じてその額が定めるものを除く。以下この項において同じ。)とそれ以外の部分とに明らかに区分されているとき。  固定給(固定給を基準として支給される臨時の給与を含む。)は給与等とし、それ以外の部分は法第204条第1項第4号に掲げる報酬または料金とする。

(3) (1)及び(2)以外の場合  その報酬または料金の支払の基因となる役務を提供するために要する旅費等の費用の額の多寡その他の事情を総合勘案し、給与等と認められるものについてはその総額を給与等とし、その他のものについてはその総額を法第204条第1項第4号に掲げる報酬または料金とする。

(引用:国税庁 所得税法基本通達204−22)

(1)は仕事に必要な旅費を明確に区分して支給している場合は、旅費以外の部分は給与として扱われるという意味です。

(2)は固定給とそれ以外の部分がはっきりと区分されている場合は固定給分は給与とみなされ、それ以外は外交員報酬とみなされるという意味です。

(3)は(1)や(2)のようにわかりやすく分けられていない場合は、総合的に判断するという旨が書かれています。

固定給は実績の変動によって変わるものではありません。外交員の定義は「報酬が商品等の販売高に応じて定められている者」です。そのため固定給の部分は外交員報酬ではなく、給与になるのです。

「外交員報酬」の源泉徴収のやり方

外交員報酬の源泉徴収とは?

外交員報酬は所得税法上「事業所得」に区分され、給与は「給与所得」に区分されます。そのため課せられる所得税及び復興特別所得税にも違いが生まれます。

外交員報酬及び給与を支払う際には、あらかじめこれらの所得税を源泉徴収しなくてはなりません。外交員報酬の源泉徴収税額は次の計算式で求められます。

外交員報酬の源泉徴収税額=(外交員報酬の月額−12万円)×10.21%

対して給与の源泉徴収は「給与所得の源泉徴収税額表」を使って計算を行います。

その月の社会保険料等控除後の給与の金額が20万円、外交員報酬の月額も20万円だった場合の源泉徴収税額を比べてみましょう。

平成28年分の給与所得の源泉徴収税額表によれば、独身者の場合の源泉徴収税額は4,770円です(扶養親族等の数が増えるほど減額)。

対して外交員報酬の場合は次のようになります。

(20万円-12万円)×10.21%=8,168円

外交員報酬を支払った場合の源泉徴収納付期限

外交員報酬と給与の税法上の違いは源泉徴収税額だけでなく、納付期限にも設けられています。企業は源泉徴収したお金を国に対して納めなくてはなりませんが、外交員報酬の源泉徴収税はいずれの企業も外交員報酬を支払った月の翌月10日が納付期限とされています。

対して給与支給人員が常時9人以下の企業については特例を受けていれば、給与の源泉徴収税を半年に1回まとめて納付することができます。もしこの特例を受けていたとしても、外交員報酬の源泉徴収税は特例の対象にはなりません。

なお、特例を受けていない場合には外交員報酬と同様に支払った月の翌月10日が納付期限とされています。

まとめ

税法上、外交員報酬と給与には明確な区別があります。企業などの給与支払者はもちろん、それを受け取る外交員もこうした区別をあらかじめ理解しておく必要があるでしょう。

外交員及び外交員報酬の定義や、源泉徴収における違いなどに注意して、くれぐれも間違いのないように対応しましょう。

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