• 更新日 : 2025年9月9日

ファクタリングの審査とは?手順や審査基準、落ちる事例5選を解説

ファクタリングの審査は、申込者の信用力や売掛先の支払い能力と債権の正当性を見極める工程です。資金化が早く柔軟に活用できる一方、手数料負担や回収見込みの不確実性がデメリットとなります。契約書・発注書請求書検収書・入金記録の整備、継続取引の証憑や支払期日の明確化、書類の整合性確保と二重譲渡の排除まで、準備を抜け漏れなく進めましょう。

ファクタリング審査とは

ファクタリングの審査とは、売掛債権が確実に回収できるかどうかを見極めるためのプロセスを指します。

銀行融資のように「申込者自身の信用力」が重視されるのではなく、売掛先企業の支払い能力や、売掛債権そのものの正当性が主な審査対象です。

制度的な規制がない中、仕組みを十分に理解しないまま利用してトラブルに発展するケースもあるため、事前の理解が重要です。

審査では「実在する債権である」「売掛先から期日通りに支払われる見込みがある」といったポイントが重視されます。

ファクタリングを有効活用するには、実際の流れや審査基準を把握しておきましょう。

ファクタリング審査申し込み〜入金までの手順

ファクタリングを利用するには、いくつかのステップを踏む必要があります。

相談から入金までは、最短で即日対応が可能な場合もあるため、手続きの流れをしっかり把握しておくことが重要です。

また、各工程での書類不備や対応ミスは、審査落ちや入金遅れにつながるおそれがあります。

ここでは、申し込みから入金までの手順を順を追って紹介します。

相談・問い合わせ

ファクタリングの利用を始める際は、まず信頼できる会社をいくつか選定し、相談・見積もりを依頼する作業からスタートします。

手数料率や対応スピード、買取対象の条件などは業者によって異なるため、複数社にアプローチして比較します。

問い合わせの際は、電話やWebフォーム、LINEなどを活用し、初回相談でサービス概要や概算条件を把握する意識が重要です。

また、担当者の対応スピードや説明のわかりやすさも、業者選びの重要な判断ポイントです。

相談時には、売掛先の情報や資金ニーズを正確に伝える姿勢が、審査の円滑化につながります。

不明点があれば、遠慮せず質問しておく意識も重要です。

申し込み・必要書類の提出

利用するファクタリング会社が決まったら、正式な申し込み手続きをおこないます。

申込方法はWebやメール、対面などさまざまで、急ぎの際は即日対応可能な手段を選ぶのがおすすめです。

申し込みと同時に、必要書類の提出も求められます。

主な提出書類は、請求書、売掛先との契約書などです。

【主な提出書類】
  • 請求書
  • 売掛先との契約書
  • 取引履歴 など

書類の不備や記載漏れがあると、審査に進めない・追加提出を求められるといった事態になり、入金が遅れる要因になります。

あらかじめ売掛先との契約内容や請求情報を整理し、スムーズに提出できるよう準備しておく必要があります。

審査

提出された書類をもとに、ファクタリング会社が「売掛金がきちんと支払われるかどうか」を審査します。

審査段階では、売掛先の信用力や取引履歴の整合性、請求内容の妥当性などを総合的にチェックされます。

即日審査をうたう業者であっても、確認項目は省略せず、内容に不備や不審な点があれば、スピードより安全性を優先するのが一般的です。

また、審査では、売掛先の経営状況や取引履歴だけでなく、その他の細かな点も判断材料です。

たとえば、「請求書の記載内容と通帳の入金記録にズレがある」「継続的な取引実績が乏しい」といった、細かい点で不安要素がある場合も否決されることがあります。

スムーズに進めるには、審査前に事実を裏付ける資料をしっかり準備しておく必要があります。

不明点があれば追加書類の提出を求められる場合もあるため、スムーズに対応できるよう準備しておくと安心です。

審査結果・条件提示

審査を通過すると、ファクタリング会社から買取可能額や手数料率、入金予定日などの条件が提示されます。

審査結果が出た時点で、契約内容を細かく確認し、手数料の計算方法や入金スケジュールに不明点があれば、必ず担当者に確認をとります。

内容に不明点がある場合、業者によっては条件を交渉可能です。

納得できる条件で契約できるかどうかを冷静に判断し、無理に進めない姿勢がトラブル防止につながります。

特に資金繰りのスケジュールに関わる部分は、事前の確認とすり合わせが重要です。

契約・入金

提示された条件に納得できれば、正式に契約手続きへ進みます。

契約書への署名・押印に加えて、本人確認書類の提出を求められる場合もあるため、事前に準備しておくとスムーズです。

契約が完了すると、指定の銀行口座へ入金がおこなわれます。

なお、取引先に通知せずに進められる形式を採用している業者であれば、売掛先には知られずに資金調達が可能な場合もあります。

書類の確認や手続きがスムーズに進めば、即日での資金確保が実現するケースもあり、早期の入金を希望する方にとっては大きなメリットです。

ファクタリングの審査基準

ファクタリングの審査で見られるのは、売掛金の回収見込みです。

そのため、売掛先がどのような企業か、請求内容に不備がないかといった点が重点的にチェックされます。

ここでは、ファクタリングの際にチェックされる主な審査基準を3つ解説します。

売掛先(取引先企業)の信用力

ファクタリングの審査では、利用者本人ではなく「売掛先の信用力」が重視されます。

売掛先は、売掛金の支払いをおこなう取引先企業です。

たとえば、上場企業などの財務内容が安定している大手企業との取引は、支払い能力が高いと判断され、審査に通りやすいケースのひとつです。

一方で、個人事業主や設立間もない法人、過去に支払い遅延のある企業などは、慎重に評価される傾向にあります。

ファクタリング会社は、売掛先の経営状況や支払い履歴などを総合的に見て、売掛金の回収可能性を判断します。

信頼性の高い売掛先との取引であればあるほど、審査通過の可能性は高くなるでしょう。

売掛債権(売掛金)の内容・信頼性

ファクタリングの審査では、請求書に記載された内容が「具体的かつ正確であるか」が重要な評価ポイントです。

業務の内容や請求金額、支払い期日などが明確に示されているかどうかがチェックされます。

たとえば、「〇月分業務委託料」とだけ書かれた請求書の場合、どのような業務に対する対価かが不明確であり、債権の裏付けが弱いと判断される場合があります。

業務の実態が見えにくい取引や、根拠の薄い請求は、未回収リスクがあるとみなされやすいため注意が必要です。

そのため、債権の存在や適正さを裏付ける契約書・業務報告書・納品書など、関連資料をしっかり揃えておく取り組みが大切です。

書類の整合性や正確性が確認できるほど、審査通過の可能性も高まります。

売掛先との取引実績・履歴

ファクタリングの審査では、売掛先との継続的な取引実績があるかどうかも、重要な判断材料のひとつです。

過去に何度も請求・入金が正常におこなわれている実績があれば、売掛金の回収可能性が高いと判断されやすくなります。

たとえば、定期的に請求している売掛先で、これまで一度も支払い遅延がない場合、債権の信頼性も高いとみなされる傾向があります。

一方で、新規に取引を開始したばかりの企業や、今回が初めての請求となるケースでは、実績がないぶん慎重に評価されるのが一般的です。

一度きりのスポット契約や、取引頻度が非常に少ない案件なども、売掛金の信頼性を裏付ける要素が乏しく、リスクがあると評価される場合があります。

スムーズな審査通過を目指すなら、過去の入金記録や契約継続性を示す資料の用意が有効です。

ファクタリング審査が甘い会社でも落ちるケース

ファクタリングの審査が甘いとされる会社であっても、条件によっては審査落ちとなるケースがあります。

特に、売掛先の信用力の低さや書類の不備、対応の不誠実さなどは、審査通過を難しくする要因です。

ここでは、ファクタリング審査が甘い会社でも落ちるケースを5つ紹介します。

売掛先が設立まもない企業だった

審査が甘いとされるファクタリング会社であっても、設立から間もない企業が売掛先の場合、支払い能力の不透明さから審査に通らないケースがあります。

たとえ申込者に問題がなくても、相手企業の経営状況が見えにくい場合は、売掛金の回収が難しくなる可能性があると判断されるのが実情です。

また、新規取引を開始したばかりの相手や、今回が初回の請求であるケースでは、継続的な支払い履歴がないため、審査通過のハードルが上がります。

甘いと言われる審査でも、売掛先の設立年数や取引履歴といった基本的な信用情報は、例外なくチェックされる重要ポイントです。

請求書の金額が極端に低額だった

ファクタリング審査では、請求金額が極端に低い場合も、審査落ちの要因です。

債権の額面があまりに少額だと、手数料や審査コストに対してリターンが見合わず、取り扱いを敬遠されやすくなるためです。

売掛債権に対して支払われる買取代金があまりにも安すぎる場合は、「ファクタリングを装った違法取引ではないか」と疑われてしまうケースもあります。

そこで、多くのファクタリング会社は、一定金額以上の債権のみ対応したり、最低手数料ラインを設ける運用をおこなっています。

審査が甘いとされる会社でも、あまりに小口の請求書は対象外となる可能性があるため注意が必要です。

支払い期日が3ヶ月以上先になっている

ファクタリングでは、売掛金の支払い期日が3ヶ月以上先になっている場合、審査に通らない可能性があります。

前提として、ファクタリングは売掛金を早期に資金化することを目的としたサービスです。

しかし、支払い日があまりに先の債権は、回収までに時間がかかるため、ファクタリング会社にとってリスクが高いとみなされます。

期間が長ければ長いほど、売掛先の経営状況が変動するリスクがあるため、支払いまでの期間が長い債権は注意が必要です。

期日や契約ステータスが曖昧なまま提出しないよう、書類内容を再確認する姿勢が重要です。

契約書や発注書がなく正当性を証明できない

ファクタリング審査が甘い会社であっても、正当性を証明できていなければ審査に落ちる可能性があります。

特に、契約書や発注書が提出されていない場合や、請求書の内容が抽象的で具体的な業務実態が見えない場合には、「本当に存在する債権か?」と疑われてしまうリスクがあります。

また、納品書や検収書、成果物の報告書といった関連書類が不足している場合も、取引の実在性を証明する材料が乏しくなるケースのひとつです。

必要書類は業務の完了と支払いの確実性を裏付ける根拠として重視されるため、軽視は禁物です。

ファクタリング会社との信頼関係を築き、スムーズに資金調達を進めるためにも、取引の証拠となる書類は事前に揃え、提出できる状態にしておきましょう。

なお、契約が未締結の状態で発行された請求書や、見積書ベースで作成された請求書の場合も、売上が実際に立つのかが不透明と判断され、敬遠される可能性があります。

他社にも同時に申し込んでいたことが発覚した

ファクタリング会社に対して、同時期に複数社へ申し込みをしていたことが判明すると、審査落ちの原因になる場合があります。

複数申し込みは、同じ債権を複数の業者に譲渡する「二重譲渡」のリスクがあるとみなされるためです。

また、複数社に同時申し込みをおこなうと、提出書類の整合性が崩れる可能性があり、記載内容の不一致や名義のズレが発生しやすくなります。

細かな不備も、信頼性の低下につながり、審査に悪影響を及ぼす要因です。

審査が甘いとされる会社でも、書類の整合性や対応姿勢は重要視されるため、情報の一貫性と誠実な対応を心がける姿勢が大切です。


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