- 更新日 : 2024年8月8日
法人税申告書の別表17とは?見方や書き方、注意点まで解説
法人税申告書を作成する際、必要に応じて添付するのが「別表」です。しかし、どの別表を使ったらいいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。そこで、今回は法人税申告書別表17についてご紹介します。
どのような場合に使うのか、そして、書き方について確認しておきましょう。
目次
法人税申告書の別表17とは
法人税申告書別表17は以下の用途で使われる書類です。
法人税等各種別表番号 | 別表および付表名 | |
---|---|---|
別表17関係 | 17(1) | 国外支配株主等に係る負債の利子等の損金算入に関する明細書 |
17(1) 付表 | 国外支配株主等及び特定債券現先取引等に関する明細書 | |
17(2) | 対象純支払利子等の額の損金不算入の適用除外に関する明細書 | |
17(2の2) | 対象純支払利子等の額の損金不算入に関する明細書 | |
17(2の2) 付表1 | 対象支払利子等合計額の計算に関する明細書 | |
17(2の2) 付表2 | 控除対象受取利子等合計額の計算に関する明細書 | |
17(2の2) 付表3 | 調整対象金額に係る調整額の計算に関する明細書 | |
17(2の3) | 超過利子額の損金算入に関する明細書 | |
17(2の3) 付表 | 適格合併等が行われた場合の調整後の超過利子額の計算に関する明細書 | |
17(3) | 添付対象外国関係会社の名称等に関する明細書 | |
17(3) 付表1 | 添付対象外国関係会社に係る株式等の保有割合等に関する明細書 | |
17(3) 付表2 | 添付対象外国関係会社に係る外国関係会社の区分及び所得に対する租税の負担割合の計算に関する明細書 | |
17(3の2) | 特定外国関係会社又は対象外国関係会社の適用対象金額等の計算に関する明細書 | |
17(3の3) | 外国金融子会社等以外の部分対象外国関係会社に係る部分適用対象金額及び特定所得の金額等の計算に関する明細書 | |
17(3の3) 付表 | 外国金融子会社等以外の部分対象外国関係会社に係る特定所得の金額の計算等に関する明細書 | |
17(3の4) | 外国金融子会社等に係る金融子会社等部分適用対象金額及び特定所得の金額等の計算に関する明細書 | |
17(3の4) 付表 | 外国金融子会社等に係る特定所得の金額の計算等に関する明細書 | |
17(3の5) | 外国関係会社の課税対象金額等に係る控除対象外国法人税額の計算に関する明細書 | |
17(3の6) | 外国関係会社に係る控除対象所得税額等相当額の控除に関する明細書 | |
17(3の6) 付表 | 外国関係会社の課税対象金額等に係る控除対象所得税額等相当額の計算に関する明細書 | |
17(3の7) | 特定課税対象金額等がある場合の外国法人から受ける配当等の益金不算入額等の計算に関する明細書 | |
17(3の7) 付表1 | 適格組織再編成に係る合併法人等の調整後の課税済金額の計算に関する明細書 | |
17(3の7) 付表2 | 適格分割等に係る分割法人等の調整後の課税済金額の計算に関する明細書 | |
17(3の8) | 間接特定課税対象金額の計算に関する明細書 | |
17(3の9) | 特殊関係内国法人及び添付対象外国関係法人の状況等に関する明細書 | |
17(4) | 国外関連者に関する明細書 |
ご覧いただくとお分かりのとおり、別表17は明細関連が多い特徴があります。その中から今回は海外に関連会社がある法人が使う、別表17(4)の「国外関連者に関する明細書」についてご紹介します。
法人税申告書の別表は以下からダウンロード可能です。
⇒国税庁「令和5年4月以降に提供した法人税等各種別表関係(令和5年4月1日以後終了事業年度等分)」
法人税申告書の書き方については以下の記事を参考にしてください。
法人税申告書の別表17(4)に記載する主な項目と書き方
法人税申告書別表17(4)を提出する法人と主な項目について確認しましょう。
法人税申告書別表17(4)を提出する法人
法人税申告書別表17(4)を記載する必要があるのは、法人が措置法第66条の4第1項【国外関連者との取引に係る課税の特例】に規定する国外関連者との間で取引を行った場合です。国外関連者とは、次のようなものを指します。
- 50%以上の株式保有関係がある(親子関係・兄弟関係等)外国法人
- 役員関係、取引依存関係、資金関係など実質的支配関係といった特殊の関係がある外国法人
法人税申告書別表17(4)の記載項目
法人税申告書別表17(4)に記載する主な項目は以下のとおりです。
・資本金の額又は出資金の額
国外関連者がある国の通貨で記載します。米国であれば米ドル建てで記載するということです。
・直近事業年度の営業収益等
日本法人の事業年度終了日以前で最も近い日に終了する国外関連者の事業年度の営業収益を記載します。
・国外関連者との取引状況等
国外関連者とどのような取引をしているかを記載するところです。代表的なところでは、「棚卸資産の売買の対価」は売上や仕入について、「役務提供の対価」は技術援助や情報提供について、などです。また、算定方法の記載も必要です。
法人税申告書の別表17(4)を書く際の注意点
法人税申告書別表17(4)を記載する際の注意点を理解しましょう。
「本店又は主たる事務所の所在」は必ず記載する
「国外関連者の名称等」部分に「本店又は主たる事務所の所在」を記載するところがあります。こちらはかならず記載しましょう。タックスヘイブン国でないかを確認するために必要です。
「直近事業年度の営業収益等」は2つの通貨を併記する
国外関連者の通貨と日本円の併記が必要な部分です。日本円は百万円未満の部分を四捨五入して記載してください。
海外に関連会社等がある場合は別表17(4)の提出を!
法人税申告書別表17(4)は海外に親・子会社、兄弟会社がある法人が提出する書類です。関連会社(国外関連者)との取引での利益・損失もきちんと申告しないと納めるべき税金がはっきりと分からないため必ず提出しましょう。
また、書類を提出する際は関連会社の国・地域名も明記しましょう。そして、取引状況等の記載部分は日本円と関連会社がある国の通貨の併記が必要です。
「海外の関連会社について正確に申告しなかったことで、脱税が疑われた」という事態を起こさないためにも、申告は必ず行いましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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