- 更新日 : 2026年7月24日
勘定科目内訳明細書とは?全16種の記載内容と直近の法改正について解説
法人税申告書に添付して提出する決算書類で、貸借対照表と損益計算書の科目別内訳を示します。
- 提出期限は決算日の翌日から2ヶ月以内とする
- 全16種類のうち該当する内訳書のみ作成する
- 100件超は上位100件か支店別合計で簡素化できる
期末残高は決算書と一致させる必要があり、税務調査の対象になりやすい点に注意します。
法人税申告では決算書だけでなく、勘定科目ごとの内訳を示す勘定科目内訳明細書の添付が原則として求められます。資産・負債・損益にわたる16種類の様式があり、自社の取引内容に応じて必要なものを作成します。本記事では、書き方と金額・件数の省略基準、令和6年の様式改正までを実務目線で整理します。
目次
勘定科目内訳明細書とは?提出が必要な決算書類
法人税申告書に添付する決算書類のひとつで、貸借対照表や損益計算書の各勘定科目について、その内訳を取引先ごとに示すものです。決算書だけでは見えない取引の中身を、税務署に伝えるための補完資料という位置づけです。
勘定科目内訳明細書の役割と提出義務
勘定科目内訳明細書は法人税法第74条第3項および法人税法施行規則第35条にもとづき、法人税申告書とともに税務署へ提出することが義務づけられています。
法人税申告書は決算日の翌日から2ヶ月以内に所轄税務署へ提出するルールがあり、勘定科目内訳明細書も同じタイミングで添付します。税務署は勘定科目内訳明細書を確認することで、決算書だけでは見えない取引先や残高の内訳を把握し、法人税申告書が実態に沿って作成されているかを確かめます。
作成の主体は通常、提出する法人の経理担当や経営幹部ですが、税理士法人や会計事務所が代行することもあります。法人税申告書そのものの作成代行は税理士の独占業務にあたるため、代行を依頼する際は税理士資格を持つ専門家を選びます。
また、金融機関から融資を受ける際の財務評価資料として、勘定科目内訳明細書の提出を求められる場面もあります。
勘定科目内訳明細書と総勘定元帳の違い
総勘定元帳は日々の取引を勘定科目ごとに記録する社内の帳簿で、勘定科目内訳明細書は決算時点の残高内訳をまとめた税務署提出用の書類です。
総勘定元帳は、日次の仕訳をもとに勘定科目別の出入りを時系列で記録する帳簿で、税務署への提出義務はありません。一方、勘定科目内訳明細書は決算が締まったあとに、貸借対照表・損益計算書に計上された期末残高の内訳を取引先別・項目別に整理します。
総勘定元帳が「日常の動き」を残す内部資料、勘定科目内訳明細書が「決算時点の内訳」を外部に説明する書類という関係になります。
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勘定科目内訳明細書の全16種類と書き方
勘定科目内訳明細書は資産・負債・損益にわたる全16種類の様式があり、自社の取引内容に応じて必要なものを作成します。該当する取引や残高がない勘定科目については作成不要です。
以下が、全16種類の内訳書と主な記載項目の一覧です。
| 区分 | 内訳書名 | 主な記載項目 |
|---|---|---|
| 資産 | 預貯金等の内訳書 | 金融機関名/支店名/種類/口座番号/期末現在高 |
| 資産 | 受取手形の内訳書 | 振出人/振出年月日/支払期日/支払銀行/金額 |
| 資産 | 売掛金(未収入金)の内訳書 | 科目/相手先名称・所在地/期末現在高 |
| 資産 | 仮払金、貸付金及び受取利息の内訳書 | 相手先/期末残高/取引内容/利率/担保 |
| 資産 | 棚卸資産の内訳書 | 科目/品目/数量/単価/期末現在高 |
| 資産 | 有価証券の内訳書 | 区分/種類/銘柄/期末現在高/期中増減 |
| 資産 | 固定資産の内訳書(土地、土地の上に存する権利および建物) | 種類・構造/用途/面積/所在地/期末現在高 |
| 負債 | 支払手形の内訳書 | 支払先/振出年月日/支払期日/支払銀行/金額 |
| 負債 | 買掛金(未払金・未払費用)の内訳書 | 科目/相手先名称・所在地/期末現在高 |
| 負債 | 仮受金、源泉所得税預り金の内訳書 | 相手先/期末現在高/取引内容など |
| 負債 | 借入金及び支払利子の内訳書 | 借入先/所在地/期末残高/支払利子額/利率 |
| 損益 | 土地の売上高等の内訳書 | 所在地/地目/面積/売上年月日/売上先/金額 |
| 損益 | 売上高等の事業所別内訳書 | 事業所名/所在地/責任者/売上高/期末棚卸高 |
| 損益 | 役員報酬手当等及び人件費の内訳書 | 役職名/氏名/住所/役員給与の内訳 |
| 損益 | 地代家賃等の内訳書 | 区分/用途/所在地/貸主/支払対象期間/賃借料 |
| 損益 | 雑益、雑損失等の内訳書 | 取引内容/相手先/所在地/金額 |
参照: 勘定科目内訳明細書の標準フォーム等(令和6年3月1日以後終了事業年度分)|e-Tax
資産に関する内訳書(7種類)
資産に関する内訳書は、預貯金・受取手形・売掛金・仮払金・貸付金・棚卸資産・有価証券・固定資産にかかわる7種類です。
- 預貯金等の内訳書:金融機関別・預貯金別に、金融機関名や口座番号、期末現在高を記載します。
- 受取手形の内訳書:一取引先からの受取手形の総額が100万円以上の場合は取引先別に記載し、それ以外は一括で記載できます。割引手形がある場合は割引銀行ごとに分けて記載します。
- 売掛金(未収入金)の内訳書:
科目欄に売掛金か未収入金の別を記載し、相手先名称・所在地・期末現在高を記入します。記載口数は売掛金と未収入金の合計で判断します。 - 仮払金(前渡金)、貸付金及び受取利息の内訳書:
相手先別の期末残高や取引内容を記載します。貸付金は利率や担保の内容、期中の受取利息額もあわせて記入します。 - 棚卸資産の内訳書:
科目・品目・数量・単価・期末現在高を記載します。種類が多い業種では一定のグルーピングを行って整理することも可能です。 - 有価証券の内訳書:
「売買」「満期」「その他」の区分とあわせて、銘柄・期末現在高・期中の増減を記載します。期末残高がゼロでも期中に売買があれば記載が必要です。 - 固定資産の内訳書: 土地や建物の種類・構造、用途、面積、所在地、期末現在高、期中の取得・処分の明細を記載します。
負債に関する内訳書(4種類)
負債に関する内訳書は、支払手形・買掛金・仮受金・借入金及び支払利子の4種類です。
- 支払手形の内訳書:
支払先・振出年月日・支払期日・支払銀行・金額を記入し、同一取引先で総額が100万円以上のものは個別に記載します。 - 買掛金(未払金・未払費用)の内訳書:
科目欄に買掛金・未払金・未払費用のいずれかを記載し、相手先別の期末現在高を記入します。複数科目がある場合は科目ごとに集計欄を設けます。 - 仮受金(前受金・預り金)、源泉所得税預り金の内訳書:
仮受金は相手先・期末現在高・取引内容を、源泉所得税預り金は支払年月・所得の種類・期末現在高を記載します。 - 借入金及び支払利子の内訳書:
借入先・所在地・期末残高・期中の支払利子額・利率を記載します。期末残高がない場合でも、期中の支払利子額が3万円以上であれば記載が必要です。
損益に関する内訳書(5種類)
損益に関する内訳書は、土地の売上高等・売上高等の事業所別・役員報酬手当等及び人件費・地代家賃等・雑益、雑損失等の5種類です。
- 土地の売上高等の内訳書:
棚卸資産として土地を売却した場合や土地の仲介を行った場合に、所在地・地目・売上年月日・売上先・金額を記載します。 - 売上高等の事業所別内訳書:
事業所ごとに名称・所在地・責任者氏名・売上高・期末棚卸高・期末従業員数などを記入します。合計欄は損益計算書の金額と一致させます。 - 役員報酬手当等及び人件費の内訳書:
役職名・氏名・住所・代表者との関係・常勤非常勤の別・役員給与の内訳を記載します。 - 地代家賃等の内訳書:
区分・物件の用途・所在地・貸主の名称と所在地・支払対象期間・支払賃借料を記入します。 - 雑益、雑損失等の内訳書:
取引内容・相手先・所在地・金額を記載します。代表的な計上科目は貸倒損失や債務免除益、前期損益修正損益などです。
勘定科目内訳明細書はどこまで書く?省略・記載基準
勘定科目内訳明細書には、すべての取引を網羅的に書く必要はなく、勘定科目ごとに金額基準と件数基準による省略ルールが定められています。書き始める前に基準を押さえておくと、作成の負担を抑えながら必要十分な内訳に絞り込みやすくなります。
金額基準: 50万円以上は個別、未満は一括で記載できる
勘定科目内訳明細書の記載基準は、様式ごとに異なります。売掛金・買掛金等では50万円、受取手形・支払手形では100万円といった金額基準がありますが、預貯金・棚卸資産・有価証券には同じ50万円基準はありません。
各様式の注記を確認し、金額基準、件数基準、役員・関係会社等の例外を個別に適用します。
また、50万円以上のものが5口未満の場合は、期末残高の多い順に5口程度を個別記載し、残りは一括にまとめます。受取手形と支払手形の場合は金額基準が100万円以上に上がるため、扱う科目ごとに基準を確認します。
件数基準: 100件超は上位100件か支店別合計で記載
売掛金や買掛金など記載量が多くなる傾向の科目では、相手先が100件を超える場合に「上位100件のみ記載」か「支店・事業所別の合計を記載」のいずれかを選べます。
この簡素化は平成30年度の税制改正により創設され、平成31年4月1日以後に終了する事業年度から適用されています。電子申告の義務化対象である大法人だけでなく、中小法人にも適用されるため、件数が多い企業ほど活用余地が大きい仕組みです。
参照: 「勘定科目内訳明細書の記載内容の簡素化」の具体的な内容について|e-Tax
役員・株主・関係会社との取引は金額にかかわらず個別記載
仮払金や仮受金、借入金などについて、取引先が役員・株主・関係会社にあたる場合は、期末残高が50万円未満であっても個別に記載することが定められています。
社内関係者との取引で利益操作や課税逃れが起きていないかを税務署が確認するための仕組みです。役員や株主に対する仮払金・貸付金は役員賞与とみなされる可能性もあり、源泉所得税の徴収漏れにつながりかねないため、金額が小さくても省略せず記載します。
勘定科目内訳明細書を書く際の注意点と税務リスク
勘定科目内訳明細書は、決算書・法人税申告書と整合した内容で作成することが前提です。残高や取引先の整合が取れていない状態だと、税務調査で内容を疑われるきっかけになりやすくなります。
期末残高は決算書・法人税申告書と一致させる
各内訳書に記載する期末残高は、同時に提出する貸借対照表や損益計算書、法人税申告書の数字と一致している必要があります。
不一致があると、勘定科目内訳明細書の信ぴょう性そのものを疑われ、税務調査の対象になることもあります。決算作業の最終段階で総勘定元帳・試算表・決算書・内訳書の数字を相互チェックする運用にしておくと、転記ミスを防ぎやすくなります。
反面調査で取引先と矛盾しないよう確認する
売掛金や買掛金の内訳書は、税務署が反面調査(取引先側への調査)に使う基礎資料となるため、相手先の計上内容と整合しているかを確認します。
自社の売上が相手先で買掛金として計上されていない、あるいは自社の買掛金が相手先の売上計上と一致しない、といったずれは指摘の対象になりやすい部分です。請求書や入金記録と突き合わせて、金額・名称・所在地に誤りがないかを取引先に確認しておくと安心です。
同族役員・株主との取引は税務上のチェックポイント
同族役員や株主との取引(仮払金・貸付金・借入金など)は、課税逃れや利益操作を疑われやすいため、内容と必要性を説明できる状態にしておきます。
役員への貸付金は、相応の利息を計上していないと「みなし利息」を認定され、追加で法人税等が課される場合があります。同族役員勘定に不合理な金額や説明のつかない取引が残っていないかを、決算前に確認しておくと税務リスクを抑えやすくなります。
勘定科目内訳明細書の提出方法と申告期限
勘定科目内訳明細書は法人税申告書とともに、決算日の翌日から2ヶ月以内に所轄税務署へ提出します。提出方法は書面と電子申告(e-Tax)の2通りがあり、自社の業務フローに合うほうを選択します。
書面で提出する場合の流れと注意点
書面提出では、所定の様式に記載した内訳書を法人税申告書に同封し、所轄税務署へ郵送・信書便で送付するか窓口に直接持参します。
様式は国税庁ホームページから入手でき、A4サイズで白黒・カラーどちらでも問題ありません。法人税申告書は提出先によっては2部必要となる場合がありますが、勘定科目内訳明細書は税務署提出分の1部で足ります。差し戻しや再提出の依頼に備え、控えのデータまたは写しを社内に残しておきます。
e-Taxで電子申告する場合(XML形式・CSV形式)
e-Taxによる電子申告では、勘定科目内訳明細書をXML形式またはCSV形式で提出できます。
XML形式は税務申告ソフトから直接出力する従来の方式で、ソフトが対応していればそのまま送信まで完結します。CSV形式は平成31年4月以後の申告から利用可能で、e-Taxで指定されたレコード仕様に沿ってExcelで作成し、そのまま電子申告に添付できます。会計ソフトの操作に不慣れな場合でも、Excelベースで作成できる点が利点です。
参照: 勘定科目内訳明細書のCSV形式データの作成方法|e-Tax
勘定科目内訳明細書の様式改正
勘定科目内訳明細書は、平成30年度税制改正による簡素化に続き、令和5年6月公表の通達によって令和6年3月1日以後終了事業年度分から様式が一部改正されています。改正内容は自社が対象事業年度に入っているかを確認したうえで反映します。
令和6年度改正(2024年3月1日以後)で登録番号欄が追加
令和6年(2024年)3月1日以後に終了する事業年度から、一部の内訳書にインボイス制度の登録番号(法人番号)を記入する欄が新設されました。
登録番号の記載は任意で、必須項目ではありません。ただし登録番号を記載すれば、「名称(氏名)」や「所在地(住所)」の記載を省略することが認められ、記入の手間を減らせます。インボイス番号を記載する場合は、頭の「T」を含めた13桁で記入します。
参照: 勘定科目内訳明細書の標準フォーム等(令和6年3月1日以後終了事業年度分)|e-Tax
平成30年度改正で簡素化が実施された
平成30年度の税制改正により、資本金1億円超の大法人を対象とする電子申告の義務化を見据え、勘定科目内訳明細書の記載内容が簡素化されました。
この改正は平成31年4月1日以後に終了する事業年度から適用されており、大法人だけでなく中小法人にも適用されます。簡素化のポイントは次のとおりです。
- 記載省略基準の柔軟化として、100件超の科目は上位100件のみ記載できる
- 記載単位の柔軟化として、取引先別ではなく支店・事業所別の合計金額で記載できる
- 貸付金及び受取利息の「貸付理由」欄、借入金及び支払利子の「借入理由」欄が削除された
- 仮払金・仮受金の「取引の内容」欄が「摘要」欄に変更され、自由記載になった
- 雑益、雑損失等の内訳書の固定資産売却損益は記載不要になった
また、平成31年4月以後の申告からは、勘定科目内訳明細書をCSV形式で電子申告できるようになり、Excelで直接入力した内訳書をそのまま添付できる運用が広がっています。
勘定科目内訳明細書の作成と仕訳の実務課題
勘定科目内訳明細書をスムーズに作成するためには、日々の取引における適切な勘定科目の設定と仕訳が欠かせません。しかし、実務の現場では、この仕訳作業に多くの時間を費やしている現状があります。
株式会社マネーフォワードが実施したアンケート調査で、仕訳作業の工程において最も工数がかかっている(ボトルネックとなっている)作業を尋ねました。その結果、最も工数がかかっている作業は「適切な勘定科目や消費税区分(課税・非課税等)の判定」で、36.8%でした。次いで「銀行明細やクレジットカード明細と帳簿の突合作業」が34.5%と続いています。
会計ソフトの活用で判断の負担を軽減
このデータから、多くの経理担当者が、日々の取引ごとの勘定科目の判断や、目視での明細突合に苦労していることが読み取れます。勘定科目内訳明細書をはじめとする決算書類の作成を正確かつ効率的に進めるためには、会計ソフトの自動推測機能や銀行口座との自動連携機能を活用し、手作業による判定の負担を減らすことが効果的です。
出典: マネーフォワード クラウド、仕訳作業の工程において最も工数がかかっている作業【勘定科目に関する調査データ】(回答者: アンケート回答者707名、集計期間: 2026年3月実施)
勘定科目内訳明細書の理解を深め、正確な書類作成につなげよう
勘定科目内訳明細書は、貸借対照表や損益計算書の科目別内訳を税務署に示すための、法人税申告の添付書類です。全16種類のうち該当するものを作成し、相手先別期末残高が50万円以上のものは個別、未満は一括で記載するなど、金額と件数の省略基準が定められています。
期末残高は決算書・法人税申告書と一致させ、反面調査や同族役員取引の観点でもチェックされる前提で内容を整えることが大切です。令和6年度の様式改正で追加された登録番号欄や、平成30年度改正による簡素化もふまえて、自社の取引実態に沿った内訳書を作成しましょう。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料を紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
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よくある質問
勘定科目内訳明細書とは?
法人税申告書の添付書類として提出義務がある書類の一つです。詳しくはこちらをご覧ください。
勘定科目内訳明細書の記載内容は?
勘定科目内訳明細書は16種類の項目ごとに分類されており、一定の勘定科目を使用している場合に限り、該当する内訳書を作成しなければなりません。詳しくはこちらをご覧ください。
勘定科目内訳明細書の簡素化とは?
平成30年度の税制改正により、資本金1億円超の大法人を対象とした電子申告の義務化を見据えて、勘定科目内訳書が簡素化されることになりました。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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