- 作成日 : 2025年9月9日
ファクタリングの流れを徹底解説|必要書類や入金までの目安期間も紹介
ファクタリングとは、会社が持つ売掛債権を売却することで、支払い期日を待たずに売掛金相当の資金を確保できるサービスです。
実際にファクタリングの利用を検討している人の中には「利用の流れを把握しておきたい」「必要な書類をあらかじめ準備したい」などと考えている人もいるでしょう。
そこで本記事では、ファクタリングの流れを丁寧に解説します。申し込みに必要な書類や入金までにかかる日数などもまとめています。
目次
ファクタリングとは?
ファクタリングとは、会社が保有する売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことです。早期に売掛金を現金化できる点が特徴です。
一般的に企業間の取引では、商品やサービスを提供してから代金が入金されるまでに、30日〜60日ほど日数がかかります。入金待ちの期間が長引くと、売上は立っているにもかかわらず、仕入れ代金や人件費などの支払いに充てる手元の現金が不足して資金繰りが悪化してしまう場合もあります。
ファクタリングを利用して売掛債権を売却すれば、すぐに現金化が可能です。支払い期日まで何週間も待つ必要がなくなり、早期に資金を確保できます。また、資金繰りが安定するだけでなく、売掛金を回収できないリスクも防げるというメリットもあります。
ファクタリングの申し込みから入金までの流れ
ファクタリングを実際に利用する場合の申し込みから入金までの流れを紹介します。
ファクタリングには2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがあり、それぞれ流れが少し異なるため把握しておきましょう。
2社間ファクタリング | 3社間ファクタリング |
---|---|
|
|
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違いも含め、それぞれの手続きについて以下より詳しく解説します。
1. ファクタリングに申し込む
まずは、利用したいファクタリング会社の申し込みフォームに、メールアドレスやパスワードなどの必要事項を入力してください。
もし事前に確認したいことや質問したいことがある場合は、申し込みの前に電話やメールなどで相談できます。無料で相談に乗ってもらえることがほとんどであるため、気軽に問い合わせてみましょう。
2. 必要書類を提出して審査を受ける
アカウントを作成できたら必要書類を提出します。必要書類については、本記事の「ファクタリングの申し込みに必要な書類」という見出しをご参照ください。
なお、必要書類は郵送する必要はなく、ほとんどのファクタリング会社がオンラインでのアップロードに対応しています。そのため、パソコンやスマートフォンから書類のデータを送るだけで提出が可能です。
書類を提出できたら審査が開始されます。審査は数十分で完了することが多く、最短10分ほどで結果を出してくれるファクタリング会社もあります。
審査結果については、マイページもしくはメールで確認しましょう。
3. ファクタリング会社と契約する
審査に通過できたら、ファクタリング会社から見積もりが提示されます。買取金額や手数料の内訳など、しっかり目を通してください。
見積もりに納得できたら、ファクタリング会社と正式に契約を締結します。契約自体も、メールやクラウド契約などオンラインで完結することがほとんどです。
なお、3社間ファクタリングを選択した場合は、契約を締結する前に売掛先に承諾を得る必要があります。「債権譲渡承諾書」にサインをもらってファクタリング会社に提出してください。売掛金をファクタリング会社へ支払うように連絡することも忘れずに行いましょう。
4. 口座に入金してもらう
契約の締結が完了したら、指定した口座に手数料を差し引いた額が入金されます。
基本的には当日中に振り込んでもらえますが、金融機関の営業時間によっては翌営業日以降になる可能性もあります。
入金完了の連絡が来たら、契約した金額と同額が振り込まれているかきちんと確認しましょう。
5. 売掛先からお金を回収する
売掛債権の買取金額が入金された後の流れは、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングで異なります。
2社間ファクタリングを選択した場合は、売掛金をファクタリング会社に支払わなければなりません。
売掛金の支払い期日が来たら売掛先からお金が振り込まれるため、ファクタリング会社に直ちに送金してください。売掛先から回収したお金は決して使用してはいけません。誤って使ってしまうことを防ぐために、別口座に分けて管理すると良いでしょう。
3社間ファクタリングを選択した場合は、売掛先からお金を回収する必要はありません。ファクタリング会社が売掛先からお金を回収するため、買取金額を入金してもらった時点で取引は終了です。
ファクタリングの申し込みに必要な書類
ファクタリングの申し込みに必要な書類について、以下の表にまとめました。
売掛金に関する書類 | |
---|---|
口座の入出金明細 (2ヶ月分〜6ヶ月分) |
|
決算書一式 | |
代表者の本人確認書類 |
|
申し込む前に上記の書類を事前に準備しておくと、スムーズに手続きを進められます。
ただ、ファクタリング会社によって必要な書類は異なるため、事前に公式サイトで確認するか直接問い合わせると良いでしょう。また、売掛債権の内容によっては、追加の資料や書類を求められる場合もあります。
ファクタリングを申し込んでから入金されるまでの目安の日数
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングで、申し込んでから入金されるまでの目安期間が異なります。
- 2社間ファクタリング:最短即日〜約2,3日
- 3社間ファクタリング:約2,3日〜7日
2社間ファクタリングは申し込み企業とファクタリング会社のみで取引をするため、入金まであまり時間はかかりません。スムーズに手続きが進めば、申し込んだその日のうちに入金してもらえる場合もあります。
3社間ファクタリングは取引先も含めて取引をするため、入金までに時間がかかることがほとんどです。契約前にファクタリングの承諾を得る必要があり、取引先が「債権譲渡承諾書」にサインをするのが遅くなると、そのぶん入金も遅くなります。
よって、3社間ファクタリングで契約する場合は、余裕を持って申し込むことをおすすめします。
ファクタリング会社と契約する前に注意すべきポイント
ファクタリング会社と契約する前に注意すべきことについて解説します。
ヤミ金業者ではないか確認する
ファクタリング会社には、通常よりも高い手数料を設定したり本来であれば必要のない手数料を徴収したりするヤミ金業者が紛れています。悪徳業者やヤミ金業者を利用しないために、手数料の割合や手数料の内訳などを契約前に確認しましょう。
まず、一般的な手数料の割合は、2社間ファクタリングであれば8〜18%、3社間ファクタリングであれば2〜9%です。手数料の相場を超える金額を提示された場合は、ヤミ金業者の可能性があるため注意してください。
また、善良なファクタリング会社であれば、手数料の内訳も見積もりに記載してくれます。徴収されることの多い手数料は以下の通りです。
- ファクタリングの基本手数料
- 債権譲渡登記費用
- 事務手数料
- 印紙代
- 出張費用
上記以外の不明瞭な手数料を徴収しようとする業者や、そもそも手数料の内訳を明示してくれない業者は利用を避けましょう。
金融庁が公開しているファクタリングの利用に関する注意喚起にも、一度目を通しておくことを推奨します。
必要書類は余裕を持って準備しておく
申し込みに必要な書類は、余裕を持って準備を始めるとスムーズに手続きを進められます。
たとえば、入出金の明細や買取を希望する請求書などは、保管場所を探したり用意に手間取ったりすることも考えられます。当日中に審査まで進めたい場合は、申し込みを始める前に書類をすべて用意しておくと良いでしょう。
あらかじめ書類を準備しておくことによって、申し込みから1時間ほどで現金を入手できる可能性があります。
契約書の内容を隅々まで確認する
正式に契約を締結する段階まできたら、サインをする前に契約書の内容を入念に確認しましょう。特に確認しておきたい項目は以下の通りです。
- 手数料の金額
- 手数料の割合
- 償還請求権の有無(ノンリコース契約かウィズリコース契約か)
- 貸金業登録の有無(ウィズリコース契約の場合)
- ファクタリングの形式(2社間ファクタリングか3社間ファクタリングか)
契約を締結するタイミングで内容について説明してもらえることも多いため、疑問に思ったことはすぐに質問しましょう。
きちんと確認しないまま契約を結んでしまうと、トラブルに発展してしまう可能性もあります。たとえば、ノンリコース契約だと思っていたらウィズリコース契約となっていることも考えられるため、見逃しがないように何回か目を通すと良いでしょう。
ファクタリングの申し込みや契約に関するよくある質問
最後に、ファクタリングに関するよくある質問をいくつか紹介します。
土日や祝日でも申し込みできる?
申し込み自体は、土日や祝日でもできることが大半です。
ただ、契約内容の確認や口座への入金などは、平日にしか対応してもらえないことがあります。また、「最短即日で入金」と公式サイトに記載されている場合でも、土日や祝日に申し込むと申し込み以降の手続きが翌営業日にずれ込む可能性もあります。
したがって、ファクタリングで資金調達をする場合は、余裕を持ってスケジュールを立てておくべきです。なるべく当日中に資金を確保したい場合は、平日に申し込み手続きを済ませましょう。
ファクタリング会社との契約はオンラインでも可能?
ファクタリング会社との契約は、オンラインでも可能です。むしろ最近は、対面よりもオンライン契約の方が主流になっています。
また、契約内容についての説明や質問なども、オンラインでの対応となることがほとんどです。そのため、地方に会社がある場合や対面で契約を締結する時間を確保するのが難しい場合でも、安心して手続きを進められます。
なお、手続きを進めていくうちに直接会って質問や相談をしたいと思った場合は、ファクタリング会社にその旨を伝えれば柔軟に対応してもらえる可能性があります。気兼ねなく問い合わせてみてください。
ファクタリング会社を選ぶときのポイントは?
ファクタリング会社を選ぶときは、以下のポイントに注目してみましょう。
- 手数料体系が明確か
- 信頼性があるか
- 審査や入金をスピーディーに行ってくれるか
- サポート体制が整っているか
ファクタリング会社を選ぶときは、まず手数料の割合が相場の範囲であるか、手数料の内訳を明示しているかどうかを確認しましょう。
希望の金額で買い取ってくれる会社を探せるだけでなく、悪徳業者かどうかを見極められます。あわせて、運営会社の情報や過去の実績、利用者の口コミなども見ておきましょう。
すぐにでも資金を調達したいのであれば、審査や入金までにかかる具体的な時間を公式サイトにて確認してみてください。
また、初めてファクタリングを利用する場合は、サポート体制について目を通しておくことを推奨します。契約内容や手続きの進め方に関して心配なことがあったとしても、担当者がついてくれる業者や面談に応じてくれる業者なら安心して利用できます。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングのどちらを選択すべき?
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングのどちらを選択すべきかは、入金までのスピードを重視するか手数料の安さを重視するかで変わります。
なるべく早く入金して欲しいなら、最短即日で入金してもらえる可能性のある2社間ファクタリングの方が良いでしょう。ただし、手数料がやや高めである点や、売掛金を回収したら自分でファクタリング会社に支払う必要がある点には注意してください。
もし手数料を少しでも抑えたいなら、3社間ファクタリングの方がおすすめです。しかし、取引先にファクタリングの承諾を得る必要があるため、入金してもらうまでに時間がかかる場合があります。
上記を参考に、入金までのスピードと手数料の安さのどちらを優先するのか検討したうえで、ファクタリング形式を選択しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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