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  3. 為替予約の仕訳や会計処理とは?振当処理・独立処理をわかりやすく解説
  • 更新日 : 2026年1月27日

為替予約の仕訳や会計処理とは?振当処理・独立処理をわかりやすく解説

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為替予約は、将来の外貨建て取引に関して為替レートの変動リスクを避けるために結ばれる契約です。経理処理では、この為替予約にともなう為替差損益や評価損益をどう仕訳するかで、実務が大きく分かれることがあります。特に「独立処理」と「振当処理」の違いは、決算時の対応に直接影響するため、理解しておきたいポイントです。

この記事では、為替予約の基本から、処理方法の違い、仕訳のタイミング、代表的な仕訳例までを、わかりやすく整理して解説していきます。

目次

  • 為替予約とは?
    • 為替予約のメリット・デメリット
  • 為替予約の会計処理
    • 為替予約の独立処理
    • 為替予約の振当処理
    • 独立処理と振当処理の判断基準
  • 独立処理を適用した為替予約の仕訳例
    • 輸入取引の場合(ドル建て仕入)
    • 輸出取引の場合(ドル建売上)
  • 振当処理を適用した為替予約の仕訳例
    • 輸入取引の仕訳(振当処理)
    • 輸出取引の仕訳(振当処理)
  • 為替予約の会計処理や仕訳のポイント
    • 独立処理か振当処理かは事前に選ぶ
    • 独立処理では評価損益の仕訳が必要
    • 振当処理は評価不要だが、ヘッジ会計の要件を満たしているか要確認
    • 予約レートで処理するなら、仕訳の統一を
    • 評価損益、決裁差額は「為替差損益」の勘定科目で計上する
    • 決算前に仕訳漏れがないかをチェック
  • 決算に向けて為替予約の仕訳を整えておこう

為替予約とは?

為替予約とは、将来のある時点における外貨建ての支払いや受取に関して、あらかじめ為替レートを固定する契約のことです。

円高・円安の影響を受けずに、予定された金額を安心して取引できる点が大きな特徴です。

たとえば、「3ヶ月後に100,000ドルを支払う必要がある」といった場合、あらかじめ1ドル=140円で為替予約を結べば、仮に市場でレートが変動しても、140円でドルを仕入れられる契約になります。

為替予約のメリット・デメリット

為替予約を使うと、将来の為替リスクから企業を守ることができますが、一方で会計処理が複雑になるという側面もあります。

【メリット】

  • 為替レート変動による損失を防げる
  • 経費や原価の見通しを立てやすくなる

【デメリット】

  • 会計処理が難しい(独立処理・振当処理の選択)
  • 予約をキャンセルした場合は手数料が発生する
  • 決算時に評価替えが必要な場合がある

為替予約の会計処理

為替予約は、外貨建ての取引と並行して結ばれることが多いため、本来の取引と為替予約契約の関係をどう会計処理するかがポイントになります。
会計処理の方法には、主に2つの考え方があります。

  • 独立処理(為替予約を外貨建取引とは別の契約として扱う)
  • 振当処理(為替予約と外貨建取引をひとつの取引として処理する)

それぞれの方法には、使い方のルールと向いているケースがあります。

為替予約の独立処理

独立処理では、為替予約をデリバティブ取引として個別に評価・記帳する方法です。
外貨取引とは別に、予約契約自体の損益(予約レートと時価レートの差)を計上します。

たとえば、1ドル=140円で為替予約を結んでいたところ、決算時の市場レートが135円だった場合、5円の評価損が発生します。

独立処理の特徴

  • 為替予約は「為替差損益」で処理
  • 為替予約契約と外貨建取引を分けて記帳
  • 評価差額が損益に影響するため、変動リスクが見えやすい

独立処理は、為替予約契約が単体で存在しているとき(特定の取引に結びつかない場合)などのヘッジ会計の要件を満たしていない場合に用いられる処理方法です。

為替予約の振当処理

振当処理は、為替予約を外貨建取引に直接対応させて処理する方法です。
「この予約は、この支払(または売上)に使うもの」としてペアで処理することで、評価損益が発生しないようにします。

振当処理の特徴

  • 為替予約による評価差額は認識しない
  • 決済時に予約レートを使って取引を処理する
  • 為替予約等の契約が外貨建取引以前に締結されている場合、為替差損益を計上しない方法で会計処理が出来る

振当処理は、仕訳がシンプルで損益も安定することから、実務で多く使われています。

独立処理と振当処理の判断基準

処理方法適用されるケース
独立処理ヘッジ会計の要件を満たしていないとき
振当処理ヘッジ会計の要件を満たしており、為替予約の効果を取引に反映させたいとき

会計基準上は、ヘッジ会計の要件を満たせば振当処理が認められ、満たしていなければ独立処理を使うことになります。

独立処理を適用した為替予約の仕訳例

独立処理では、為替予約契約と実際の取引を別々のものとして扱い、予約契約の評価損益も帳簿に記録します。

この方法は、為替差損益を明確に示すことができる反面、処理がやや複雑です。

ここでは、代表的な2つのパターン(輸入/輸出)で、取引発生から決済までの流れに沿って仕訳を紹介します。

輸入取引の場合(ドル建て仕入)

前提)

  • 商品を10,000ドルで仕入れ、1ドル=140円の予約を結ぶ
  • 決算時の為替相場:135円
  • 実際の決済も予約レート140円で行う

取引発生時(実勢レート140円)

借方貸方
仕入1,400,000円買掛金(ドル建)1,400,000円

決算日:為替予約の時価が下落(135円)で評価損が発生

借方貸方
為替差損益50,000円為替予約(負債)50,000円

決済日:予約レートで外貨を購入し、支払を実行

1.外貨を予約レートで購入

借方貸方
外貨預金(USD)1,400,000円普通預金1,400,000円

2.支払時:買掛金を外貨で決済

借方貸方
買掛金(ドル建)10,000USD外貨預金(USD)1,400,000円

3.決算時に計上した評価損を解消

借方貸方
為替予約(負債)50,000円為替差損益50,000円

決算で一時的に評価損を出したとしても、予約レート通りで支払った場合、実際の損益はゼロになり、帳簿上は洗替仕訳で解消されます。

輸出取引の場合(ドル建売上)

前提)

  • 10,000ドルの売上を見込み、1ドル=135円の予約を結ぶ
  • 売上計上時の実勢レートは130円
  • 決算時レート:138円
  • 決済は予約レート135円

売上計上時(130円)

借方貸方
売掛金(ドル建)1,300,000円売上1,300,000円

決算日:予約レートより評価益が発生(138円)

借方貸方
為替予約30,000円為替差損益30,000円

決済日:予約レート135円で円貨を受領

1.外貨受領(135円)

借方貸方
普通預金1,350,000円売掛金(ドル建)10,000USD

2.評価益を取り崩し

借方貸方
為替差損益30,000円為替予約(資産)30,000円

独立処理では、為替予約によって生じた評価損益が一時的に帳簿に現れますが、決済時にその損益を取り崩して最終的にはゼロになります。

振当処理を適用した為替予約の仕訳例

振当処理とは、外貨建ての取引と為替予約をひとつの取引としてまとめて処理する方法です。
この方法を使うと、決算時に評価損益の仕訳を入れる必要がなく、予約レートで取引を処理できるため、実務では採用されるケースが多くあります。

輸入取引の仕訳(振当処理)

前提)

  • 米ドル建ての仕入(10,000ドル)
  • 上記仕入と同日に為替予約契約を締結:1ドル=140円
  • 外貨建取引等の会計処理に関する実務指針第8項に基づき仕入および買掛金を予約レートで記帳
  • 決済日まで仕訳なし(決算仕訳も不要)

商品の仕入れ発生時(同日に為替予約を締結し、予約レート140円)

借方(費用・資産)貸方(負債・資本)
仕入1,400,000円買掛金(ドル建)1,400,000円

決済時(予約レートで外貨支払)

借方(負債)貸方(資産)
買掛金(ドル建)1,400,000円普通預金1,400,000円

為替予約等の契約が外貨建取引の前に締結されている場合、振当処理では、予約レートで取引を記帳することができるため、為替差損益の仕訳は一切発生しません。
実務では、外貨管理の簡略化や損益の平準化のためにこの方法が選ばれます。

輸出取引の仕訳(振当処理)

前提)

  • 米ドル建ての売上(10,000ドル)
  • 上記売上と同日に為替予約契約を締結:1ドル=135円
  • 外貨建取引等の会計処理に関する実務指針第8項に基づき実勢レートは無視して、売上および売掛金を予約レートで記帳
  • 決済まで予約レートを使って処理

売上計上時(同日に為替予約を締結し、予約レート135円)

借方貸方
売掛金(ドル建)1,350,000円売上1,350,000円

決済時(予約レートで円貨受領)

借方貸方
普通預金1,350,000円売掛金(ドル建)1,350,000円

予約レートを使って仕訳しているため、実際の為替レートが変動しても影響は受けません。
評価損益の計上がなく、仕訳も簡素になるのが振当処理の特徴です。

為替予約の会計処理や仕訳のポイント

為替予約は、処理方法によって仕訳の内容も決算書への影響も大きく変わります。
処理ミスや誤解を防ぐために、次のポイントを押さえておくことが大切です。

独立処理か振当処理かは事前に選ぶ

外貨建取引に対して為替予約を使う場合、為替予約と外貨建取引を分けるか、まとめるかによって処理方法が変わります。

  • ヘッジ会計の要件を満たしていないとき → 独立処理
  • ヘッジ会計の要件を満たしており、為替予約の効果を財務諸表に反映させたい場合 → 振当処理

会計基準では、振当処理は条件付きで認められる方法です。ヘッジ会計の要件というものを満たす必要があり、たとえば「為替予約契約が実際の外貨建取引にきちんと対応していること」などの条件があります。

独立処理では評価損益の仕訳が必要

独立処理を採用した場合は、決算日時点の為替レートと予約レートの差額を「為替差損益」として仕訳します。
これを忘れると、決算書に損益が反映されず、問題になる可能性があります。

また、翌期に予約が実行される際は、評価損益を取り崩す仕訳も忘れずに行いましょう。

振当処理は評価不要だが、ヘッジ会計の要件を満たしているか要確認

外貨建取引の発生と同時に行った為替予約についての振当処理では、評価差額の仕訳が不要になる代わりに、為替予約契約が外貨建取引に明確に対応していなければなりません。
実務では、予約番号や契約書の控えと取引伝票をセットで保管するなど、記録の整備が必要です。

また、取引に対応していない予約(ヘッジ目的以外)は、振当処理の対象にはできません。

予約レートで処理するなら、仕訳の統一を

振当処理では、予約レートを使って仕訳を行うことになります。
このとき、帳簿や請求書、会計ソフトへの入力が実勢レートと混在しないよう注意が必要です。
誤って両方のレートが混ざってしまうと、貸借が合わなくなることもあります。

評価損益、決裁差額は「為替差損益」の勘定科目で計上する

為替予約に関係する主な科目は次のとおりです。

  • 為替差損益(為替予約の評価時)
  • 為替差損益(外貨建取引の決済時)
  • 外貨建の買掛金・売掛金(取引発生時)
  • 外貨預金、普通預金(決済時)

特に、評価損益を記録する場合には「為替予約」(資産/負債)という普段あまり使わない勘定科目を使って計上することとなります。

決算前に仕訳漏れがないかをチェック

外貨建取引に為替予約が結ばれている場合、為替予約契約だけで仕訳が完了していないケースも多く見られます。
決算前に、為替予約一覧や契約台帳を確認し、

  • 対象取引に為替予約が適用されているか
  • 評価損益が記録されているか(独立処理の場合)
  • 為替予約の洗替処理が完了しているか

などをチェックリスト形式で確認しておくと、処理漏れを防げます。

決算に向けて為替予約の仕訳を整えておこう

為替予約の仕訳は、決算直前になって慌てて処理すると混乱しがちです。独立処理では評価損益の記帳が必要になり、振当処理では取引との対応関係を明確にしておくことが求められます。予約レートや実勢レートが混ざらないように整理し、評価仕訳や決済仕訳の漏れがないかもチェックしておきましょう。取引ごとに仕訳パターンを確認し、帳簿を整えて決算をスムーズに迎えましょう。

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