- 更新日 : 2025年2月20日
交通費を実費精算するときのメリット・デメリットは?実費精算の方法と流れも紹介
実費精算とは、実際に支払った領収書にもとづいてかかった費用を後日精算する作業のことを指します。企業によっては、交通費を実費精算することもあるでしょう。
本記事では、交通費を実費精算する際の流れやメリット・デメリットを解説します。交通費申請書の無料テンプレートも紹介するので、交通費精算の効率化にお役立てください。
目次
交通費とは
交通費とは、鉄道やバス、飛行機、船などに乗車する際にかかる費用のことです。交通費は、旅費交通費と通勤手当の2つに分けられます。
旅費交通費とは、従業員が出張する際や営業活動の際に要する交通費のことです。企業によっては、出張費や出張旅費などと呼ばれるケースもあります。旅費交通費は、就業規則への記載の有無にかかわらず、支給義務が発生するため注意してください。
ここでは、混同されがちな通勤手当との違いについて解説します。
通勤手当との違い
通勤手当とは、従業員が自宅から会社まで通勤する際にかかる費用のことです。会社が通勤手当という名の福利厚生として支給します。
通勤で使用する鉄道やバスの運賃のほか、車通勤であれば通勤に必要なガソリン代も通勤手当に該当します。通勤手当は、あくまでも福利厚生の1つであるため、支給に対して企業が法的義務を負っているわけではありません。そのため、通勤手当を支給しない会社も存在します。
実費精算とは
実費とは、物品の購入やサービスの利用や実際かかった費用のことです。実費精算とは、実際に支払った領収書にもとづいてかかった費用を後日精算する作業のことを指します。
交通費を精算する際は、実費精算か定額支給のいずれかの方法で行うことが一般的です。ここでは、定額支給や自腹・実費との違いについて解説します。
定額支給との違い
定額支給とは、出張場所にかかわらず、あらかじめ決められた一定額を支給する方法です。一律で決まった額を支給するため、企業としては従業員ごとに交通費の計算をする必要はありません。
しかし、人によって出張で訪れる場所は異なります。そのため、支給額より安い交通費で済む従業員と支給額では不足する従業員が出てくる恐れがあり、従業員間で不公平感が出てしまう点には注意が必要です。
その点、実費精算では実際にかかった費用を精算するため、不公平感が出ません。また、従業員が費用を抑えようとして支給額よりも安いルートを使用したりホテルに宿泊したりした場合は、実際にかかった金額と支給額の間に差額が出てしまい、会社からすると多く支払いすぎるデメリットもあります。
自費・自腹との違い
実費に似た言葉として、自腹や自費があります。それぞれの意味は次のとおりです。
- 自費:自分で負担・支出する費用
- 自腹:自分のお金で支払うこと、自分の負担
自分で費用を負担するという意味であるため、基本的には同義と考えて問題ないでしょう。一般的に業務活動において必要な金額はすべて実費経費精算されますが、昼食代や出張中の食事などは自分で支払うことになります。昼食代や出張中の費用などが、自費・自腹に該当します。
一方の実費は、実際にかかる金額や必要な金額のことです。業務上、自分ではなく会社が支払う交通費などの費用が該当します。
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交通費を実費精算するやり方と流れ
交通費を実費精算するやり方と流れについて、解説します。実費精算する方法は、立て替えと仮払いの2つです。それぞれの違いを見ていきましょう。
立て替え
立て替えとは、会社が負担すべき交際費や宿泊費といった経費を、従業員が一時的に立て替えて支払い、領収書や立替経費精算書をもとに後日精算する方法です。立替精算とも呼ばれます。
立て替えの場合の経費精算の流れは、次のとおりです。
- 出張時の交通費を従業員が立て替えて支払う
- 会社宛ての領収書をもらう
- 立替経費精算書に支払先や支出金額を記入し、領収書を添付して経理部門へ提出する
- 経理部門が精算書の記載金額や内容に誤りがないか確認する
- 問題なければ申請額を従業員へ支払う
仮払い
仮払いとは、商品の購入やサービス利用前に会社が概算額を一時的に従業員へ支払い、実際に経費が発生したあとで確定した金額の過不足額を精算する方法です。仮払精算とも呼ばれています。
仮払いの場合の経費精算の流れは、次のとおりです。
- 従業員は出張に必要な費用の概算額を記入した「仮払申請書」を作成し、出張申請書とともに経理部門へ提出する
- 経理部門で申請内容を確認し、申請金額を従業員へ支払う
- 従業員は受け取ったお金で交通費や宿泊代などを支払う
- その際、会社宛ての領収書をもらって保管しておく
- 出張から戻ったら支出先や金額をまとめた「仮払金報告書」を作成し、領収書とともに経理部へ提出する
- 仮払金を超える支出があった場合は不足額を受け取る、仮払金が余った場合は会社へ返金する
交通費を実費精算するメリット・デメリット
交通費の実費精算には、メリットとデメリットが存在します。あらかじめメリット・デメリットを押さえたうえで、運用しましょう。
メリット
交通費を実費精算するメリットとしては、経費の正確な把握と適切なコスト管理が挙げられます。
新幹線代などは、あらかじめ把握できますが、事前に金額が把握できないタクシー代などの経費の場合でも、実際に発生した経費のみを精算するため、経費を正確に把握可能です。また、無駄な出費を抑えられるため、コスト管理も適切に行えます。
デメリット
交通費を実費精算するデメリットには、経費精算の手続きが煩雑になることが挙げられます。
出張した従業員からすると、領収書の管理や精算申請書類の作成、申請などの手間が増えるため、業務の負担が増大する可能性があります。さらに、一時的に立替負担も生じるため、長期出張など旅費が高額になりかねない場合は、立替負担を緩和する措置などを検討するようにしましょう。
交通費を実費支給した場合は社会保険料の算定基礎に含まれる?
社会保険料の算定基礎に含まれるかどうかは、通勤手当と旅費交通費とでそれぞれ異なります。
厚生年金保険料や健康保険料などの社会保険料の金額は、会社が届け出る算定基礎届によって決まります。算定基礎届は、従業員の標準報酬月額を見直すための手続きです。
標準報酬月額は4~6月の3ヶ月間の報酬額をもとに算出され、基本給や諸手当(通勤手当など)が含まれます。そのため、手当の額が大きくなるほど社会保険料も多くなる仕組みです。
一方で旅費交通費は標準報酬月額の計算式に含まれないため、社会保険料の算定基礎に影響はありません。
交通費を実費精算する際の流れや注意点を理解しておこう
交通費の実費精算とは、従業員が出張する際や営業活動の際に実際にかかった交通費を領収書にもとづいて精算することです。
交通費を実費精算するやり方には、立て替えと仮払いの2つがあります。立て替えでは、従業員が一時的に費用を立て替えて後日精算する方法です。仮払いでは、会社が従業員へ概算額を一時的に支払い、実際に経費が確定したあとで過不足額を精算します。
交通費を実費精算するメリットは、経費の正確な把握と適切なコスト管理が可能な点です。一方でデメリットとしては、経費精算の手続きが煩雑になることが挙げられます。
立て替えと仮払いでは、手順が異なるため、従業員へ手順を周知しておくことも大切です。スムーズな実費精算のためにも、本記事を参考に流れや注意点を理解しておきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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