- 更新日 : 2025年2月4日
入金管理とは?効率化する方法・販売管理システムで入金消込は可能?
入金管理は、多くの企業にとって重要な課題です。従来から、入金管理の中でも特に「入金消込」の効率化に時間を要していたことから、入金消込にフォーカスしたサービスやシステムなども開発されてきました。
この記事では、入金消込処理について具体的な手順を確認し、エクセル管理と販売管理システムによる入金管理の違いなどを解説します。
目次
入金管理とは
入金管理とは、企業等が顧客や取引先から受け取る売上代金や返済金などの管理業務全般を言います。具体的には、現預金などについて入金の確認、記録(仕訳)、追跡、報告などが含まれます。
入金管理は、企業にとって生命線である資金繰りの安定、不正取引の防止などにつながるバックオフィスの重要な業務であり、正確な入金の記録は会計監査や税務調査において頼りになります。
また入金管理によって、入金タイミングを正確に把握することで余剰資金の活用や資金不足の回避ができますし、入金の遅延を早期に把握することで、債権回収コストを低く抑えることができます。
最近では、入金管理においてもシステム導入による自動化が増え、手作業の削減や業務フローの効率化が進んでいます。
入金管理の必要性
入金管理は上記のような流れで進められますが、入金管理を行う必要性は、以下3つの観点から考えられます。
請求漏れの防止
売掛金の回収は会社の資金繰りや経営に直結するため、売掛金の回収には絶対に漏れがあってはいけません。また、掛け取引は、取引と実際の金銭の支払いにタイムラグが発生することからも、企業間の信頼関係が重要になりますが、請求漏れや誤請求は取引先に対して信頼の低下につながります。信頼関係を維持し掛け取引を継続するためにも、誤った請求を防ぐ必要があります。
入金日の管理
上記の請求漏れの防止と併せて、支払日の管理も重要です。取引先によって翌月25日支払いや翌月末日支払いなど支払いサイトも様々になります。その際に、各社で異なる支払いサイトと支払日を誤りなく管理する必要が出てきます。また、入金日を正確に把握することは自社内のキャッシュフローの見通しが立つという意味もあります。資金繰りの改善や経営の安定のためにも、支払日の管理は重要になります。
回収漏れの防止
入金管理を行っていても、実際の支払日に入金がされなければ意味がありません。急に取引先の経営状況が悪化したり、資金繰りが悪化することは珍しくありません。特に、小規模事業者に関しては大企業に比べて資金繰りの面での余裕がない場合も考えられます。その場合、支払いサイトを長く設定することで資金繰りに余裕を持たせるという対応も存在するため、そのような小規模事業者と取引を行う場合には、売掛金の回収まで時間が掛かることになるうえ、回収漏れのリスクも高まると捉えることも出来ます。
入金管理の業務内容
取引先から銀行振り込みなどで入金があった場合、どのような手順で入金管理をするのか主な流れを見てみましょう。企業の状況などにより違いはあるものの、大まかな流れは似通っています。
入金管理台帳で入金予定を確認する
入金予定の確認は、今後の資金繰り把握のために重要な業務です。
取引先や取引金額、取り扱い商材も多岐にわたるため、それらの情報を過不足なく管理する必要があります。入金管理台帳に記載すべき内容は以下の通りです。
- 案件番号
社内管理業務においてミスを防ぐ為にも個別の案件番号を振っておく必要があります。この番号は、見積もり作成時に振っておくと統一的に管理ができます。
- 取引先企業名
取引先の企業名を記載します。
- 案件名
同一企業との取引でも、案件によって金額や支払い日が異なる場合も想定されます。業務上のミスを防ぐ為にも案件名まで記載することをお勧めします。
- 担当者名
業務上で取引に関して問い合わせが必要な場合もあるので、取引先の担当者名や連絡先を把握しておくと社内確認などの業務を軽減できます。
- 見積もり日
見積書を作成して送付した日付を記載します。
- 受注日
実際に取引が確定した日付を記載します。
- 請求日
取引が完了し取引先に代金を請求した日付を記載します。
- 受注額
取引を受注した際の取引金額を記載します。
- 請求額
実際に取引先に請求する金額を記載します。取引の中で受注額と請求額が異なる場合もあるため、受注額と請求額を分けて記載することをお勧めします。また、受注額と請求額が異なる場合は、取引先企業と確認し認識の相違がないようにしておく必要があります。
- 入金予定日(支払期限日)
取引先と取り決めた入金予定日を記載します。この日付は、後述する入金消込や督促の上で重要になります。
- 受領日
実際に代金を受け取った際に日付を記入します。現金手渡しの場合と口座振替の2パターンがある場合は、分けて項目を設けることをお勧めします。
- 口座入金日
口座振込で入金された場合の日付を記入します。
- 備考
案件毎の注意事項や振込手数料などの事項を記入します。
売掛金と照合する
入金情報が確認できたタイミングで売掛金との照合を行います。
まず、入金情報の入金日を確認し、振込名義、振込額をチェックします。
次に、手元の請求書控えや売掛金データなどと突合します。入金が同額でも振込名義はよく確認しなければなりません。手元の売掛金額と入金データに誤差があったり、似たような名義でも前回の名義と異なったりすると、照合不一致のケースもありますので速やかに原因を究明します。
取引先の思い違いや、当方の請求書ミスなども原因として考えられますので、正しく迅速な照合は入金管理における問題の早期発見につながります。
入金消込を行う
照合作業後に、帳簿上の売掛金等を消し込む作業が入金消込です。
入金消込における入金登録とは、使用するシステムによって異なりますが、該当する売掛金に対し入金額を登録することです。
この際、振込手数料を差し引いて入金されている場合や複数の請求書を合算して入金されている場合などがあります。検討の結果、過少入金や過剰入金となっている場合には、できるだけ早く取引先の入金担当者に連絡をして解決を図る必要があります。
この作業は通常、月末などの締日に集中することが多く、一時的に作業量が多くなることがあります。
未入金の確認や催促を行う
請求書の期限を過ぎても入金がない場合、未入金の確認と催促を行います。
まず、未入金一覧表などを用いて未入金となっている取引を洗い出し、請求書控えなどを元に請求が正しく行われていたかを確認します。
次に、該当する取引先に対して電話、メール、郵便などの方法で支払い状況を聞いて、入金処理を促します。
重要なことは、この未入金の確認や督促が「正確かつ迅速」であることです。入金の確認と入れ違いに支払っている場合もありますし、催促にあたっては取引関係を維持するために丁寧かつ適切な対応を心がける必要があります。
なお、継続的に未入金が発生する取引先については、与信管理の見直しや取引条件の変更を検討することも重要です。
入金管理を行う方法
入金処理の方法として、エクセルを使った方法や販売管理システムを利用する方法などが考えられます。販売管理システム等で入金管理が難しいときは、会計システムからのダウンロードデータなどを利用します。
エクセルで管理する方法
エクセルでは、数式や関数を活用して、売掛金の未回収状況がわかる一覧形式でのフォーマットを準備し、データを入力して一覧表を作成することができます。
また、会計ソフトなどからデータをダウンロードして、ピボットテーブルを利用した集計・分析もエクセルなら短時間で作成することができます。
エクセルで入金管理のメリットとしては、低コストであり、エクセルの関数やマクロ機能を活用することで会社に合わせた未入金一覧表をカスタマイズできることです。ただし、入力ミスなどには気を付ける必要があります。
入金管理システムで管理する方法
販売管理システムにおいては、利用するシステムによって入金管理における帳票も異なりますが、一般的なものとして次のものが挙げられます。
- 未入金売上明細表:売上伝票単位で未入金情報を表示
- 入金予定表:案件ごと等における入金予定情報を表示
- 債権明細表:顧客ごとの未回収債権を詳細に表示
- 回収予定表:顧客ごとの回収予定額等を表示
システムによっては、一覧形式の項目についてドリルダウン(システム上から、より詳細なレベルへと掘り下げて閲覧できるしくみ)ができるものなどもあります。
これらによって、入金予定日を過ぎても入金されない売掛金を見つけ、督促につなげます。
エクセルで入金管理を行う場合の注意点
エクセルでの入金管理をする場合、外部システムからのデータダウンロードやインポートに手間がかかります。また、取引量が増えたり、新しいシートが増えるほど、パフォーマンスが低下したり動作が重くなったりすることも考えられます。基本的な注意点を見てみましょう。
手入力によるミスが発生しやすい
エクセルの作業においては、手入力や目視確認が必要な場合が多く、入力ミスや確認漏れなどの人為ミスを完全に防ぐことは難しいと言えます。
さらに、うっかり削除してしまうなどの誤作動によるミスや作業における属人性などが問題視されます。
エクセルを使用する場合でも、手入力ではなく、ダウンロードしたデータを用い、同じ表が毎月作成できるようにマニュアル化しておくこと等が大切です。
複数請求や分割入金による金額のズレが発生する
エクセルでの入金管理において、請求額と入金額が1対1にならないときに消費税額までを合わそうとすると難しい場合があります。
例えば、次のような請求パターンにおいては実際の請求額合計と入金額にズレが生じることがあります。
- 同じ顧客に対して複数の請求を行う場合
- 同一取引内において複数の請求がある場合
- 分割請求(一つの取引について複数回に分けて請求する場合)など
同様に入金が複数回となる次のようなパターンにおいても請求額と入金額合計にズレが生じることがあります。
- 契約上の分割払い
- 部分入金(最初に一部のみの入金があり、残額が後日入金される場合)
- 顧客の資金繰りの都合などにより、事後的に分割入金に変更される場合
- 支払遅延があるときに、元本と延滞金が合算されて入金される場合 など
販売管理システムで入金管理・入金消込はできる?
一般的に販売管理システムとして販売されている商品には、入金管理や入金消込の機能が提供されています。販売管理システムの主な機能については以下のとおりです。
販売管理機能
見積管理、受注管理、売上管理、請求管理、入金管理機能などが搭載されています。
帳票作成や検索のほか、請求管理においては締め処理機能、入金管理においては消込処理や、未回収の一覧出力などがあります。
その他の機能
在庫管理、購買管理、各種補完・便利機能、データインポート・エクスポート機能、各種レポート機能等
マネーフォワード クラウド債権管理で入金管理を効率化
「マネーフォワード クラウド債権管理」は、入金管理が簡単にでき、債権情報を一元化する使い勝手のよいシステムです。煩雑な入金消込作業でもAIにより学習されるため、自動照合率が高くなります。
入金データの自動取得と一括消込が可能
マネーフォワード クラウド債権管理では、銀行などからの入金データをシステム内に自動取り込みをし、「一括消込機能」によって、入金額と売掛金の照合業務を効率化します。
複数の入金口座がある場合でも、入金データを自動取得は可能です。
レポート機能も充実し、未入金一覧表だけでなく前受金や残高の年齢表も作成します。
複数請求や分割入金も自動で照合できる
マネーフォワード クラウド債権管理では、データから学習し、照合をパターン化し、予測や決定を行うマシンラーニング(ML)機能により照合処理を効率化します。
入金消込において懸念されていた得意先をまたぐ複数請求や、一度の請求に複数の入金などがあった場合においても、照合パターンを学習すれば、請求と入金を自動で紐付けできます。
したがって、使うほどに照合率が向上するようになっています。
既存の販売管理システムとも連携できる
マネーフォワード クラウド債権管理では、既存システムとの連携がしやすいように設計されています。
マッピング設定で柔軟にシステムごとに異なる請求データのCSVファイルを取りこむことが可能です。
また、マネーフォワード クラウド債権管理で処理したデータを会計システムに仕訳連携することもでき、既存の各システムと組み合わせて利用することができます。
入金管理の効率化ならシステム導入の検討を
入金管理は、企業の財務的な基盤を支える重要な業務であり、資金繰りの安定化、顧客関係の強化、法令遵守など多岐にわたる目的を持ちます。
日々発生する入金に対し、売掛金を照合して消込する作業を、「正確にかつ迅速に」行うためには、システムの導入をおすすめします。エクセルでの管理も手作業よりは効率的ですが、学習機能や複雑な自動処理には無理があります。
システム導入後の担当者は、入金管理システムに取引を学習させ、システムの処理結果を見極めるスキルを向上させることが新たな業務となるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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