- 更新日 : 2025年4月23日
財務諸表と決算書の違いは?決算報告書の種類や特徴を比較表つきで解説
決算書(決算報告書)と財務諸表には違いはなく、同じ書類のことです。決算書は通称で、正式には財務諸表や計算書類と呼ばれます。財務諸表とはどのような役割を果たす書類か、どのような種類があるのかまとめました。また、決算書の作成を効率化する方法についても解説します。
財務諸表と決算書の違いは?
決算書(決算報告書)は決算期に作成する書類のことです。主に損益や財産の状況を明らかにすることを目的として作成されます。なお、決算書とは通称で、法的には財務諸表や計算書類と呼ばれます。
決算書は、企業規模にかかわらずすべての法人が作成しなくてはいけません。個人事業主に対しては決算書を作成する義務は課されてはいませんが、収入から経費を差し引いて所得を求める過程で決算書の作成が必要になります。
決算書は社内で経営状況などを見直す際にも用いますが、社外に提出することがあります。主な提出先は次の3つです。
- 税務署
- 金融機関
- 株主総会
税務申告の際には、決算書を税務署に提出します。また、融資を受ける際に、金融機関から決算書の提出を求められるかもしれません。
株主総会では株主に決算書を開示することが求められます。いずれも重要な局面で決算書が必要とされるため、丁寧かつ正確に作成することが大切です。
決算書は財務諸表と計算書類に分けられる
決算書は通称です。金融商品取引法では「財務諸表」、会社法では「計算書類」と呼ばれます。
また、「財務諸表」や「計算書類」という書類があるわけではありません。「財務諸表」「計算書類」はいずれも特定の書類の総称で、それぞれ指す書類が異なります。
決算書の種類まとめ
財務諸表と計算書類が指す書類は、以下をご覧ください。
決算書の正式名称 | 財務諸表 | 計算書類 |
---|---|---|
規定する法律 | 金融商品取引法 | 会社法 |
書類の種類 |
|
貸借対照表と損益計算書、株主資本等変動計算書はどちらの決算書にも含まれますが、財務諸表にだけ、あるいは計算書類にだけ含まれる書類もあります。
財務諸表の役割
財務諸表は、企業が年度内に行った取引をすべて反映した書類です。決算期終了後、証券取引所が定めた期限までに作成・開示することが求められます。
財務諸表は、社内の従業員・経営陣が収益を知るときだけでなく、投資家や株主・債権者が投資や取引を判断するときの材料としても使われます。財務諸表について詳しくは、次の記事をご覧ください。
計算書類の役割
一方、計算書類は、会社の損益や財産を明らかにするための書類です。決算期終了後、定時株主総会までに作成することが求められます。
計算書類のひとつ、貸借対照表については、以下の記事で詳しく解説しています。
損益計算書については以下をご覧ください。貸借対照表・損益計算書ともに財務諸表だけでなく計算書類にも含まれる重要な書類です。書類の作成目的を正しく理解し、決算期終了後速やかに作成することが求められます。
決算書の作成を効率化するには
決算書は種類が多く、作成に手間と時間がかかります。また、いずれも重要な書類のため、正確さが求められる点も、作成時の負担を大きくする要因のひとつです。
決算書の作成を効率化するためにも、次の方法を検討してみてください。
- 会計ソフトを導入する
- 申告は税理士に依頼する
決算書は同じデータを基に異なる書類を作成するため、転記作業が数多く含まれます。データを誤って転記してしまうと、複数の書類において間違いが生じ、見直し作業だけでも膨大な時間がかかってしまうでしょう。
決算書を効率よく作成するためにも、ぜひ会計ソフトを導入してください。会計ソフトなら転記作業を自動的に行うため、転記ミスを回避できます。また、元となるデータさえ作成すれば、異なる複数の書類を同時に作成できるため、大幅に時間を削減できます。
申告を税理士に依頼することも、決算書の作成を効率化するコツです。税務の専門家なら、要点を押さえて正確にミスがないかチェックしてもらえます。貴重な労力と時間を本業に投入するためにも、決算書作成の効率化を進めていきましょう。
決算書で企業の状態を正確に把握しよう
決算書は、企業の財産や損益を把握するための書類です。全決算期の状態を正確に把握することで、経営戦略を立てやすくなります。丁寧かつ正確に決算書を作成するようにしましょう。
決算書は重要な書類ですが、作成に時間をかけすぎるのは、あまり有意義なこととはいえません。また、手作業で作成すると転記ミスが起こる点も気がかりです。会計ソフトを導入して短時間かつ正確に作成し、申告時には税理士に依頼してミスがないかチェックしてもらいましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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