- 更新日 : 2024年8月8日
オフィス備品を経費にする時の仕訳に使う勘定科目まとめ
応接セット・家具・パソコンのようなオフィス備品の仕訳に適している勘定科目には、どのようなものがあるのでしょう。オフィス備品の勘定科目は、その物品の取得費用に応じて異なります。端的にいうと、取得価額が10万円以上の場合は「備品」、10万円未満では「消耗品」です。今回は、備品を経費に入れる際の勘定科目や仕訳について解説します。
オフィス備品の仕訳に使える勘定科目
耐用年数1年以上、取得価額が10万円以上の物品の仕訳では「備品」を使用します。耐用年数とは、その資産が使用できる期間を示し、資産の種類に応じて定められています。たとえば、金属用事務机の法定耐用年数は15年、ラジオやテレビジョンの場合は5年です。価値を維持するための補修や通常の使用環境での使用を前提として年数が決まっています。
一方で、耐用年数が1年未満、取得価額が10万円未満の物品は「消耗品費」として経費計上できます。また、法定耐用年数に関係なく、3年で均等に償却する「一括償却資産」としても処理可能です。一括償却資産は取得価額20万円未満の固定資産で、個別に管理せずどの資産も3年かけて償却していきます。
事務関係の備品を管理するための勘定科目として「事務用品費」があります。会計上は消耗品費で一括りにするか、事務用品費と分けるべきか明確なルールは存在しません。重要なのは一度決めたルールに基づき、継続的に運用することです。担当者の引き継ぎがあっても困らぬよう会計処理では一貫性が求められます。
参考:国税庁 令和3年分 確定申告書等作成コーナーよくある質問
オフィス備品を消耗品費で仕訳する
取得価額10万円未満のオフィス備品を消耗品費で仕訳する方法を解説します。短期間で使い切ってしまう前提の消耗品は、費用と資産のどちらの区分で処理しても問題ありません。
購入時に費用として計上する場合、勘定科目「消耗品費」で仕訳を行ってください。決算時に使いきれず在庫が残った場合は「消耗品」に振り替えます。
購入時に資産として計上する場合、資産が増えたとみなして「消耗品」で計上します。次に、決算時までに使用分を「消耗品費」として振り替えましょう。
仕訳例)消耗品としてティッシュペーパー(@300円)を10ケース購入。決算までに5ケース使いきれなかった場合
〈費用として計上する場合〉
・購入時
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 3,000円 | 現金 | 3,000円 | ティッシュペーパー |
・決算時
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 消耗品 | 1,500円 | 消耗品費 | 1,500円 | ティッシュペーパー |
〈資産として計上する場合〉
・購入時
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 消耗品 | 3,000円 | 現金 | 3,000円 | ティッシュペーパー |
・決算時
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 1,500円 | 消耗品 | 1,500円 | ティッシュペーパー |
勘定科目に消耗品費を頻繁に使用する方は管理しやすいよう、補助科目と摘要欄を有効活用するのがおすすめです。補助科目の例としては事務用消耗品・作業用消耗品・少額ソフトウェアなどが該当します。Webサイトのタグのような役割を有し、集計しやすくなります。
摘要欄には「コピー用紙×100枚」「80円切手×50枚」のように取引の詳細をメモ書きで記帳すると、さらにわかりやすいでしょう。
オフィス備品を備品で仕訳
10万円以上の備品の会計処理では購入時だけでなく、決算時にも減価償却の仕訳が必要です。取得時に一括償却資産(20万円未満のものに限る)として計上し、3年間で減価償却していきます。
減価償却とは資産の使用を続けることによる消耗や摩耗などの価値の低下を計上するものです。取得価額を法定耐用年数で除し、1年間の経費を算出します。取得価額15万円の家具セットの耐用年数が3年であれば、毎年の経費算入額は5万円です。
仕訳例)15万円の家具セットを購入した場合
〈購入時〉
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 一括償却資産 | 150,000円 | 現金 | 150,000円 | 家具セット |
〈決算時〉
・取得費用15万円を3年間で償却していく
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 50,000円 | 減価償却累計額 | 50,000円 | 家具セット |
一定の条件を満たす中小企業の場合、1個あたりの取得価額が30万円未満であれば、その期に全額を経費化できます。(年間300万円が限度)
これが少額減価資産の特例と呼ばれる制度です。本制度の適用を受けるためには、以下すべての条件を満たさなければなりません。
この特例は時限措置であり、一定の期限までに取得して事業の用に供した減価償却資産に限られます。令和4年の税制改正で適用期限が2年延長となり、令和4年11月現在では令和6年3月31日までとなっています。
オフィス備品の仕訳では勘定科目の使い分けに注意が必要
基本的に勘定科目は明確な区分がないものが多いですが、備品の場合、年数や金額で区分しなくてはいけません。
耐用年数が1年以上、10万円以上のオフィス備品は「備品」で処理します。一方で耐用年数が1年未満、10万円に満たないオフィス備品は「消耗品」で処理してください。
10万円以上の備品の仕訳では減価償却も行う必要があります。オフィス備品を頻繁に購入される方は、仕訳に抜け漏れがないか十分な注意を払いましょう。
よくある質問
オフィス備品は経費にできる?
オフィスで使う備品は勘定科目「備品」や「消耗品」を利用して経費算入が可能です。詳しくはこちらをご覧ください。
オフィス備品を消耗品費で仕訳するポイントは?
耐用年数や取得価額に応じて、備品と消耗品を区分して仕訳することです。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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