- 更新日 : 2025年5月1日
解体工事の仕訳と勘定科目を解説
解体工事にかかった費用は、目的によって勘定科目が異なります。建物の撤去が目的の場合は固定資産除却損、以前から保有している建物の建替が目的の場合や一部を解体して原状復旧する場合は修繕費、建物付きの土地を購入し、既存の建物を解体して土地を売却したり新たに建物を建設する場合は「土地」などの勘定科目が適当です。具体的にどのように仕訳ができるのか例を挙げて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
解体工事の仕訳に使える勘定科目
解体工事にかかった費用に用いる勘定科目は、解体工事の目的によって異なります。
取り壊すことだけを目的とし、解体後に新たな建物を建てないことが想定される場合には「固定資産除却損」の勘定科目を使うことが一般的です。既に保有している建物を取り壊して、別の建物を新築する場合も同様に「固定資産除却損」となります。
一方、新たな建物の建設や土地の売却が目的で建物付きの土地を購入し、既存の建物を解体する場合、取り壊しにかかった費用や取り壊した建物の取壊し直前の帳簿価額は、土地の取得原価に含める必要があるため、「土地」の勘定科目を使います。
また災害などにより建物が一部損壊したときは、必要に応じて部分的に解体し、復旧工事を行うことがあります。その場合は解体工事にかかる費用は、「修繕費」の勘定科目を使って仕訳をすることが一般的です。
以前から保有している建物の撤去もしくは建替えが目的の場合の仕訳と勘定科目
建物を撤去することは、建物という資産がなくなることを意味します。以前から保有する建物を撤去した後、その土地に新しい建物を建てるか否かにかかわらず、「固定資産除却損」の勘定科目で仕訳をすることが一般的です。
社屋の解体をする場合、同じ土地に新たな社屋を建てるか否かにかかわらず、次のように仕訳をします。
| 借方 | 貸方 | 摘要 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 固定資産除却損 | 500,000円 | 普通預金 | 500,000円 | A町社屋の解体工事費 | |
建物の耐用年数を全て経過していないときは、建物に帳簿価額が残っていると考えられます。その場合は、残っている建物の帳簿価額を固定資産除却損として資産から除却することが必要です。
例えば、1,500万円で購入した建物で、すでに1,400万円減価償却しているときは、資産から以下のように除却できます。
| 借方 | 貸方 | 摘要 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 減価償却累計額 | 14,000,000円 | 建物(取得価額) | 15,000,000円 | A町社屋の解体による除却 | |
| 固定資産除却損 | 1,000,000円 | ||||
復旧が目的の場合の仕訳と勘定科目
災害などで建物の一部を損壊した場合、部分的に解体して建物を復旧することがあります。この場合は、解体費用を「修繕費」の勘定科目で仕訳をすることが一般的です。
倉庫の一部を解体し、解体費用として30万円かかったときは、次のように仕訳ができます。
| 借方 | 貸方 | 摘要 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 修繕費 | 300,000円 | 普通預金 | 300,000円 | B町倉庫の一部解体費 | |
なお以前から保有している建物全部を解体し、新たに建てる場合は、復旧ではなく建替です。「修繕費」の勘定科目で仕訳ができます。
新たな建物の建設や土地の売却が目的で建物付きの土地を購入し、既存の建物を解体する場合の仕訳と勘定科目
新たな建物の建設や土地の売却が目的で建物付きの土地を購入し、既存の建物を解体する場合の解体は土地を得るために建物を取り壊したとみなされ、取り壊し費用や建物の帳簿価額は土地を取得するための付随費用として位置づけられます。この場合の解体費用は「土地」の勘定科目を使って仕訳をすることが一般的です。
建物付きの土地を購入し、建替のために古い建物の解体工事に200万円かかった場合は、以下のように仕訳をします。
| 借方 | 貸方 | 摘要 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 土地 | 2,000,000円 | 普通預金 | 2,000,000円 | C町出張所の解体工事費 | |
その後、建物の新築に1,800万円の費用がかかったときは、次のように仕訳をします。
| 借方 | 貸方 | 摘要 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 建物(取得価額) | 18,000,000円 | 普通預金 | 18,000,000円 | C町出張所の建替工事 | |
解体工事の費用は目的に合う勘定科目を選ぼう
解体工事の費用は、工事の目的によって使用する勘定科目が異なります。以前から保有する建物を解体するのか、もしくは開発のために建物付きの土地を購入し、古い建物を解体するのかによっても異なるので、目的を明らかにして適切な勘定科目を選ぶようにしましょう。
解体して建物という資産がなくなったときは、資産の除却をしておく必要があります。建物の減価償却が終わっていない状態で除却をするときは、建物の取得価額から減価償却累計額を差し引いた残りが建物の帳簿価額となり、固定資産除却損の勘定科目を使って仕訳をします。
建物付きの土地を購入し、古い建物を解体するときは、解体工事は土地の取得原価の一部とみなされる点も大切なポイントです。
よくある質問
解体工事の仕訳に使う勘定科目は?
解体工事の目的によって使用する勘定科目が異なります。固定資産除却損や修繕費、土地の勘定科目を使って仕訳をすることが一般的です。 詳しくはこちらをご覧ください。
撤去が目的の場合の仕訳のポイントは?
以前から保有する建物の撤去を目的として工事をするときは、固定資産除却損の勘定科目を使って仕訳をします。その後、建物を資産から除却する必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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