- 更新日 : 2025年2月20日
棚卸計算法とは?やり方をわかりやすく解説
棚卸計算法は、棚卸資産の在庫や原価の計算に関わる評価方法です。継続記録法と併せて確認しておくことで、棚卸資産評価の理解が進みます。この記事では、棚卸計算法のやり方やメリット・デメリット、関連する棚卸しについて解説します。
棚卸計算法とは
棚卸計算法は、売上原価や原材料費を計算するために必要な当期の売上数量または材料の消費数量を評価する方法の一つです。実地棚卸により棚卸時点での在庫を確認し、逆算により売上数量や消費数量を求めます。
棚卸計算法のやり方
棚卸計算法を実行するには、実地棚卸が必要です。実地棚卸とは、商品や材料の保管現場で実際に在庫の数量を数えて、期末の棚卸額を確定させることです。棚卸表のリストと在庫数を比較する方法などがあります。実地棚卸の際には、商品や原材料の状態を確認しておくことも重要です。必要に応じて、減耗や商品評価損を計上することもあります。
実地棚卸終了後は、期首の棚卸額に期中の仕入額を加算した金額から、実地棚卸で得られた期末の棚卸額を減算して、売上原価や原材料費を算出します。
計算式としては
となります。
棚卸計算法のメリット
棚卸計算法を算出するにあたって、期中の仕入額を把握する必要があります。しかし、期中の払出額までは把握しません。期末の実地棚卸により、簡易的に期中の消費量や販売量を計算するためです。そのため、事務負担を軽減できるというメリットがあります。棚卸計算法は厳密に計算しなくても問題のない、重要度の低い棚卸資産の原価の算出に向いています。
棚卸計算法のデメリット
棚卸計算法を利用する際に注意したいのは、原価を正確に把握できないことです。払出数量を把握しないため、期中に減耗などが生じても原価に含められるという問題があります。在庫の紛失などを把握できないため、商品や原材料の管理に問題があってもすぐに対処できません。よって、重要度の高い資産や単価の高い資産の管理などには向かないでしょう。
棚卸計算法と継続記録法の違い
売上原価や原材料費の消費量を求める方法には、棚卸計算法の他に継続記録法があります。継続記録法は、棚卸資産の受入額や払出額を継続的に帳簿に記録する方法です。
棚卸計算法と継続記録法では、棚卸資産の払出を記録するかどうかが異なります。また、棚卸計算法では実地棚卸を行いますが、継続記録法では実地棚卸は行いません。
棚卸計算法と継続記録法には、それぞれにメリットとデメリットがあります。双方のデメリットを補完し、より厳密な計算を行うために、重要度の低い棚卸資産を除き、棚卸計算法と継続記録法は併用するのが一般的です。
そもそも棚卸しとは
棚卸計算法と深く関連しているのが、棚卸しです。棚卸しとは、企業が販売のために有する棚卸資産の数量を確認して価値を評価することです。少なくとも年に一回、決算時における棚卸しが必要です。
棚卸しの手順やポイントなどについては、以下の記事で詳しく解説しています。
棚卸計算法は実地棚卸を伴う原価の評価方法
企業において、少なくとも年に一回は帳簿上の価値と実際の価値を比較するために実地棚卸を行います。実地棚卸と関連するのが棚卸計算法です。棚卸計算法は、実地棚卸による期末時の在庫から逆算して原価を算出する方法です。同じく原価の算出方法である継続記録法と併せて確認しておきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
2023年版- 個人事業主の確定申告におすすめの会計ソフトは?比較ポイントを解説
個人事業主やフリーランスの方が会計ソフトを選ぶ際は、「確定申告機能付きのソフト」を選ぶことが一般的です。そのため、「個人事業主向けの会計ソフト」=「確定申告ソフト」として、理解しておくとわかりやすいでしょう。 簿記の知識がなくても使いやすい…
詳しくみるifrs17とは?ゼロから学べる保険会計の基本をわかりやすく解説
ifrs17は、2023年1月1日に適用された、保険契約の会計の処理に関する新しい基準です。ifrs17について、聞いたことはあるけれどどんな内容なのか分からない方や、難しそうだと感じている方も多いと思います。 本記事では、「ifrs17」…
詳しくみる会計ソフトのバックアップはどうするのが正解?手法とポイントまとめ
会計ソフトデータのバックアップを取ることは、経理作業のリスクマネジメントとして非常に有効です。 しかし、なかには「バックアップを取ったことがない」という経営者や個人事業主も多いでしょう。 そのまま予期せぬトラブルに見舞われてしまったときは、…
詳しくみるIFRSにおける損益計算書とは?日本基準との違いや改正内容を解説
IFRSの損益計算書は、日本基準と異なり包括利益を重視することから、包括利益計算書ともいわれます。IFRSの損益計算書を作成するには、日本基準との違いを理解しておくことが重要です。IFRSと日本基準の損益計算書の主な相違点や作成方法などにつ…
詳しくみる「親身な税理士」を見極めるポイント。報酬の安さで決めるのはハイリスク
確定申告を依頼したい方、税金で損したくない方、今の税理士に不満があり別の税理士に乗り換えたい方――税理士を探す理由は人それぞれですが、みなさん口を揃えて「親身に相談に乗ってくれる税理士がいい」と言います。 では、親身に相談に乗ってくれる税理…
詳しくみる保守主義の原則とは?具体例から解説
保守主義の原則は、企業会計原則の7つの一般原則のうち6つ目の原則で、一定の状況下において保守的な会計を行うことを要請するものです。今回は、保守主義の原則の意味や必要性、具体例や行き過ぎた保守主義のデメリットについて解説していきます。 保守主…
詳しくみる