- 更新日 : 2020年6月10日
棚卸計算法とは
棚卸計算法とは、売上原価の計算をするにあたり、期末の材料の実地棚卸の結果から当期の材料の消費数量を評価する方法のひとつである。なお、棚卸計算法以外に継続記録法という方法もあるが、棚卸計算法は適正な経営管理の観点から必須であり、通常、継続記録法は棚卸計算法と併用される。
棚卸計算法の概念
材料は仕入れにより原材料倉庫に入庫(受け入れ)され、原材料倉庫から製造工程に材料が払い出しされる。当期において消費した材料費を正確に算出するには、実地棚卸により倉庫からの払い出し数量と購入時の材料仕入価格を正確に把握しなくてはならない。
また、在庫については減耗、紛失などにより帳簿と実地棚卸の結果に差異が生じ得る。このため、帳簿上の在庫数量と実地棚卸によって把握された実際の在庫とには棚卸差異が生じる場合がある。
この棚卸差異を正確に把握するためには、原材料倉庫に材料の受け入れと払い出しを行うたび帳簿に記入を行い、また同時に定期的に実地棚卸を行い、現物と帳簿とを照合することで、棚卸差異の発生を高い精度で随時把握することが望ましい。これが継続記録法の考え方である。
ただし継続記録法は記帳作業が煩瑣であり、出入庫頻度の高い原材料倉庫の場合、経理実務上リアルタイムの記帳が困難である。このため出入庫頻度の高い原材料倉庫で継続記録法を採用する場合、在庫管理システムや生産管理システムなどの導入が必要となる。
これに対し、棚卸計算法では原材料倉庫に対し期末に実地棚卸を行うことで在庫量を把握し、期首在庫量から期中仕入れ量と期末在庫量を減じることで出庫量(原料消費量)を把握する。
計算式としては
原料消費量=期首在庫量+期中仕入れ量-期末在庫量
となる。
棚卸計算法のメリットとデメリット
上記で説明した通り、棚卸計算法では期中仕入れ量の受け入れ記録はするが払い出し記録は行わない。この点が継続記録法との最大の違いである。
棚卸計算法には、材料の期中仕入れ量や出庫量をその都度記帳しないため、事務量が軽減できるというメリットがある。しかし期中に棚卸減耗が発生した場合これも材料消費量に含まれてしまうため、棚卸摩耗が把握できるという点においては継続記帳法の方が優れている。
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