- 更新日 : 2025年9月9日
税務調査は何年分の準備が必要?3年・5年・7年のポイントを解説
「税務調査の通知が届いた」「過去何年分の資料が必要になるのかわからない…」「もし税務調査が来たときのために備えておきたい」とお困りではありませんか?
本記事では、税務調査は何年分を対象に行われることが多いのか、3年・5年・7年と年数ごとのポイントを詳しく解説します。さらに、税務調査の頻度や調査対象になりやすいケース、逆に10年以上調査が入らない法人の特徴についても整理しました。
実務上、どの期間の帳簿や書類を準備しておくべきかについても触れており、税務調査への備え方を網羅的に紹介します。
目次
税務調査とは?
税務調査とは、納税者の申告内容が正確かどうかを確認するために行われる調査のことです。法人だけでなく、個人も税務調査の対象です。
税務調査は、主に税務署が実施し「任意調査」と「強制調査」の二種類があります。
任意調査では、事前に通知を受けたうえで調査官が事務所や店舗を訪れ、書類の確認や質問を通じて誤りや不正の有無を調べます。正当な理由なしに調査を拒むと、罰則の対象となるため注意しましょう。
一方、強制調査は国税局の査察部、通称マルサが担当します。基本的には脱税が疑われる場合の調査で、裁判所の令状をもとに事前連絡なしで行われます。
税務調査の対象は何年分?
税務調査の対象期間は、基本的に過去3年分です。ただし、状況によっては5年分、重大な不正などが見つかった場合は最長で7年分におよぶこともあります。
通常の税務調査では3年分の調査が多く、5年や7年になるケースは例外です。
3年分・5年分・7年分それぞれの特徴や注意点を、次の項で詳しく解説していきます。
税務調査が3年分のケース
税務調査は通常、過去3年分で終了するケースが多いですが、法律上は申告から5年までさかのぼって調査が可能です。
調査対象年度は、指摘事項の内容に応じて税務調査官が決定します。
意図的な不正や重大な誤りが見つかった場合は、4年分以上、場合によっては7年分まで調査されることもあります。調査期間は、状況によって変わる点に注意が必要です。
税務調査が5年分のケース
通常3年分で終わる税務調査でも、誤りが見つかると調査期間が5年に延長されることがあります。
たとえば、過去3年の申告で私的支出を交際費として計上していた場合、4〜5年前にも同様の誤りがあると判断され、追加調査が行われることがあります。
調査が5年におよぶかはケースごとに異なるため、基準は明確ではありません。
一方で、確定申告しなかった場合は、必ず5年前までさかのぼって調査されます。
税務調査が7年分のケース
悪質な脱税や重大な申告漏れがある場合、税務調査は最長7年分におよぶことがあります。
通常、税務調査の時効は5年です。しかし、脱税や不正還付、虚偽の申告などの不正行為には、国税通則法により7年の時効が適用されます。
たとえば、売上を故意に除外して所得を少なく申告した場合などは、重加算税の対象です。この場合、過去7年分をさかのぼって調査されることがあります。
税務調査の頻度はどれくらい?
税務調査の実施頻度には、明確な規定はありません。
中小企業では、おおむね3年に1度が目安とされます。これは、1回の調査で過去3年分を確認するためです。
ただし、申告漏れのリスクが低い小規模な企業は、調査対象になる頻度がさらに少なくなります。5年や7年、場合によっては10年に一度程度とされる場合もあります。
税務調査の対象になりやすいケース
ここでは、税務調査の対象になりやすいケースについて具体的に解説します。どのような状況で注意が必要かを整理しました。
過去の税務調査で問題があった場合
過去の税務調査で問題があった場合、税務調査の対象になりやすいでしょう。これは、改善状況や同様の不備が再発していないかを確認するためです。
自社だけでなく、不正行為のあった企業と取引関係にあった企業も、税務調査が入りやすくなる傾向があります。
取引先の状況も含めて、慎重に管理する必要があります。
売上の急激な増減がある場合
売上の急激な増減がある企業は、原因を確認するため税務調査の対象になりやすくなります。とくに、同業他社と比べて利益率が極端に低い場合、税務上の問題がないかがチェックされます。
税務署は業種別のデータを蓄積しており、他社と比べて数値に不自然さが見られると調査対象となる可能性が高いです。
消費税の還付を受けた法人
消費税の還付を受けた法人も、税務調査の対象となりやすいでしょう。
不動産や機械設備などの固定資産を購入して多額の消費税を支払った場合、条件によっては消費税が還付されることがあります。
消費税の還付は、虚偽の申告が増えていることに加え、還付金の金額が高額になる傾向があるため、税務調査が行われるケースが多くなっています。
赤字が何年も続いている法人
長期間赤字が続いているにもかかわらず、事業の資金繰りが順調な場合は、税務調査の対象となりやすいでしょう。これは、帳簿操作などの不正の可能性が疑われるためです。
メディアなどで話題になっている場合
テレビで紹介された飲食店や広告で注目されている会社、FXやアフィリエイト・仮想通貨などの流行商材を大規模に運営する企業は、税務調査の対象になりやすい傾向があります。
とくに、今後の成長が期待できる場合、売上や事業規模の急激な変化が予測されるため、税務調査が入りやすくなります。
会社の規模が大きい場合
売上や仕入が多く、納税額が大きい企業は、税務署から調査対象に選ばれやすくなります。事業規模が大きい場合、法人税だけでなく消費税や源泉所得税などの確認項目も増え、不正や処理の誤りの余地があると判断されます。
多額の特別利益や特別損失が計上されている
多額の特別利益や特別損失が計上されている場合も、税務調査の対象になりやすい傾向があります。
貸倒損失や固定資産の除却損、不動産売買損益など、通常計上されない経費や利益は、申告の間違いが起きやすいためです。
税務調査が10年以上来ない法人の特徴
ここでは、税務調査が10年以上入らない法人に共通する特徴を整理し、どのような要因が調査対象になりにくいかを解説します。
現金での取引が少ない
取引先や顧客とのほとんどの取引が振込で行われる事業では、売上の計上漏れや申告漏れ、過少申告が発生しにくくなります。
たとえば、IT・オンラインサービス業や士業のような、請求書ベースの取引が多い事業が代表的です。
そのため、税務調査の対象となるリスクも低くなる傾向があります。
売上高があまり大きくない
売上規模が小さい企業は利益も少なく、申告時に不正を行う余地がほとんどないとみなされます。そのため、税務署から調査対象に選ばれにくく、税務調査の頻度も低くなる傾向があります。
前回の税務調査で問題がなかった
前回の税務調査でとくに問題が指摘されなかった企業は、正確に申告していると認識されやすくなります。そのため、税務署から再度調査を受ける可能性が低くなり、調査頻度も減る傾向があります。
税務調査では何年分の帳簿・書類を準備する?
ここでは、税務調査に備えてどの年度分の帳簿や書類を準備すべきかについて解説します。適切な保存期間の目安を、整理しました。
法人の場合
法人は、事業年度の確定申告提出期限の翌日から7年間、帳簿や関連書類を保存しなければなりません。
保存対象となる書類や帳簿の具体例については、下記の表で整理しています。
| 帳簿 | |
|---|---|
| 書類 |
個人(青色申告)の場合
個人の青色申告者は、帳簿や決算関係書類、現金・預金取引関連の書類を7年間保存する必要があります。
一方で請求書や納品書、送り状、見積書、契約書などは保管期間が5年です。
また、前々年分の事業所得および不動産所得が300万円以下の方は、現金・預金取引関連書類も保管期間が5年間となります。
各書類の具体例について、下記の表でまとめていますのでご確認ください。
| 帳簿 |
|
|---|---|
| 決算関係書類 |
|
| 現金預金取引等関係書類 |
|
| その他 |
|
個人(白色申告)の場合
白色申告の個人の場合、収入金額や必要経費を記載した法定帳簿については、7年間の保存が必要です。それ以外の請求書や領収書など関連書類については5年間の保管で問題ありません。
各書類の保存期間は、下記の表で確認できます。
| 帳簿 |
|
|---|---|
| 書類 |
|
税務調査をスムーズに実施するポイント
ここでは、税務調査を滞りなく進めるために押さえておきたいポイントや準備のコツについて解説します。
税務調査官には正直に回答する
税務調査では、調査官からの質問に対して正直かつ誠実に答えることが重要です。
実地調査では申告内容の適正さを確認するため、多くの質問が行われます。虚偽の回答や無礼・非協力的な態度は信頼を損ない、かえって税務調査が厳しくなるおそれもあります。
また、必要に応じて取引先や金融機関への反面調査が行われる場合もあるため注意が必要です。
調査対象年度の帳簿・書類を準備する
税務調査に備え、必要な書類や帳簿をすぐに提示できる状態にしておくことが大切です。
通常、税務調査の対象は過去3年分ですが、調査年数が変わることもあります。可能であれば、5年分の書類や帳簿を用意しておくと安心です。
当日に帳簿が揃っていないと、調査官に不信感を与え、調査が長引く原因となります。スムーズに税務調査を終えるためにも、事前の準備が重要です。
税務調査員の言いなりにならない
税務調査では誠実な対応が求められますが、すべてを鵜呑みにする必要はありません。調査官の中には、単なるミスを故意と疑う人もいます。
心当たりのない指摘については明確に否定し、反論できないままに言い分を認めてしまわないよう注意しましょう。
税務調査が不安な場合は税理士に依頼する
税務調査に不安がある場合は、調査に強い税理士に立ち会ってもらったり、事前に税務調査のシミュレーションを行ってもらったりすると安心です。
税理士に依頼する場合、費用はかかりますが、心理的負担を軽減できます。
税務の専門知識がある税理士なら、調査官の指摘や見解の相違に適切に対応でき、事前準備も進めやすくなるでしょう。
税理士を探す際は、会計ソフト「マネーフォワード」の検索機能を活用すると、条件に合った専門家を見つけやすくなります。安心して税務調査を進めたい方は、ぜひご活用ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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