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  2. 会計の基礎知識
  3. 前受金の返金が発生した!仕訳方法をわかりやすく解説
  • 更新日 : 2025年4月23日

前受金の返金が発生した!仕訳方法をわかりやすく解説

商品の注文時などに「前受金」を受領することがありますが、注文や契約がキャンセルされると、前受金を返却しなければなりません。前受金の返金時には、どのような仕訳をすればよいのでしょうか。本記事では、前受金を返金したときの会計処理について、キャンセル料を差し引く場合と全額返金する場合に分け、仕訳例を交えて紹介します。

目次

  • 前受金とは
    • 前受金は商品やサービスを提供する前に受け取ったお金
    • 前受金は負債
    • 前受金と前受収益、預り金の違い
  • 前受金の発生事例
    • 商品の販売
    • サービスの提供
    • サブスクリプション
  • 前受金の返金が発生するパターン
    • 全額返金するケース
    • 違約金を差し引いて返金するケース
    • サービスの未提供期間に応じて返金するケース
  • 前受金を返金した場合の仕訳
    • 前受金の返金は行わない場合
    • 前受金の返金を行う場合
  • 前受金を理解し、正確な処理をしよう

前受金とは

前受金とは、商品の引き渡しやサービスの提供前に受領するお金のことです。ここでは、前受金の定義や性質、仮受金や前受収益など類似の勘定科目との違いについて説明します。

前受金は商品やサービスを提供する前に受け取ったお金

売買契約や業務委託契約の成立後、商品やサービスを提供する前に「前受金」として、代金の一部または全部を受け取ることがあります。実際の取り引きでは「着手金」「前金」「内金」「手付金」などの名称で呼ばれることが多いでしょう。

商品の販売に伴い金銭を受領しても、商品の引き渡しが完了するまでは「売上」に計上できません。そのため商品やサービスの提供前に受領した金銭は、一時的に別にしておく必要があります。このとき使用する勘定科目が「前受金」です。

前受金の仕訳を行った後、商品やサービスを提供したときには「前受金」を「売上」に振り替えます。このように前受金は、受領時と売上計上時の2回、仕訳をしなければなりません。

前受金は負債

前受金は、貸借対照表上では「負債」に分類されます。代金の一部または全部を受け取っている状況にもかかわらず、なぜ負債として扱われるのでしょうか。

その理由は、前受金を受け取っても、自社には商品やサービスをしなければならない義務が残されているからです。また注文や契約がキャンセルされたときは、前受金を返却する必要もあります。そうした理由で、前受金は負債(流動負債)とされているのです。

「流動負債」とは、支払期限が短い負債のことで、決算日から1年以内に支払う必要があるものです。

なお、前受金を受領した後、キャンセルなどが発生せず、商品やサービスが提供されたときは、前受金は「売上」に振り替えられ、負債から消去されます。

前受金と前受収益、預り金の違い

前受金と混同しがちな勘定科目として、前受収益や預り金、仮受金などが挙げられます。前受金との違いをみていきましょう。

「前受収益」とは、事前に代金を受け取って継続的なサービス提供をする場合に、決算時に用いる勘定科目です。

例えば1年分の家賃を一括で受け取ったときは、決算日を境に、収益を今期分と来期分に分けなければなりません。このとき来期分に繰り越されるものが前受収益です。「前受収益」は、翌期首に振替処理をする必要があります。

「預り金」は、金銭を一時的に預かり、別の人に支払う場合に使う勘定科目です。単なるお金の流れを表す勘定科目であり、前受金のように売上に振り替えられるようなことはありません。

預り金の例として、従業員の賃金から控除する所得税や社会保険料などが挙げられます。これらは従業員の賃金から差し引く形で一時的に会社が預かり、所轄官庁に納付します。

「仮受金」は、入金の理由が不明な金銭を、一時的に処理しておくための勘定科目です。銀行口座に不明な入金があった場合などに用い、入金理由が判明したときに適切な勘定科目に振り替えます。

これらの勘定科目と前受金を区別するときのポイントとしては「負債の性質があるか」「いずれ売上に振り替えられるか」などが挙げられます。

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前受金の発生事例

前受金は、具体的にどのようなときに生じるのでしょうか。小売業やサービス業、サブスクリプションについて、前受金が発生する具体例を挙げてみましょう。

商品の販売

商品を販売するとき、納品前に、内金や手付金などの名目で代金の一部または全部を受け取ることがありますが、このとき受け取った金銭は「前受金」として処理します。

「20万円のパソコンを販売することになったが、納品が後日になるため、とりあえず内金として10,000円を受け取った」というようなケースです。

サービスの提供

物品販売のような有形物の授受ではなく、サービスや役務といった無形物を提供する場合にも、前受金という勘定科目が用いられます。

英会話教室などで、1年分のレッスン料を事前に受け取ることがありますが、受け経った料金はサービス提供前に受け取る金銭であるため、使用する勘定科目は「前受金」です。

サービス提供にかかる前受金の例としては、他にも、不動産の賃貸借契約前の手付金や、弁護士に書類作成を依頼するときの着手金などが挙げられます。

サブスクリプション

サブスクリプションとは、一定期間の料金を受け取ることで、契約に応じたサービスを提供するサービスです。サブスクリプション契約では、数ヶ月間分や1年分など一定期間の料金を事前に受け取ることが多く、未経過分の料金は前受金として処理されます。

サブスクリプションの例としては、動画配信サービスやMicrosoft 365のようなソフトウェアの使用権、会社の受付などに飾る花を提供するサービス、税理士などの顧問契約料などが挙げられます。

サブスクリプション契約の場合、料金の入金時に前受金で処理し、経過月ごとに売上に振り替える処理が一般的です。

前受金の返金が発生するパターン

前受金を受領しても、契約のキャンセルなどにより、前受金を返金することがあります。ここでは「前受金の全額を返金」「違約金を差し引いて返金」「サービス未提供分を返金」の各ケースの会計処理についてみていきましょう。

全額返金するケース

商品の販売やサービスの提供がキャンセルされた場合、前受金の全額を返金することがあります。

【前受金を全額返金する事例】

  • 50万円の絵画を売却することが決まり、絵画の引き渡し前に、内金として現金50,000円を受け取った。
  • 絵画の売却がキャンセルされたため、受け取っていた内金50,000円の全額を、現金で返還した。

前受金受領時

借方貸方摘要
現金50,000円前受金50,000円前受金を受領

前受金返金時

借方貸方摘要
前受金50,000円現金50,000円キャンセルのため前受金を返金

違約金を差し引いて返金するケース

契約がキャンセルされた場合、前受金を返金するときに違約金を差し引くことがあります。

【違約金を差し引き、前受金を返金する事例】

  • レストランに忘年会の予約が入り、内金として100,000円を現金で受け取った。
  • 忘年会の3日前になって顧客都合でキャンセルされたため、キャンセル料40,000円を差し引き、60,000を現金で返金した。

前受金受領時

借方貸方摘要
現金100,000円前受金100,000円前受金を受領

前受金返却時

借方貸方摘要
前受金100,000円雑収入40,000円キャンセル料
現金60,000円前受金残額を返金

銀行振込で返金する場合、キャンセル料だけでなく、振込手数料も差し引いて返金することがあります。その場合の仕訳は次のようになります。

【違約金と振込手数料を差し引いて返金する事例】

  • 忘年会の3日前になって顧客都合でキャンセルされたため、キャンセル料40,000円と振込手数料300円を差し引き、残額の59,700円を振込により返金した。

前受金返金時

借方貸方摘要
前受金100,000円雑収入40,000円キャンセル料
雑収入300円振込手数料(先方負担分)を差し引く
現金預金59,700円前受金残額を返金
支払手数料300円現金預金300円振込手数料が引かれる

サービスの未提供期間に応じて返金するケース

サービスの契約期間中に解約があり、未経過分を返金することがあります。

【サービス未経過分の前受金を返金する事例】

  • 全24回の英会話教室の学費240,000円を現金で受け取った。
  • 12回目の受講後に途中解約され、違約金10,000円を差し引き、未経過分として110,000円を現金で返金した。

前受金受領時

借方貸方摘要
現金240,000円前受金240,000円前受金を受領

前受金返却時

借方貸方摘要
前受金120,000円雑収入10,000円キャンセル料
現金110,000円前受金残額を返金

キャンセル料には、解約に伴う事務手数料の性質があるものと、逸失利益にかかる損害賠償の性質のあるものとがあります。事務手数料の性質があるときは「役務の提供の対価」として消費税が課税されますが、損害賠償の性質があるときは消費税の対象にはなりません。

前受金を返金した場合の仕訳

前受金を返金したときは、どのような仕訳になるのでしょうか。ここでは、前受金を返金しない場合と返金する場合の会計処理について説明します。

前受金の返金は行わない場合

前受金は、商品やサービスの引き渡し前に受け取るため、実際に商品などの引き渡しがされなかった場合は返還しなければなりません。ただし、顧客の都合で直前にキャンセルされた場合などは、前受金の全部または一部を返金しないこともあります。

前受金の返金を行わない場合は、収入(雑収入)として処理します。「売上」に振り替えることはないため、注意しましょう。

下の仕訳は、前受金からキャンセル料を差し引き、残金を返却するときのものです。

前受金からキャンセル料を差し引いて返金したときの仕訳

借方貸方摘要
前受金〇〇円雑収入〇〇円キャンセル料
現金等〇〇円前受金残額を返金

【事例】

  • ホテルに団体客の予約が入り、前金として150,000円が振り込まれたが、直前になってキャンセルされたため、逸失利益分として100,000円を差し引き、残金50,000円を返金した。
借方貸方摘要
前受金150,000円雑収入100,000円キャンセル料
現金預金50,000円前受金残額を返金

前受金の返金を行う場合

注文のキャンセルなどにより、前受金を全額返却する場合があります。このときの取引日付は、キャンセル申し出があった日ではなく実際に返金した日です。

前受金の全額を返金したときの仕訳

借方貸方摘要
前受金〇〇円現金等〇〇円前受金を受領

【事例】

  • 中古車の売却が決まり、内金として50,000円を現金で受け取っていたが、キャンセルとなったため、50,000円を現金で返却した。
借方貸方摘要
前受金50,000円現金50,000円前受金を返金

前受金を理解し、正確な処理をしよう

前受金とは、商品の引き渡しやサービス提供前に受領した金銭を一時的に処理するための勘定科目です。前受金を受け取っても「商品やサービスの提供」という義務が残存していることから、貸借対照表上、前受金は負債として扱われます。

前受金の受領後、商品やサービスの引き渡し前に、契約がキャンセルされた場合は、受け取った前受金を返金しなければなりません。キャンセル料を差し引いて返金するときは、キャンセル料分は収入として処理します。

前受金は、前受収益や仮受金、預り金などと混同しがちな勘定科目ですが「負債かどうか」「売上に振り替えられるものか」などが判別のポイントです。前受金の性質を理解し、正確な会計処理につなげましょう。

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