- 更新日 : 2024年8月8日
法人税申告書の別表20とは?見方や書き方、注意点まで解説
法人税申告書の別表20は、法人の退職年金等積立金に関わる法人税の申告書です。この記事では、別表20の概要や別表20の書き方を説明していきます。
法人税申告書の別表20とは
別表20は、退職年金業務を行う法人の退職年金等積立金に対する法人税の申告書です。退職年金等積立金に対する課税は、2005年に国会で法案が成立して以降、課税が停止され、停止措置の延長が繰り返されています。
課税が停止され続けているのは、ほかの年金制度と同じように受給者保護のために運用時点で課税すべきでないなどの意見があるためです。制度の撤廃までは実行されていないものの、停止措置の延長が続く流れから、実務で作成する機会はほとんどないと考えられます。
法人税申告書の別表20に記載する主な項目と書き方
法人税申告書の別表20の作成にあたり、主な項目や書き方を説明します。
出典:退職年金等積立金に係る申告書-退職年金業務等を行う法人の分|国税庁
別表20の申告書について、申告者情報の部分、法人税の計算部分、地方法人税の計算部分に分けて説明します。
申告者情報(上部)
出典:退職年金等積立金に係る申告書-退職年金業務等を行う法人の分|国税庁
年月日:提出年月日を記載します。
提出先:「 税務署長殿」の空欄に提出先である税務署名を記載します。
納税地:申告者の納税地(主たる事務所など)の住所と電話番号を記載します。
法人名:法人の名称を記載します。
法人番号:法人固有の13桁の番号を記載します。
代表者:法人の代表者の氏名を記載します。
代表者住所:法人の代表者の住所を記載します。
事業種目:申告する法人の業種を記載します。
期末現在の資本金の額又は出資金の額:申告する事業年度の期末時点の資本金の額あるいは出資金の額を記載します。
国内源泉所得に係る事業等の責任者:申告者が外国法人の場合に記載します。
旧納税地及び旧法人名等:納税地の移転や法人名の変更があった場合に記載します。
法人税額の計算
出典:退職年金等積立金に係る申告書-退職年金業務等を行う法人の分|国税庁
1.退職年金等積立金額
「2」~「10」の額を合計した金額を記載します。
2~10.内訳
「1」の退職年金等積立金額の内訳を記載する項目です。以下、契約ごとに区分して、対応する金額を記載します。
11.課税退職年金等積立金額
「1」×●/12(●は当期の月数)の額を百円未満切り捨てで記載します。
12.法人税額
「11」「19」「24」のいずれかの額の1%相当額を10円未満を切り捨てて記載します。
13.中間申告分の法人税額
中間申告をした退職年金等積立金に関わる法人税があれば記載します。
14.差引この申告により納付すべき法人税額
「13」から「14」の額を差し引いた金額を記載します。
15~19.各項目は分割等で引き継ぎをした場合に記載する項目です。
20~24.各項目は合併等で引き継ぎをした場合に記載する項目です。
25~26.修正申告として申告書を提出する場合に記載する項目です。
地方法人税額の計算
出典:退職年金等積立金に係る申告書-退職年金業務等を行う法人の分|国税庁
27.課税標準法人税額
「12」の法人税額を転記します。
28.地方法人税額
「27」×10.3%の金額を記載します。
29.中間申告分の地方法人税額
中間申告をした退職年金等積立金に関わる地方法人税額があれば記載します。
30.差引確定地方法人税額
「28」から「29」の額を差し引いた金額を記載します。
31~32.修正申告として申告書を提出する場合に記載する項目です。
別表20は退職金積立金等積立金に関わる申告書
法人税申告書の別表20は、退職年金業務を行う法人に関わる法人税の申告書です。なお、退職年金等積立金に対する法人税については、令和6年1月1日時点で課税が停止されています。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
法人税申告書の別表9(2)とは?見方や書き方、注意点まで解説
法人が確定申告をする際に提出するのが「法人税申告書」です。そして法人税申告書を提出する際は、必要に応じて「別表」を添付します。 別表の種類は1から20までありますが、今回は別表9についてご紹介します。どのようなときに必要な書類なのか、そして…
詳しくみる消費税は輸入と輸出では扱いが違う?
グローバル社会の進展により、国際取引が頻繁に行われるようになりましたが、輸入や輸出をした場合、消費税はどうなるのか悩まれる方もいるかと思います。そこで、今回は、輸入や輸出をする際の消費税の処理に関する解説をします。 消費税の課税対象 消費税…
詳しくみる適用額明細書とは?区分番号一覧表や書き方、欠損金額などの注意点を解説
適用額明細書は、法人が法人税関係特別措置を適用する際に税務署へ提出が必要な書類です。この書類は、適用を受ける租税特別措置法の条項や適用額などを記入のうえ、法人税申告書に添付して提出することが義務付けられています。本記事では、適用額明細書の提…
詳しくみる税制改正大綱とは?令和4年度の中小企業に関する改正ポイントを解説!
令和3年12月24日、令和4年度税制改正大綱が閣議決定されました。今後、国会での審議や本会議での可決で改正法が成立する見込みです。令和4年度税制改正大綱で柱とされたのが、成長と分配の好循環、経済社会の構造変化を踏まえた税制見直しの2つです。…
詳しくみる大坂なおみ選手の活躍で知りたい、日本とは全然違う「アメリカ・ファーストな税金事情」
2018年9月の全米オープンテニスにおいて、日本人初のグランドスラムを達成した大坂なおみ選手。日本への凱旋帰国後のトーナメントでも大活躍ですが、税金はどのようになっているのでしょう。(執筆者:公認会計士・税理士 國井隆) 大坂選手の練習拠点…
詳しくみる支払調書の発行義務はあるのか?
書籍等の通販で有名な企業、Amazonが支払調書の送付を停止しました。「企業は必ず支払調書を発行するものだ」、「みんなが発行しているから必要なものだ」と思っていませんか? 結論からいうと、支払調書を報酬等の支払い先に発行する義務はありません…
詳しくみる