- 更新日 : 2024年8月8日
産業廃棄物処理費の仕訳に使える勘定科目まとめ
事業を運営するなかで発生した粗大ごみや解体工事などで出たごみは、産業廃棄物として処理しなければなりません。処理には収集や運搬をする委託事業者の費用やゴミ処理券の購入費用が発生します。
そのため会計処理では、勘定科目を用いて仕訳をする必要があります。本記事では、産業廃棄物の処理にかかる費用の勘定科目や仕訳方法について紹介します。
目次
産業廃棄物処理の仕訳に使える勘定科目
産業廃棄物処理にかかる費用を仕訳する勘定科目としては、「支払手数料」「清掃費」「外注費」「設備維持費」「雑費」などが挙げられます。それぞれ意味合いが異なりますが、どの勘定科目を使うかは企業側で決定できます。
例えば「清掃費」であれば、部屋の掃除や粗大ゴミを処理した際にかかった金額が対象です。それに対し「設備維持費」は、事業所の不具合や修繕も含めて不用品を出す場合などに使います。
また、支払う金額が低かったり重要度が低かったりする場合は、「雑費」として計上可能です。このように同じ廃棄物処理でも、内容によってどの勘定科目を当てはめるかを考えられます。
産業廃棄物処理費を外注費で仕訳する
産業廃棄物処理費は「外注費」として仕訳ができます。外注費とは、企業が外部の企業や個人と契約し、一部の業務を委託する際に発生する金額のことです。
具体的にはデザインの外部依頼や運送の委託など、さまざまなものが該当します。そのうち、ごみや不用品の回収、がれき類の運送などの産業廃棄物処理も外部委託するケースがほとんどです。よって、産業廃棄物処理を外注費として計上します。
ただし、外注費として計上する際には、費用のかかる処理が一時的な状況かどうかを確認しておきましょう。恒常的に廃棄物処理が伴う場合は、次に紹介する売上原価で仕訳することが一般的です。外注費での仕訳例は、以下の通りです。
産業廃棄物 |
産業廃棄物処理費を売上原価で仕訳する
恒常的に産業廃棄物処理費用の計上が必要な場合は「売上原価」として会計処理します。売上原価は、企業が売上を上げるために必要な経費です。
具体的には、卸売りをする業者から商品を仕入れをする場合などが該当します。常に産業廃棄物処理をしている企業では産廃が売上に直結するため、売上原価を使用できます。
その際、他の売上原価の費用と区分できるように、「産業廃棄物処理」という項目を作っておくのがおすすめです。売上原価の仕訳例は、以下の通りです。
産業廃棄物 |
産業廃棄物処理費を支払手数料で仕訳する
産業廃棄物処理にかかる費用を「支払手数料」として計上する方法もあります。ここまで見てきた産業廃棄物処理の例は、廃棄物処理を行う業者へ直接委託をしたり、恒常的に産業廃棄物処理をする費用を支払ったりするときのものでした。
一方、支払手数料の勘定科目を利用する例として挙げられるのが、不用品の回収にかかる費用です。パソコンやオフィスチェアといった粗大ごみを出す際には、回収業者に支払う「回収手数料」が発生します。また、自治体を通してゴミを出すには、「粗大ごみ処理券」を購入しなければなりません。
このように不用品を処理するために一時的にかかる費用のうち、手数料や回収のために購入する券については支払手数料として計上できると覚えておきましょう。支払手数料の仕訳例は、以下の通りです。
産業廃棄物 |
産業廃棄物処理費を雑費で仕訳する
前述の通り、産業廃棄物処理の頻度が少なく重要度が低い場合は「雑費」として会計処理が可能です。雑費とは費用項目の中でも重要度が低いもので、金額が大きくないものを計上する際に使う勘定科目です。また、他に該当する勘定科目が存在しない場合にも使われます。
日頃から廃棄物処理をしていない企業や処理にかかる費用が大きくない場合には産業廃棄物処理の場合も雑費に該当します。ただし、雑費は金額が大きくなりすぎると、税務調査や会計監査の際に指摘事項になりかねません。
産業廃棄物処理の費用が大きくなる見込みになった場合には、新たに勘定科目を設定するほうがよいでしょう。雑費の仕訳例は、以下の通りです。
産業廃棄物 |
廃棄物処理に使う勘定科目は自社に合ったものを選択
産業廃棄物の処理にかかる費用は、さまざまな勘定科目で仕訳が可能です。外部に委託して廃棄物処理を依頼する場合は「外注費」や「売上原価」で計上します。
また、一時的かつ金額が大きくない場合の処理は、「支払手数料」や「雑費」が該当するでしょう。そのほかにも、産業廃棄物処理にかかった費用だと分かるように詳しく勘定科目を立てる場合もありますが、どの勘定科目を使うかは企業側で選択できます。
しかし、一度決めた勘定科目はその後も使い続けなければならず、わかりやすく仕訳ができるように事前の検討が必要です。自社の産業廃棄物処理はどの内容に該当するかを確認し、会計処理に活かしてみてください。
よくある質問
産業廃棄物処理費を外注費で仕訳するポイントは?
産業廃棄物処理が恒常的に発生しない場合は「外注費」で仕訳します。詳しくはこちらをご覧ください。
産業廃棄物処理費を雑費で仕訳するポイントは?
廃棄物処理代が年間を通じて大きな金額にならない場合や重要性の低い場合は、「雑費」に含められます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
支払利息割引料とは?支払利息との違いや仕訳例、消費税について解説
支払利息割引料は、借入金の利息や手形割引の手数料を処理する際の勘定科目です。会計基準の改正もあり、勘定科目としては使われなくなりつつありますが、企業会計を把握するうえで理解しておくことをおすすめします。 この記事では、支払利息割引料について…
詳しくみる社債発行費はどんな勘定科目?会計処理・税務処理の方法から仕訳例まで徹底解説!
自社が社債を発行する際にかかった支出のことを「社債発行費」といいます。社債発行費の会計処理は複数あり、仕訳は消費税の税務などでも注意しなければならない点がいくつかあります。 そこで、ここでは社債発行費の内容や会計処理・税務までを詳しく解説し…
詳しくみる法定福利費とは?福利厚生費との違いや計算式、建設業の見積書作成の解説
法定福利費(ほうていふくりひ)は、会社の福利厚生に関わる経費です。 似たような用語で「福利厚生費」や「法定外福利費」と混同して、詳しく理解していない方も多いのではないでしょうか。 しかし法定福利費は事業者にとっても、従業員にとっても非常に重…
詳しくみる事業譲渡の売り手、買い手の仕訳方法とは?のれんが発生する場合も解説
事業承継やM&Aの手法として注目される事業譲渡は、会社の事業の一部または全部を他の会社に譲渡するものです。この取引を適切に会計処理し、財務諸表に記録するためには、売り手企業と買い手企業それぞれが、事業譲渡における仕訳を正確に行う必要…
詳しくみる事務用品を購入した場合の勘定科目と仕訳例
会社で利用する事務用品にはさまざまなものがあります。文房具だけではなく、業務に利用するコピー用紙、インク、電卓など。これらは毎日の業務に欠かせないものです。 この記事では、事務用品についての勘定科目の選び方や仕訳について解説します。 事務用…
詳しくみる営業外支払手形と営業外受取手形を仕訳から解説
手形を活用すれば、資金を準備できないときでも、仕入や有価証券の購入などを行うことが可能です。企業が扱う手形は、取引の事由に応じて、支払手形(受取手形)と営業外支払手形(営業外受取手形)に分かれています。 今回は営業外支払手形、および営業外受…
詳しくみる