- 更新日 : 2026年1月8日
敷金(保証金)の勘定科目とは?不動産賃貸の仕訳例を解説
物件を契約する時に発生する敷金。物件の賃貸借契約書を読むと返還されるようにも償却されるようにもとれるため、初めての敷金の会計処理をする場合は戸惑ってしまうこともあります。この記事では敷金の特性や会計処理をする時の勘定科目や仕訳例、消費税の取り扱いを解説していきます。
目次
敷金(保証金)とは
敷金とは物件の賃貸借契約を行う時に、借主が貸主に預けるお金です。借主が故意や過失、善管注意義務違反により、借りた部屋や設備を壊したり汚したりした場合に、原状回復するために充てられます。また、借主が家賃を滞納し支払えない場合に、滞納した家賃として充当されることがあります。
敷金は返金される?
敷金は預けているお金なので基本的には解約時に全額返金されることが前提とされています。原状回復の費用や滞納家賃への充当の費用が生じる場合は、預けている敷金から必要な費用を差し引いた金額が返金されます。
原状回復の費用の算出は貸主が行いますが、この金額をめぐりトラブルが生じることも珍しくありません。このようなトラブルを回避するためにあらかじめ契約に「敷金のうち〇か月分は償却する」「契約後〇年以内に借主の都合により解約する場合は全額償却」といった、いわゆる「敷引き」を定めることもあります。
住居の敷金と駐車場の敷金の違い
住居の家賃の消費税は非課税ですので敷金も非課税です。駐車場を別で契約する場合の駐車場の家賃は課税対象になります。(マンションに備え付けられている駐車場など、駐車場代が家賃に含まれている場合を除きます。)
この場合、敷金に対しても消費税がかかりますので注意が必要です。
礼金や仲介手数料との違い
礼金は物件の貸主に対する謝礼金で解約しても返金されません。また、仲介手数料は仲介した不動産業者にサービスの対価として支払う手数料のため、返金されることはありません。
一方、敷金は貸主に預けているお金のため、礼金や仲介手数料とは異なり修繕や掃除が必要なかった場合や、修繕などを行った後で残ったお金は返却されます。なお、礼金については次の記事で詳しく解説していますので、合わせてご参照ください。
敷金の勘定科目は「差入保証金」か「敷金」
敷金の支払時に仕訳に使う勘定科目は「差入保証金」か「敷金」のいずれかです。法人ごとにルールを決めて使います。どちらを使っても構いません。
ただし、一度使う勘定科目を決めたら基本的には替えないようにします。いずれの場合も貸借対照表では「資産の部」「投資その他の資産」に含んで表示されます。
「差入保証金」については次の記事で詳しく解説していますので、こちらもご参照ください。
敷金を支払った場合の仕訳
契約時にあらかじめ敷金の償却額が決まっている場合と、償却額が決まっていない場合では仕訳方法が異なります。償却額があらかじめ決まっていない場合は、原状回復にかかる費用が分からないため、いったん全額を資産とする会計処理が必要です。
例)社宅用の物件を契約し敷金15万円を現金で支払った。
【契約時(支払時)】
敷金が償却される場合の仕訳
敷金から償却される(返金されない)金額があらかじめ決まっている場合は、償却額が(1)「20万円未満」、(2)「20万円以上かつ契約期間が5年未満」、(3)「20万円以上かつ契約期間が5年以上」の3つのパターンで仕訳方法が異なります。
「20万円未満」の場合は全額を費用として計上、「20万円以上かつ契約期間が5年未満」、「20万円以上かつ契約期間が5年以上」は繰越資産とし毎年期末に費用を計上して償却していきます。
(1)償却額「20万円未満」があらかじめ決まっている場合
敷金のうち契約であらかじめ決まっている償却額は勘定科目「支払手数料」で仕訳をします。実際の敷金の額から「支払手数料」とした償却額を差し引いた金額を「差入保証金(もしくは敷金)」として仕訳をします。
例)社宅用の物件を契約し敷金15万円を現金で支払った場合。償却額は50,000円。
【契約時】
(2)償却額「20万円以上」があらかじめ決まっていて「契約期間が5年未満」の場合
敷金のうちあらかじめ決まっている償却額は繰延費用とし、勘定科目「長期前払費用」を使って仕訳をします。期末に契約時の契約年数で均等割りにして「支払手数料」として償却していきます。
例)事務所を契約し敷金120万円を現金で支払った場合。契約期間3年、償却額60万円
【契約時】
【期末】
(3)償却額「20万円以上」があらかじめ決まっていて「契約期間が5年以上」の場合
敷金のうちあらかじめ決まっている償却額は「長期前払費用」とします。期末に5年で均等割りにして、「支払手数料」として償却していきます。
例)事務所を契約し敷金120万円を現金で支払った場合。契約期間6年、償却額60万円
【契約時】
| 差入保証金(敷金) | ¥600,000 | 現金 | ¥1,200,000 |
| 長期前払費用 | ¥600,000 |
【期末】
| 支払手数料 | ¥120,000 | 長期前払費用 | ¥120,000 |
※償却額60万円÷償却期間5年=毎年度期末に償却する金額12万円
敷金が返還された時の仕訳
返金される敷金が全額か一部かによって仕訳が異なります。また、償却期間を残して解約する場合は償却期間を終えていない長期前払費用を一括して償却する必要があります。
ここでは全額返還される場合、敷金から原状回復費用が差し引かれて返還される場合、あらかじめ決まっている償却額を長期前払費用としたが全額を償却する前に解約した場合の、3つのパターンの具体的な仕訳例を紹介します。
例1)敷金15万円が全額返還された場合。
| 現金 | ¥150,000 | 差入保証金(敷金) | ¥150,000 |
例2)敷金15万円のうち8万円が原状回復費用に充当され差額が返還された場合。
| 現金 | ¥70,000 | 差入保証金(敷金) | ¥150,000 |
| 修繕費 | ¥80,000 |
例3)敷金120万円のうち償却額60万円で60万円が返還され、3年契約だが2年で解約したため償却期間1年分が残っている場合。
【返還分の60万円を処理】
| 現金 | ¥600,000 | 差入保証金(敷金) | ¥600,000 |
【残っている1年分の償却】
| 支払手数料 | ¥200,000 | 長期前払費用 | ¥200,000 |
※償却期間を終えていない長期前払費用を償却します
敷金における消費税の取り扱い
居住用物件の家賃の消費税は非課税です。そのため、敷金も非課税になります。法人が借上げる社宅や社員寮用の物件も居住用とみなされ、敷金の消費税は非課税です。ただし、いわゆる初期費用のうち、仲介手数料やルームクリーニング代、鍵交換費用、火災保険料などは課税の対象です。
駐車場を別で契約する場合の駐車場代は課税の対象です。そのため、駐車場の敷金に対しても消費税はかかります。また、事業用の事務所や店舗などのテナントの家賃は課税の対象です。そのため、敷金も課税の対象となります。
敷金は経費にできる?
敷金は、通常、賃貸契約に関連して支払われる費用で、借りた物件をいずれ退去する際に戻されることが多いです。このため、敷金自体は経費として計上することはできませんが、敷金から差し引かれる修繕費など実際にかかった費用は経費として計上可能です。
たとえば、事業用の賃貸物件に関して敷金を支払った場合、その敷金が退去時に全額返金される予定であれば、初期の支払い時点で経費にはなりません。しかし、退去時に物件の損傷などで敷金から一部が修繕費として引かれた場合、その引かれた分については経費として認識することが可能です。
礼金の会計処理
礼金は、賃貸物件を借りる際に大家や管理会社に対して支払われる一時的な費用であり、基本的に返金されることはありません。したがって、礼金は借りている期間にわたって費用として配分されるべきです。
会計処理としては、以下のように行います:
- 資産の計上: 礼金を支払った時点で、一時前払費用として資産に計上します。
- 費用の配分: 支払った礼金を賃貸契約期間にわたって均等に費用配分していきます。これは、減価償却や摊销と同様の処理で、毎月または毎年定期的に一定額を経費として計上することになります。
たとえば、5年間の賃貸契約で100万円の礼金を支払った場合、毎年20万円を経費として計上します。この処理により、礼金がその利用期間にわたって経費として反映され、財務状況を正確に表現することができます。
敷金の勘定科目を理解して適切に仕訳しましょう
この記事では敷金の特性と仕訳の方法、消費税の取り扱いについて解説しました。敷金の勘定科目は「差入保証金」か「敷金」のいずれかです。仕訳の方法は敷金のうちあらかじめ償却されるいわゆる「敷引き」の有無、物件の契約期間によって異なります。
一見複雑そうに見えますがパターンは決まっています。該当するパターンに合わせて適切に仕訳をしましょう。
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よくある質問
敷金を支払ったときの勘定科目は?
「差入保証金」か「敷金」のいずれかどちらでもよい。あらかじめ決まっている償却分は「支払手数料」や「長期前払費用」。 詳しくはこちらをご覧ください。
敷金に消費税はかかる?
居住用の物件は非課税。事業用の物件は課税対象。駐車場は用途問わず課税対象。 詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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