- 更新日 : 2024年8月8日
非課税取引とは?消費税の非課税取引を徹底解説
消費一般に公正に負担をかけるという消費税の性格上、消費にあたらないものや配慮されるべきものは「非課税取引」となります。非課税取引は、土地の譲渡や貸付、有価証券の譲渡など、多岐にわたります。ここでは、主な非課税取引について紹介します。
消費税の非課税取引とは
多くの場合、取引に際しては消費税が課されます。しかし例外もあり、それを「非課税取引」と呼びます。非課税取引には、消費一般に公正に負担をかけるという消費税の性格上、課税の対象にならないものや、社会政策的な配慮がなされるものが該当します。詳しい内容は次のようになります。
消費税の性格上、課税が適当でない取引
1.土地に関する取引……譲渡や貸付
「土地」には、土地の借地権や地役権など、土地の上に存する権利が含まれています。ただし、土地の貸し付けが1ヵ月未満の短期間である場合や施設を貸し付ける場合には、非課税取引には当たりません。
2.有価証券や支払い手段に関する取引……譲渡
この有価証券には、国債証券や株券、投資信託などだけではなく、有価証券に類するもの、つまり、証券の発行がない国債、地方債、社債、株式なども含まれています。支払手段とは、銀行券、硬貨、小切手、為替手形や約束手形などです。ただし、株式や出資の形態によるゴルフ会員権、収集品である紙幣やコインなどは、非課税取引には当たりません。
3.預貯金の利子や保証料、保険料などを対価とするサービス
具体的には、国債、社債、預貯金などの利子、信用の保証料、保険料や共済掛金といったものがこれにあたります。ただし、保険代理店が受領する代理店手数料などは、非課税取引には当たりません。
4.郵便切手や印紙などに関する取引……譲渡
郵便局や印紙売りさばき所等、一定の場所以外での譲渡は課税対象となります。
5.物品切手に関する取引……譲渡
物品切手には、各種のプリペイドカードはもちろんのこと、さまざまな商品券や図書カードも含まれています。
6.国や地方公共団体における行政手数料などを対価とするサービス
これは、国や地方公共団体、公共法人などに登記や登録を申請した場合、または、各種試験を受けた場合、さらには、証明書や公文書を交付してもらう場合に支払う事務手数料のことです。
7.外国為替業務における手数料など
外国為替や国際郵便為替などの取引、信用状や旅行小切手の交付などです。
社会政策的な配慮がなされる取引
1.社会保険医療サービス
健康保険法や国民健康保険法などによる医療、労災保険などの対象となる医療サービスで発生する報酬は、非課税となります。ただし、美容整形や差額ベッドなど自由診療の報酬は、非課税取引には当たりません。
2.社会福祉事業など
介護保険法に基づく介護保険サービス(居宅・施設・地域密着型サービスを含む)、社会福祉法により定められた社会福祉事業などのサービスのことです。
3.助産
医師や助産師などによる助産サービスのことです。医師が妊娠の有無を判断するための検査も含まれます。
4.火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供
葬儀費用は、非課税取引には当たりません。
5.身体障害者用物品に関する取引……譲渡や貸付
身体障害者用物品には、義肢や車いすなど、障害者の生活に必要不可欠なものだけでなく、点字器や改造自動車のように障害者の生活の質を上げるために造られた物品も含まれています。
6.学校教育
学校教育法で定められた学校の授業料や入学検定料、入学金、在学証明手数料などです。
7.教科書の譲渡
8.住宅の貸付
住宅とは、一戸建ての住宅のほかにマンションやアパート、社宅や寮などで、契約において人の居住が証明される必要があります。ただし、1ヵ月未満の貸付は、非課税取引には当たりません。
まとめ
このように、消費税が課税されない非課税取引には、さまざまなものがあります。非課税のように見えても、課税対象であることもあり、注意が必要です。
なかでも期間を区切る貸付(1ヵ月未満)などは課税対象であったり、医療費における自由診療や差額ベッド代などにも課税されますので注意しましょう。細かなことですが、正しい知識を身に着けておくことが必要です。
関連記事
・消費税の節税は免税事業者と課税事業者はどちらが効果的?
・消費税で認められる特例の数々
・フリーランスでも消費税を払わなければならない場合とは
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
新着記事
購入選択権付リースとは?仕組みやメリット・デメリット、会計処理まで徹底解説
購入選択権付リース(購入オプション付リース)は、リース期間満了後に設備や車両などの資産を、あらかじめ定められた価格で購入できる権利が付いたリース契約です。多額の初期投資を抑えながら最新の設備を利用し、将来的に自社の資産として所有できる可能性…
詳しくみる会計基準とは?種類一覧や調べ方、選ぶポイント、近年の改正内容をわかりやすく解説
企業が財務諸表(決算書)を作成するには、会計基準という統一されたルールが不可欠です。この記事では、会計基準の必要性や種類の一覧、そして自社がどの基準を選ぶべきかまでわかりやすく解説します。 会計基準とは? 会計基準とは、企業が財務諸表を作成…
詳しくみる2027年に適用開始の新リース会計基準とは?改正内容や影響をわかりやすく解説
2027年4月1日以後開始する事業年度から、日本のリース会計に関するルールが大きく変わります。今回のリース会計基準改正における最大のポイントは、これまでオフバランス処理が可能だったオペレーティング・リースが、原則として資産・負債として貸借対…
詳しくみるリース取引の判定基準は?フローチャート付きでわかりやすく解説
リース契約は、設備投資やIT機器導入など、多くの企業活動で活用される重要な手段です。「このリース契約は資産計上すべきか」「ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの違いがわからない」といった悩みは、経理担当者にとって避けて通れない問題…
詳しくみるリース契約と賃貸借契約の違いは?メリット・デメリットも徹底比較
リースと賃貸借は、どちらもモノを借りるという点で似ていますが、契約内容は大きく異なります。この二つの違いを理解しないまま契約すると、会計処理、コスト、法的な責任範囲で思わぬトラブルにつながる可能性があります。 この記事では、リースと賃貸借の…
詳しくみるリース取引の消費税の取り扱いは?種類別の会計処理や仕訳、インボイス制度対応まで解説
リース取引における消費税の扱いは、経理処理の中でも特に間違いやすく、複雑なポイントの一つです。契約の種類によって消費税を控除するタイミングが異なり、インボイス制度の導入によって新たな対応も求められています。 この記事では、リース料にかかる消…
詳しくみる会計の注目テーマ
- 勘定科目 消耗品費
- 国際会計基準(IFRS)
- 会計帳簿
- キャッシュフロー計算書
- 予実管理
- 損益計算書
- 減価償却
- 総勘定元帳
- 資金繰り表
- 連結決算
- 支払調書
- 経理
- 会計ソフト
- 貸借対照表
- 外注費
- 法人の節税
- 手形
- 損金
- 決算書
- 勘定科目 福利厚生
- 法人税申告書
- 財務諸表
- 勘定科目 修繕費
- 一括償却資産
- 勘定科目 地代家賃
- 原価計算
- 税理士
- 簡易課税
- 税務調査
- 売掛金
- 電子帳簿保存法
- 勘定科目
- 勘定科目 固定資産
- 勘定科目 交際費
- 勘定科目 税務
- 勘定科目 流動資産
- 勘定科目 業種別
- 勘定科目 収益
- 勘定科目 車両費
- 簿記
- 勘定科目 水道光熱費
- 資産除去債務
- 圧縮記帳
- 利益
- 前受金
- 固定資産
- 勘定科目 営業外収益
- 月次決算
- 勘定科目 広告宣伝費
- 益金
- 資産
- 勘定科目 人件費
- 予算管理
- 小口現金
- 資金繰り
- 会計システム
- 決算
- 未払金
- 労働分配率
- 飲食店
- 売上台帳
- 勘定科目 前払い
- 収支報告書
- 勘定科目 荷造運賃
- 勘定科目 支払手数料
- 消費税
- 借地権
- 中小企業
- 勘定科目 被服費
- 仕訳
- 会計の基本
- 勘定科目 仕入れ
- 経費精算
- 交通費
- 勘定科目 旅費交通費
- 電子取引
- 勘定科目 通信費
- 法人税
- 請求管理
- 勘定科目 諸会費
- 入金
- 消込
- 債権管理
- スキャナ保存
- 電子記録債権
- 入出金管理
- 与信管理
- 請求代行
- 財務会計
- オペレーティングリース
- 新リース会計
- 購買申請
- ファクタリング
- 償却資産
- リース取引