- 作成日 : 2025年9月3日
会計の記帳とは?業務の基本と効率的なやり方を初心者にもわかりやすく
事業を始めたばかりの個人事業主の方や、経理に不慣れな担当者にとって「会計の記帳」は難しく感じるかもしれません。しかし、記帳は会社の健康状態を把握し、正しく確定申告を行うためにしなくてはならない作業です。
この記事では、記帳とは何かという基本から、具体的な帳簿の付け方、自分でやる場合と専門家へ代行を依頼する場合の違いまで、初心者の方にもわかりやすく解説します。
目次
会計の記帳とは?
会計の記帳とは、事業に関するすべてのお金の動きや取引を決められたルールに従って帳簿に記録していくことです。なぜこの作業が必要なのか、その理由を見ていきましょう。
記帳は事業のお金の流れを正確に残すこと
記帳の最も基本的な目的は、事業におけるお金の出入りを正確に記録し、残すことです。「いつ、どこで、何に、いくら使ったのか」「いつ、誰から、いくら入金があったのか」といった取引の一つひとつを記録していきます。この記録が、後で説明する確定申告や、経営状況の把握の土台になります。
なぜ記帳が必要?確定申告と経営のため
記帳を行う大きな理由は2つあります。一つは、所得税や法人税の「確定申告」を正しく行うためです。税金の額は、基本的には売上から経費などを差し引いた「所得(儲け)」を元に計算されますが、その所得の根拠を確認するのが日々の記帳だからです。
もう一つの理由は、自社の「経営状況を把握するため」です。正確な帳簿があれば、今月は儲かっているのか、支払いは大丈夫か、といった会社の健康状態が数字でわかり、次の経営判断に役立てることができます。
白色申告と青色申告で求められる記帳レベルの違い
確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があり、どちらを選ぶかによって記帳に求められるレベルが変わってきます。
白色申告は、比較的簡単な記帳(単式簿記)で済みますが、税金面での特典はとくにありません。一方、青色申告は、正規のルールに則った記帳(複式簿記)が必要になる代わりに、最大65万円の特別控除など、大きな節税メリットを受けられるのが特徴です。
出典:No.2070 青色申告制度|国税庁
青色申告書の承認の申請(法人税)|国税庁
会計の記帳で使う主な帳簿の種類
記帳は「帳簿」と呼ばれるノートやファイルまたは、後述する会計ソフトなどで行います。法律で定められた帳簿にはいくつかの種類があり、事業のお金の流れを正しく記録するために、それぞれが役割分担をしています。
事業で義務付けられている「主要簿」とは
主要簿は、すべての取引を記録する、帳簿の中でも中心的なものです。これがないと会社の決算書(貸借対照表や損益計算書)が作れないため、作成が義務付けられています。主要簿には以下の2つがあります。
詳細を記入する「補助簿」とは
補助簿は、主要簿だけではわかりにくい取引の詳しい内容を記録するための、補助的な帳簿です。作成は任意ですが、特定の取引先とのやり取りや、現金の動きなどを細かく管理したい場合に作っておくと、とても便利です。
会計の記帳をするための基本的なやり方
帳簿の種類がわかったところで、次に実際の記帳のやり方を見ていきましょう。記帳には大きく2つの方式があり、どちらを選ぶかによって日々の作業内容が変わってきます。
記帳の2つの方式「単式簿記」と「複式簿記」
簿記とは、帳簿の付け方のルールのことです。主に「単式簿記」と「複式簿記」があります。
- 単式簿記:
お小遣い帳のように、一つの取引に対して一つの側面だけを記録する方法。「消耗品を1,000円で買った」という事実だけを記録します。白色申告はこちらの方法で問題ありません。 - 複式簿記:
一つの取引を「原因」と「結果」の2つの側面から記録する方法。「例えば、「消耗品を1,000円分購入した(原因)ため、現金1,000円が減った(結果)」」というように記録します。経費の動きだけでなく財産の状況までわかるのが特徴で、個人事業主の場合、青色申告で65万円または55万円の控除を受けるためには、この複式簿記での記帳が必要です。
実際の記帳の進め方 3つのステップ
複式簿記を例に、記帳の基本的な流れを3つのステップで説明します。
会計の記帳は自分で行う?代行を依頼する?
日々の記帳は、必ずしも自分で行う必要はありません。時間がない、やり方が難しいと感じる場合には、専門家などに代行を依頼するという選択肢もあります。それぞれのメリット・デメリットを比べてみましょう。
自分で記帳を行う場合のメリット・デメリット
自分で記帳を行う一番のメリットは、費用がかからないことです。また、自分でお金の流れを管理することで、会社の経営状態を肌で感じられるようになり、経営判断に役立つという面もあるでしょう。
一方のデメリットは、やはり時間がかかることです。とくに本業が忙しい場合、記帳作業が大きな負担になるかもしれません。また、簿記の知識がないと、間違いに気づかず、誤った申告をしてしまうリスクもあります。
記帳代行を依頼する場合のメリット・デメリット
記帳代行を依頼する最大のメリットは、面倒な記帳作業から解放され、本業に集中できることです。専門家が正確に記帳してくれるため、安心感もあります。
デメリットは、当然ながら費用がかかることです。また、書類のやり取りなどが発生するため、社内の情報を外部の人に見せることに抵抗を感じる方もいるかもしれません。
記帳代行の費用はどのくらい?
記帳代行の費用は、個人事業主か法人か、また取引の量(仕訳数)によって大きく変わります。
個人事業主で仕訳数が少ない場合、月額5,000円〜1万円程度から。法人の場合は、月額1万5,000円〜5万円程度が一般的な相場のようです。ただし、これはあくまで記帳作業のみの料金で、決算申告などを依頼する場合は、別途費用がかかります。
会計の記帳代行は誰に依頼できるのか
記帳代行を依頼しようと思ったとき、どこに頼めばよいのでしょうか。主な依頼先には、それぞれの専門分野や特徴があります。自社の目的に合った依頼先を選ぶことが大切です。
税務の専門家「税理士」に依頼する
税理士は、税金に関する専門家です。記帳代行はもちろん、その先の決算申告書の作成や税務相談まで、一貫してお願いできるのが最大の強みです。節税に関するアドバイスや、経営に関する相談にも乗ってくれるでしょう。
費用は他の依頼先より高めになる傾向がありますが、税務や経営まで含めてサポートしてほしい場合には、最も頼りになる存在です。
書類の専門家「行政書士」に依頼する場合
行政書士は、官公署に提出する書類作成の専門家です。業務の一環として、記帳代行や会計帳簿の作成を請け負っている事務所もあります。ただし、行政書士は税理士と違い、税務相談や税務申告書の作成を代行することは法律で禁じられています。
記帳だけを切り出してお願いしたい、という場合には選択肢になるかもしれません。
出典:非税理士により行うことが禁止されている税理士業務|国税庁
記帳代行を専門に行う会社
近年では、記帳代行サービスを専門に提供する会社も増えています。税理士事務所より安価な料金で依頼できることが多く、依頼のしやすさが魅力です。オンラインでのやり取りに特化し、効率的なサービスを提供している会社もあります。
依頼先を選ぶときのポイント
どこに依頼するかを選ぶ際は、「どこまでの業務をお願いしたいか」をはっきりさせることがポイントです。日々の記帳だけでよいのか、それとも確定申告や節税相談まで含めてお願いしたいのかによって、最適なパートナーは変わってきます。料金だけでなく、担当者との相性やコミュニケーションの取りやすさもふまえて検討しましょう。
記帳を効率化する3つのコツ
「まずは自分でやってみたい」という方のために、日々の記帳作業を少しでも楽にするためのコツを3つ紹介します。少しの工夫で、確定申告前の負担を大きく減らせるかもしれません。
使いやすい会計ソフトを選ぶ
まず、会計ソフトを導入することをおすすめします。最近の会計ソフトは、初心者でも直感的に操作できるよう工夫されています。銀行口座やクレジットカードを連携すれば、取引明細を自動で取り込んでくれるものもあるため、入力の手間が大幅に省けます。複式簿記も、ソフトの案内に従えば自然に実践できるでしょう。
レシートや領収書はその日のうちに整理する
レシートや領収書をため込んでしまうと、後で整理するのが大変になり、記帳への意欲も失われがちです。財布から出したらすぐに専用の箱やファイルに入れる、スマートフォンで写真を撮って保存するなど、自分なりのルールを決めて、こまめに整理する習慣をつけましょう。
記帳するタイミングのルールを決める
「時間があるときにやろう」と思っていると、ついつい後回しになってしまいます。「毎週末の土曜日の午前中」「毎日、寝る前の15分間」というように、記帳作業をするタイミングをあらかじめスケジュールに組み込んでしまうのがおすすめです。定期的に行うことで、一回あたりの負担も軽くなります。
正確な会計の記帳が会社の成長を支える
会計の記帳は、日々の取引を記録する地道な作業ですが、それは個人事業または会社の成績表や健康診断書を作るようなものです。正確な帳簿は、節税や融資の場面で役立つだけでなく、的確な経営判断の材料にもなります。最近では、初心者でも使いやすい会計ソフトが多くあり、自分で記帳を始めることも難しくなくなりました。
一方で、専門家への記帳代行は、手間を省き、より本業に集中できるという大きなメリットがあります。自社に合った方法を選び、正確な記帳を続けることが、事業の安定と成長につながるでしょう。
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