- 更新日 : 2025年6月27日
記帳代行とはどのようなサービス?活用できるケースや選び方を紹介
記帳代行サービスとは、帳簿の作成などを代わりに行ってくれるサービスです。人的リソースの不足により、伝票や帳簿の作成まで手が回らない場合などの利用が考えられます。今回は、記帳代行サービスの特徴やサービスの選び方、料金相場などについて紹介します。
目次
記帳代行サービスとは
記帳代行サービスは、仕訳帳などの帳簿の作成または入力を事業者に代わって行うサービスです。記帳に特化しており、仕訳や帳簿作成のような一部の経理業務の負担軽減を期待できます。記帳代行を専門に展開している会社のほか、税理士事務所(会計事務所)でも記帳代行サービスを提供していることがあります。
記帳代行と経理代行との違い
経理代行とは、あらゆる経理業務を代行するサービスです。帳簿作成のほか、給与計算や請求書の発行業務の代行などがサービス範囲に含まれます。記帳に限らず、経理業務を幅広くカバーしているのが特徴です。記帳代行は帳簿の作成のみ外部に委託したいときに、経理代行は経理関係の複数の業務を外部に委託したいときに役立ちます。
記帳代行サービスで依頼できること
記帳代行サービスには、主に以下の業務を依頼できます。
- 会計ソフトへの入力
- 帳簿の作成
- 書類の整理
会計ソフトへの入力
銀行の入出金明細書や領収書などから取引の仕訳を起こし、会計ソフトに入力する業務です。事前に会計ソフトのログイン情報などを共有してデータを入力してもらいます。
帳簿の作成
仕訳帳や総勘定元帳、現金出納帳、売掛管理表、買掛管理表などの帳簿を作成する業務です。帳簿を早期に作成してもらうことで、月次決算の効率化や各経営指標の把握・分析に役立ちます。
書類の整理
記帳のために原本の領収書や請求書を送付する場合、書類の整理やファイリングを行ってもらえることもあります。書類を整理してもらうことで、必要な情報をすぐに参照できます。
記帳代行サービスの活用ケース
どのような場面で記帳代行サービスが役立つのか、主な活用ケースを紹介します。
1人社長で本業に集中したい
1人社長と記帳代行サービスは相性がよいでしょう。従業員を雇用するほどでなくても、経理業務が負担になって本業に影響することもあるためです。簿記の知識がない場合は、仕訳をするだけでも時間がかかってしまいます。記帳代行に仕訳や帳簿作成を依頼することで、本業にかけられる時間を増やせます。
起業直後で経理担当者がいない
起業直後は、必要な人材の確保ができず、経理担当者が不在になることがあります。経理代行を利用することで、日々発生する会計ソフトの入力や帳簿作成が適切に行われ、経営状況を効果的に確認できるようになります。
急成長でリソースが不足している
事業の急成長でリソースが不足している場合にも記帳代行サービスは便利です。定型業務である記帳をアウトソーシングすることで、重要な業務に人員を割けるようになります。
経理担当者が退職してしまった
諸事情により経理担当者が退職してしまうこともあります。後任者がいない場合、経理業務が滞る可能性があるでしょう。記帳代行サービスは、退職者が担っていた記帳業務のカバーにも役立ちます。
繁忙期に一時的に利用する
記帳代行サービスは、毎月継続的に利用する以外にも、スポットでの利用も可能です。繁忙期に一時的にサービスを利用することで、重要な業務に優先的に取り組めます。
記帳代行サービスの選び方
記帳代行サービスを利用する際に、比較・検討すべきポイントを3つ紹介します。
依頼先や専門性を確認する
記帳代行は、代行業者や税理士事務所などがサービスを提供しています。代行業者は、基本的に記帳代行サービスのみを扱っている事業者です。税理士事務所は税務を主な事業としているため、記帳代行のほか、税務書類の作成や申告を依頼できます。
記帳代行を選択する際は、依頼先に加え、実績や専門性も確認しておきましょう。仕訳のパターンは業種によって特色があります。同業者の実績があったり、特定の業種を専門としていたりする代行業者や税理士事務所であれば、スムーズに委託できる可能性があります。
依頼方法を確認する
記帳代行業者への依頼方法はサービスによって異なります。基本的に電話やメールで対応している事業者もあれば、チャットサービスで気軽にやり取りできる事業者もあります。やり取りのしやすさなども加味して選択しましょう。
また、記帳代行では、元となる領収書や請求書などのデータをどのように共有するかも問題になります。代行業者に郵送するのか、データ化してメールなどで送るのか、書類のやり取りの方法も確認しておきましょう。
対応範囲や会計ソフトを確認する
サービスの提供範囲は、代行業者によって異なります。書類の整理に時間がかかる場合は、領収書や請求書のファイリングまで対応している業者を選択すると便利です。また、利用したいサービスが基本料金に含まれているのか、オプションなのかも確認しておきたいポイントです。会計ソフトの入力を依頼する場合は、対応している会計ソフトやクラウド対応の有無なども確認しておくとよいでしょう。
記帳代行サービスの料金相場
記帳代行サービスには、従量課金制、時間制、月額定額制の主に3つの料金体系があります。
従量課金制は、仕訳数に応じて料金が変動する料金タイプです。1仕訳あたり、50円~100円程度が相場とされています。1人社長の会社や個人事業主など、仕訳数が少ない会社に向いた料金体系です。
時間制は、1時間あたりの料金が決まっている料金タイプです。1時間あたり2,000~3,500円が相場とされています。
月額定額制は、月額の料金が固定されているタイプです。月額定額制では、月間の仕訳数に応じて料金プランが複数設けられています。相場は、100仕訳未満で月10,000円程度です。
記帳代行サービスを選ぶ際の注意点
記帳代行サービスを選択する際は、以下の3点に注意しましょう。
- 違法にサービスを提供していないか
- 守秘義務について触れられているか
- コストパフォーマンスはどうか
税務書類の作成や申告の代行、税務相談は、税理士の独占業務です。税理士の在籍が確認できない事業者が税務関係のサービスを展開しているケースでは、違法にサービスが提供されていることがあります。違法性がないか、十分に確認して選択しましょう。
また、記帳代行を利用する際には、領収書や請求書などの会社の重要な書類の受け渡しが必要です。会計ソフトの入力を依頼する際は、会計データも引き渡すことになります。会社にとって重要なデータのやり取りが行われるため、守秘義務について十分に説明している事業者を選択することが大切です。
なお、記帳代行サービスの利用では仕訳量などに応じた料金が発生します。会社の規模や必要度合いに応じて、スポット利用などを適切に使い分けることをおすすめします。
記帳代行サービスは賢く活用しよう
記帳代行サービスは、会計ソフトの入力や帳簿の作成を代行してくれるサービスです。起業したばかりで経理担当者が不在の企業や、1人社長で代表者の業務負荷が重い企業などでの活用が考えられます。サービスによってはスポット利用もできるため、会社の規模や状況に応じてうまく活用しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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