- 作成日 : 2025年2月5日
固定資産を除却し忘れるとどうなる?仕訳方法や対策を解説
固定資産は、除却を忘れると税金の負担増をはじめ、さまざまな不利益を被ることになります。本記事では、固定資産の除却の概要をはじめ、除却のタイミングや忘れないためのポイントについて解説します。
また、除却を忘れたときの仕訳の方法も一緒に取り上げるので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
固定資産の除却とは?
会社が所有している固定資産の利用をやめ、帳簿から除く処理を除却と呼びます。固定資産には、それぞれ法的に定められた耐用年数があります。
耐用年数を超えると減価償却が終了し、その時点で資産価値はなくなりますが、残存価値と呼ばれる価値は残り、その分の固定資産税を納めなければなりません。除却を行っていれば、税金の発生を防ぐことが可能です。
固定資産を除却するタイミング
除却するタイミングは、基本的に固定資産を廃棄したときです。つまり、事業で今後使用する機会がなくなり、かつ物理的に捨てたときを指します。
固定資産の廃棄との違い
除却と混同されやすい言葉として、廃棄が挙げられます。除却は、あくまで帳簿上の作業のことです。一方の廃棄は、物理的に捨てることを意味し、除却した固定資産を倉庫に収納することは廃棄に該当しません。
なお、償却済みの資産が壊れたとき、除却をせずに廃棄してはいけません。帳簿上には依然として資産価値1円として残っているため、廃棄のタイミングでしっかり除却の仕訳も行います。
固定資産を除却しないとどうなる?
使わなくなった固定資産は、除却して帳簿から除く処理を行います。しかし、なかには固定資産の除却を忘れてしまい、そのまま帳簿に固定資産を記載し続けているケースも少なくありません。
以下では、固定資産の除却をしないとどうなるか解説します。
固定資産を正しく管理できなくなる
問題点の1つとして、固定資産の管理が困難になる点が挙げられます。固定資産は、固定資産台帳と呼ばれる帳簿で管理するのが一般的です。
固定資産台帳とは補助簿の一種で、資産の種類や数、耐用年数などについて記載します。帳簿を記録する際は、固定資産と帳簿上の固定資産を必ず一致させなければなりません。
しかし、除却を忘れてしまうと、実際に使用している固定資産の数と、帳簿上に記載されている固定資産の数が合わなくなります。その結果、帳簿の記録作業を最初から見直すために、多大な時間と労力を消費しなければなりません。
ほかの業務に深刻な影響を与えないためにも、管理は正確に行う必要があります。
税金の負担が大きくなる
一定の資産には、固定資産税(償却資産税含む)がかかります。固定資産税とは、企業が保有する土地や家屋などの不動産、そして車両以外の機材や設備などの固定資産にかかる税金のことです。
固定資産税は、固定資産台帳をはじめとする帳簿に記載されている資産から計算されます。もし除却を忘れ、すでに使用していない固定資産を帳簿に記載したまま放置していると、余計な税金を払わなければなりません。
税務調査で脱税を疑われる可能性も
固定資産の除却は、正しい時期に行えば節税効果が期待できます。そのため、税務調査で特定の固定資産の除却処理の漏れが発覚すると、簿価の大きな他の固定資産を除却処理したのではないかと疑われかねません。
脱税が疑われると、最大7年間遡って調査が実施されます。万が一調査の結果、脱税していたことが発覚すると、最大7年分の追徴課税を一挙に受けなければなりません。
最悪の場合、刑事罰の対象となり10年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金、または両方が併科されます。調査の結果問題ないと判断されても、税務署に厳しく調査を実施された事実は残るため、企業としての信頼が損なわれる可能性も高いです。
固定資産を除却し忘れた場合の仕訳
固定資産の除却を忘れた場合、適切な仕訳をして帳簿から除却しなければなりません。仕訳の方法は、直接法と間接法の2種類です。それぞれの仕訳方法について、以下で詳しく解説します。
直接法
直接法は、固定資産を減価償却しながら帳簿価額を直接減らす処理方法です。勘定科目は「固定資産除却損」を使用します。
たとえば、コピー機を40万円で取得し、償却累計が25万円の時点で除却するときの仕訳は、以下のとおりです。
| 借方 | 貸方 | 摘要 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 固定資産除却損 | 150,000円 | 機械装置 | 150,000円 | コピー機 除却処理 | |
仕訳がシンプルな一方で、取得価額と減価償却累計額がわからないため、帳簿の記録の確認に時間がかかりやすいです。
間接法
間接法は、勘定科目「減価償却累計額」を用いる処理方法です。固定資産の簿価は取得したときのままで、除却のタイミングで減価償却累計額と一緒に処理します。
直接法の説明の際に挙げたコピー機の仕訳例を、間接法で仕訳すると以下のようになります。
| 借方 | 貸方 | 摘要 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 減価償却累計額 | 250,000円 | 機械装置 | 400,000円 | コピー機 除却処理 | |
| 固定資産除却損 | 150,000円 | ||||
取得価額を把握しやすい点がメリットとして挙げられますが、帳簿価額を把握するために都度貸借対照表を確認し、計算しなければならない点がデメリットです。
固定資産の除却し忘れを防ぐためのポイント
固定資産の除却を忘れると、決算書に不備が発生するだけでなく、正確な固定資産の管理ができない会社として、社会的な信用が低下する可能性もあります。そのため、耐用年数が経過した固定資産は、忘れずに除却しなければなりません。
以下では、固定資産の除却を忘れない対策やコツについて解説します。
固定資産台帳を正しく記入する
固定資産の除却を忘れないためには、固定資産台帳を正しく記入することが大切です。帳簿と実態が常に一致するように心がければ、除却忘れも発生しにくくなります。
マニュアルを作成し、固定資産台帳を記入するタイミングや確認方法をあらかじめ決めておくとよいでしょう。
固定資産台帳を定期的に見直す
固定台帳の定期的な見直しも、固定資産の除却忘れの防止に有効です。見直しは除却忘れの防止だけでなく、資産の紛失や盗難などのリスク管理効果も期待できます。
見直しを実施する際は、漏れが発生しないように1人ではなく2人以上でチェックするとよいでしょう。
有姿除却を行う
有姿除却とは、使用を廃止した固定資産について、廃棄や解体などを実施していない状態でも、現状有姿のまま除却損を計上できる制度です。有姿除却を行えば、使用されていない資産を帳簿から適切に除けます。
固定資産の除却を忘れないための工夫を積極的に取り入れる
以上、固定資産の除却に関する情報について取り上げてきました。固定資産の除却は、正確な資産管理を行うためにも必要不可欠です。
しかし、除却のタイミングがわからず、仕訳を忘れてしまうケースも少なくありません。今回紹介した除却を忘れないポイントを参考に、しっかりとした固定資産の管理を行いましょう。
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