- 作成日 : 2025年2月6日
信用調査(与信調査)とは?調査方法や費用相場を解説
信用調査とは、取引先の支払い能力や経営状況などを調べるための調査です。「与信調査」と呼ばれることもあります。
信用調査の調査項目や費用相場、実施するタイミングをまとめました。また、信用調査会社に依頼するメリットや費用を抑える方法も紹介します。
目次
信用調査(与信調査)とは?
信用調査とは取引先の支払い能力や経営状況などを調べるための調査のことで、「与信調査」とも呼ばれます。直接は尋ねにくい内容も多く含まれるため、専門の機関を通して調べることもあります。
調査方法
信用調査は次の方法等で実施します。
- 経営責任者に直接尋ねる
- 商業登記簿や不動産登記簿などの情報を閲覧する
- 対象企業のホームページ等を閲覧する
なお、社内の営業部や経理部などからもある程度の情報を得られる可能性があります。
ただし、いずれの方法も時間と手間がかかるだけでなく、公開されていない情報もあるため、信用調査を専門的に請け負う信用調査会社への依頼も検討してみましょう。費用はかかりますが、公的資料やホームページなどでは公開されていない情報もわかることがあるため、より深い調査が可能になります。
信用調査会社による調査項目
信用調査会社に依頼する場合は、以下の項目等について調べてもらえます。
一般に公開されている情報も含まれるため、、自ら登記簿を調べる手間も削減できるでしょう。
信用調査会社を利用する場合の費用相場
信用調査会社に依頼する場合は、調査費用がかかります。基本料金は1社あたり15,000円~25,000円程度ですが、出張料や特急料金(急ぎのとき)、登記閲覧費用などが加算されることもあります。
信用調査が必要になるタイミング
信用調査は、以下のタイミングで実施することが一般的です。
- 新規取引を開始するとき
- 取引額を増やすとき
- 取引先の経営状態について好ましくない評判を聞いたとき
各タイミングにおいて信用調査が必要になる理由について解説します。
新規取引を開始するとき
商品やサービスを販売し、その場で代金を受け取る場合は、購入者について信用調査をする必要はありません。しかし、その場で代金を受け取らず、後払いにする場合は、購入者が本当に信用できる事業者なのか理解するためにも信用調査を実施する必要があります。
信用調査を実施することで、後日代金を支払えるのか、どの程度の金額までなら支払いが可能なのかを把握することができます。特に企業間取引は取引額が大きい場合があるため、信用調査を実施しておくことが必要です。
なお、経営状況は刻一刻と変化します。取引開始時には経営状況に問題がなかった事業者でも、何かのきっかけで経営が傾き、支払いが難しい状況に陥るかもしれません。取引相手のリアルタイムでの経営状況を把握するためにも、取引開始後も定期的に信用調査を実施することが必要です。
取引額を増やすとき
事業者によって支払える金額は異なります。今までトラブルなく取引できていた場合でも、取引額や取引頻度が増えると、支払いが難しくなるかもしれません。
取引額や取引頻度を増やすときは、事前に信用調査を実施しておくことが必要です。また、取引額や取引頻度を増やした後も定期的に信用調査を実施し、同額・同頻度の取引を継続できるか調べることで、より不安なく取引できます。
取引先の経営状態について好ましくない評判を聞いたとき
業界内では、さまざまな評判を耳にすることがあるでしょう。たとえば「不渡りが出たらしい」「新商品が売れなくて在庫を抱えているらしい」など、経営状態について好ましくない評判を耳にすることがあるかもしれません。
評判のすべてが真実とは限りませんが、何かしらの理由があって好ましくない噂が広まっている可能性もあります。経営関連のネガティブな評判を聞いたときは、念のために信用調査を実施すると安心です。
信用調査を実施しないリスク
信用調査は義務ではないため、あえて調査をしないという選択をすることも可能です。信用調査を実施すると費用がかかるだけでなく、時間もかかるため、取引に適した時期を逸するリスクもあります。
しかし、信用調査を実施しないことにも多くのリスクがあるため、信用調査なしの取引はおすすめできません。主なリスクとしては、次のものが挙げられます。
- 売掛債権を回収できない可能性が生じる
- キャッシュフローが悪化する可能性がある
- 自社の社会的信用度が低下する可能性がある
- 連鎖倒産を引き起こす可能性がある
それぞれのリスクについて見ていきましょう。
売掛債権を回収できない可能性が生じる
経営状況が好ましくなく、資金繰りに問題のある事業者と取引をすると、売掛金を回収できない可能性が生じます。支払い期日に遅れるだけでなく、貸倒れになるかもしれません。
安心して取引をするためにも、信用調査が必要です。また、信用調査により経営状態に問題があることが判明したときは、取引を控えたり、取引額を減らしたりといった対応も必要になります。
キャッシュフローが悪化する可能性がある
取引相手からの入金が遅れることで、自社のキャッシュフローが悪化するリスクもあります。例えば、相手企業からの入金を見込んで仕入れを計画している場合、入金が遅れてしまうと予定していた日に仕入れができなくなり、以後の販売や事業拡大にも影響が及ぶかもしれません。
一旦キャッシュフローが悪化すると、資金繰りを立て直すまでに長大な時間がかかることもあります。仕入れや販売がスムーズに進まなくなり、経営悪化につながることもあるため注意が必要です。
自社の社会的信用度が低下する可能性がある
掛売だけでなく掛買をしている場合、取引相手からの入金が遅れることで、自社の支払いも遅れてしまう可能性があります。支払い期日に間に合わず、信用を失ってしまうかもしれません。
また、万が一売掛先が倒産すると、買掛先への支払いが遅れるだけでなく、支払いができない状況に陥ってしまいます。金融機関への返済や他社への支払いも遅れ、社会的信用度が低下するかもしれません。
連鎖倒産を引き起こす可能性がある
回収できない売掛金が自社の経営を大きく左右するような多額の場合、売掛先だけでなく自社も連鎖的に倒産してしまうかもしれません。また、自社との取引で経営が成り立っている事業者がある場合は、その事業者も倒産に追い込んでしまう可能性があります。
信用調査会社に調査を依頼するメリット
信用調査を実施しないで取引をすることには多大なリスクがあります。特に掛売をする場合には、念入りに売掛先の経営状況や他社との取引状況を調べておくことが必要です。
信用調査を自社で実施することも可能ですが、専門的なノウハウを持つ信用調査会社に依頼することも検討できます。信用調査会社に依頼することには、次のメリットがあります。
- 時間や手間を節約できる
- 客観的なデータを得られる
各メリットについて解説します。
時間や手間を節約できる
信用調査を自力で実施する場合は、かなりの時間がかかります。相手会社の経営責任者とアポイントを取り、経営状況について尋ねたり、商業登記簿謄本などを取り寄せたりすることも必要になるかもしれません。
客観的なデータを得られる
相手会社の経営責任者に経営状況を尋ねたとしても、必ずしも正直に答えてもらえるとは限りません。特に新規取引のために調査する場合は、相手会社も「よく見られたい」という意識が働き、実際よりも経営状況が良いように答える可能性があります。
また、すでに何度か取引をしている相手について調査する場合は、「今まで問題がなかったから、経営状態にも問題がないだろう」というバイアスが働くかもしれません。客観的なデータを得るためにも、中立的な存在である信用調査会社に依頼するほうが良いこともあるでしょう。
信用調査の手間を解消する方法
信用調査を社内で行う場合は時間や手間がかかります。取引先が多い場合はさらに負担が増えるでしょう。
このような手間をかけずに信用調査を実施する方法として、請求代行サービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。請求代行サービスでは、請求書の発行・送付や入金確認などに加え、信用調査を代行する場合もあります。
「マネーフォワード 掛け払い」は、スムーズな企業間取引を実現する請求代行サービスです。信用調査を含め、企業間取引に必要な業務をすべて代行するため、経理業務の負担解消や効率化を図ることができます。
ご興味のある方はぜひお問い合わせください。
まとめ
信用調査は安心して取引を行うためにも必要な調査です。新規で取引を行う場合や、取引額を増加する場合など適切なタイミングで実施してください。
『マネーフォワード 掛け払い』では、取引開始後も定期的な信用調査も実施しているため、経営状況の変化にも対応できます。ぜひお問い合わせください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
電子記録債権(でんさい)を利用するメリットをわかりやすく解説
電子記録債権(でんさい)とは、金銭債権を電子化し、全国銀行協会の「でんさいネット」で管理できる債権のことです。手形に代わる決済方法として注目されています。交付や保管でかかるコストを軽減し、盗難・紛失のリスクを軽減できることがメリットです。 …
詳しくみる当座預金出納帳とは?テンプレートを基に書き方や締め切り方を解説
当座預金出納帳とは、当座預金の増減を記帳する補助簿です。現金出納帳や小口現金出納帳と似ていることから、違いや書き方がわからない方もいらっしゃるでしょう。 本記事では、当座預金出納帳の書き方について解説します。当座預金出納帳のテンプレートや記…
詳しくみる誤入金されたお金の返金方法は? 仕訳・勘定科目や注意点などを解説
誤入金されたお金は、時効が成立しない限り返金が必要です。この記事では、誤入金されたお金の返金の仕方や仕訳方法、勘定科目を詳しく解説します。 また、誤入金されたお金を使ってしまったときの対応および、誤入金を防止するための対策も併せて解説します…
詳しくみる継続課金システムは2種類ある!それぞれの特徴~決済方法まで解説
サブスクリプションや月額課金と呼ばれる、継続課金システムを利用したサービス提供は、中長期に渡って安定した定期収入が見込めるため、導入を検討する企業も多いでしょう。 本記事では、利用者からも企業からも人気の継続課金システムについて、種類や導入…
詳しくみる請求書の照合を自動化・効率化する方法は?メリットや注意点も解説
請求書の照合を自動化することで、経理業務の効率は大幅に向上します。従来の手作業による照合作業は時間がかかり、入力ミスも発生しやすいものでした。しかし、自動化を導入することで、これらの問題を解決できます。 本記事では、エクセルやRPA、専用シ…
詳しくみる売掛金回収業務の営業と経理の役割分担は?方法やポイントを紹介!
売掛金を回収する際、皆さんの会社では営業と経理でどのように役割分担をしていますか?企業によっては、売掛金回収の役割があいまいなことが原因で生じるトラブルや回収遅延に悩まされているかもしれません。 売掛金を確実かつスムーズに回収するためには、…
詳しくみる