• 作成日 : 2025年2月6日

与信管理とは信用取引のリスク軽減方法の1つ!意味や流れを簡単に解説

与信管理とは、信用取引のリスクを軽減するために与信を管理することです。新規取引の前に、その企業が安心して取引できる相手なのかを判断するときや、取引中の相手においても現在でも安心して取引できるのかを判断するときに実施します。与信管理の必要性や与信承認の流れについて説明します。

与信とは?

与信とは、信用供与のことです。ビジネスにおける信用とは「相手が正しく支払うことに対して信用すること」を指します。

例えば、現金で商品を購入するときにはあまり「信用」は必要ありません。その場で現金を受け取れないのであれば、商品を渡さないだけで済むからです。

しかし、代金を後払いにする場合は「信用」が必要になります。調査したうえで「信用」に値すると判断したときだけ「信用供与」を行い、後払いを約束してから先に商品を渡します。企業間取引においては、後払いで取引をすることも少なくないため、与信が発生することも珍しくありません。

与信リスク(信用リスク)とは?

与信リスクとは、信用取引が成立しなくなることです。信用リスクとも呼ばれます。例えば、取引先が経営破たんしたときは、後払いの取引に対しては代金を回収できなくなるかもしれません。また、取引先の取引相手が経営破たんし、あおりをうけて代金回収が難しくなることもあります。

このように、新しく取引を開始するときは、取引先だけではなく周辺の状況についても調査し、多方面においてどのようなリスクがあるのか把握しておくことが不可欠です。

与信管理とは?

与信管理とは、与信リスクを軽減するために定期期に取引先の与信を見直し、管理することです。与信は常に変わります。取引開始当初は良好な経営状態にあった企業であっても、様々な要因や状況によって経営不振になり、信用に基づいた取引が難しくなることもあります。

状況に応じた取引を実施するためにも、与信を調べるだけでなく管理することが必要です。丁寧に与信管理を行うことが、与信リスクの軽減にもつながります。

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取引先の与信管理の流れ

安心できる取引を実現するためには、取引前に与信を調べること、そして、その後の与信管理が欠かせません。取引先の与信管理は、次の流れで行います。

  1. 与信承認
  2. 与信事後管理

まずは簡単に流れを確認しておきましょう。

1.与信承認

信用に基づいた取引を開始する前に、取引先の与信を承認する作業が必要です。与信承認を行うと、後払い(請求書払い)などにも対応できるようになり、取引の幅が広がる可能性があります。与信承認作業について詳しくは後述します。

2.与信事後管理

すでに取引を開始している場合でも、今後も安心して取引を継続できるとは限りません。取引先の経営状況は刻一刻と変化するだけでなく、取引先を取り巻く状況も変化しているからです。

常に最新の与信に基づいて取引を行うためにも、与信の事後管理が不可欠です。与信事後管理についても、詳しい内容は後述します。

与信承認の流れ

新しく取引を開始するときに必要な作業が「与信承認」です。与信承認は次の流れに沿って行うことが一般的です。

  1. 与信情報の収集
  2. 信用力評価・与信判断
  3. 契約条件の交渉

順に説明します。

1.与信情報の収集

与信を承認するためには、与信の判断に必要な情報を収集することが必要です。一般的には次のような情報を収集します。

  • 取引先から直接得られる情報(貸借対照表損益計算書など)
  • 第三者機関(経営者情報、労使関係など)から得られる情報

なお、与信承認を自社で行う場合は、取引先や第三者機関などから広く信用に関わる情報を収集しなくてはいけません。必要と思われる情報を集めるだけでも時間と手間がかかり、取引開始までに時間がかかってしまうことになります。

2.信用力評価・与信判断

収集した情報から、取引先の信用力を評価します。信用力評価において用いられることが多い分析方法としては、次のものが挙げられます。

<定量分析>

定量分析とは、数字で表記される内容について分析することです。例えば、貸借対照表損益決算書などの書類では、資本力経営状態などを数字(金額)として確認します。

<定性分析>

定性分析とは、数字で表記されない内容について分析することです。例えば、経営者の資質販売基盤取引先の多さ労使関係などの企業内にある要素や、業界全体の見通しなどの外的要素も分析の対象となります。定性分析では金額などのわかりやすい指標がないため、事前に判断基準を定めておくことが公正な評価につながる場合があります。

<商流分析>

商流分析とは、取引先との関係やエンドユーザーとの関係などに基づいて分析することです。例えば、取引先との決済条件商売の形態などを分析します。商流分析も定性分析と同じく、具体的な数値に基づいて分析しないため、事前に判断基準を定めておくことが不可欠です。

これらの分析を実施し、結果から与信を総合的に判断します。信用を供与できないときは、信用に基づいた取引を以後行いません。

反対に、総合的に見て信用に値すると判断したときは、与信に基づいた取引を開始します。ただし、取引には条件があり、無尽蔵に信用を供与するものではありません。場合によっては、事前に取引上限額を定め、上限額の範囲内で取引を行います。

3.契約条件の交渉

与信結果を基に、取引先と契約条件を交渉します。与信結果によっては、取引先に担保の提供を請求することもあります。取引先が適切と思われる価値の担保を提供できないときは、契約が成立しないので注意しましょう。

与信事後管理の流れ

与信事後管理は、以下の流れで行います。

  1. 債権管理
  2. 与信限度の確認・見直し
  3. 問題案件・事故管理

順に解説します。

1.債権管理

まずは今までの取引を振り返り、支払い期限に遅れていないか、金額を超えていないかをチェックします。支払いに遅れが増えてきたときは、経営状態に何らかの問題を抱えている可能性があります。

また、与信承認の時点で取引上限額を設定している場合は、上限額を超える取引を行わなかったかも確認することが必要です。上限額を超える取引が度々実施されているときは、適切な取引額に調整する必要があります。

2.与信限度の確認・見直し

適切な与信限度額は、取引先の経営状況や業界全体の動向などによっても異なります。常に最新の条件で取引契約を締結するためにも、定期的に与信限度額を見直すことが必要です。

与信限度額の見直しは、与信承認の際に実施した調査と同じプロセスを踏みます。貸借対照表や損益計算書などの決算書や、第三者機関から得られる情報、また今までの取引の中で築いてきた信用などから総合的に判断し、適切に与信限度額を設定します。

3.問題案件・事故管理

取引先が支払いに遅れているときは、状況を正確に判断して適切な対応をすることが不可欠です。不可抗力により支払いに遅れているとき、例えば、取引先が海外から原料を輸入して加工している場合、戦争や災害などの事情で船が大幅に遅れ、製造できずに利益を得られていないなどの状況も想定されます。

このような場合であれば、支払い期限を延ばすなどの対応で処理できる可能性もありますが、経営状況の悪化により遅れている場合は、取引先の倒産を見越して、被害をできるだけ減らす管理業務が求められるでしょう。

なお、与信事後管理は、取引が続く限りは定期的かつ継続的に行わなくてはいけません。信用状況は常に変化し、また、取引における問題も常に発生の可能性を秘めています。トラブルのない取引を実現するためにも、与信承認と与信事後管理は大切な業務といえるのです。

まとめ

与信は承認して終わりではなく、継続的に見直しを行い、管理・調整が必要です。しかし、与信には取引先の最新の決算書や第三者機関の情報などを幅広く集める必要があるだけでなく、適切に状況を判断するスキルも求められます。誤った判断をすると、取引により損害を受ける可能性もあるので、正確かつ慎重に実施することが不可欠です。

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