- 作成日 : 2025年2月5日
入金遅延の対応方法とは?リスク管理の重要性なども合わせて解説
入金遅延は、会社の経営にまで影響を与えることもあり、決して楽観視してもよいものではありません。そのため、入金遅延が発生すると、適切かつ迅速な対応が求められます。今回は、入金遅延の対応方法について解説いたしますので、入金遅延の対応方法を知っておきたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
なぜ入金遅延が発生するのか
入金遅延とは、文字通り、入金が遅れていること、つまり、取引先から支払われる予定だった金額が期日を過ぎても入金されていないままとなっていることです。
では、そもそもどうして入金遅延が発生してしまうのでしょうか。
実際にはさまざまな理由で発生してしまう入金遅延ですが、その中でも特に入金遅延の原因となりやすい3種類の場合について、それぞれ解説いたします。
事務手続きにおけるミスが原因の場合
本来あってはならないことですが、書類の不備や手続き漏れといった、担当者の事務処理上のミスが原因で入金遅延が発生する場合もあります。
こういった些細なミスが原因の場合はトラブルになることは少なく、代金もすぐに回収できることがほとんどです。
取引先ではなく、自社内のミスが原因となっている場合は、再発防止策を出すなどの対応は必要ですが、代金が支払われる見込みがないというわけではないため、比較的穏当なパターンといえるでしょう。
取引先との認識齟齬が原因の場合
自社と取引先の間で、支払金額や支払期日に関する認識の食い違いが起こっており、それが原因で入金遅延が発生してしまう場合もあるでしょう。
ただの勘違いで期日・金額を見落としていたというだけなら、特に問題にもならないかと思いますが、場合によっては、聞いていた金額・期日と違うから支払わない・支払えないという話になってしまう可能性もあります。
そのため、どんな取引でも契約書はしっかり作っておく、契約の際に取り交わした取引内容などはメールや書面に残して取引先にも渡しておくようにするといいでしょう。
事前の確認を怠った、期日や金額についての詳細を書面などのすぐに確認できる状態のものにしていなかったなどの不備も考えられるため、そういった不備が起こらないよう、念入りに事前確認を重ねることが重要です。
取引先の資金不足が原因の場合
入金遅延が発生してしまった場合に最も警戒すべきなのが、この「取引先の資金不足」が原因の場合です。
資金不足で入金が遅れるということは、現状、取引先の資金繰りが上手くいっていないということであり、最悪の場合、支払ってもらえないまま、取引先が倒産してしまう可能性もあります。
そうなると、代金の全額回収はかなり難しくなってしまうため、取引先が倒産してしまう前に、迅速に対応しなければなりません。
つまり、自社の不備以外の原因で入金遅延が発生した時点で、取引先の資金繰りが上手くいっていないかもしれないという最悪の場合を想定しておく必要があるということです。
入金遅延が発生した場合の対応
入金遅延が発生してしまった場合、会社はどんな対応を取るべきなのでしょうか。
入金遅延が発生してしまった場合とその原因について解説いたしましたが、実際に入金遅延が発生した場合は、原因が何であれ、とにかく迅速かつ適切な対応をとることが重要です。
取引状況・取引先の確認
入金遅延が発生してしまった場合、最初にすべきことは原因の特定です。まずは自社内での書類や手続きの不備が入金遅延の原因となっていないかを確認しましょう。
原因が自社内にあれば即座に謝罪と適切な対応を行い、自社内の書類や手続きに問題がなければすぐに取引先に連絡を入れて、その時点での取引状況がどうなっているのかを確認し、何が原因で入金遅延となっているのかを確認します。
そして、取引先に支払いの意思があるか、今後の取引をどうするのかを確認した上で、新しい支払期日を再設定しなければなりません。
延期を要請された場合の対応
入金遅延が発生した際、場合によっては取引先から支払いの延期を要請されることもあります。
「資金不足のため今すぐに支払うことはできないが、少しだけ待ってもらえれば必ず払うことができるので、支払期日を延期してもらえないか」というような相談を持ちかけられることがあるということです。
しかし、どんな事情があったとしても、考えなしに相手の要請内容をそのまま受け入れたりしてはいけません。
支払の延期を受け入れた結果、自社の資金繰りや経営に問題が生じて、最終的に自社に損害が出てしまうという可能性もあるからです。
支払期日延期の相談に乗る際は、自社側のリスク回避について考えられているか確認した上で話を聞くようにしましょう。
入金遅延が発生した際のリスク管理
取引先の資金不足などが原因で入金遅延が発生すると、経営に影響が出ることもあるため、迅速かつ適切な対応を行うことが重要となります。
取引先が倒産するかもしれないと考えたところで、契約内容を見直すのか、取引を中止するのか、など早く対応方法を決めておかなければ、どういったリスク回避を行うかも決められないからです。
契約内容の見直し
入金遅延の発生後、契約見直しを行うとなると、取引先が倒産してしまう場合のことも考え、新しく「期限の利益喪失条項」などを設けておいた方がいいでしょう。
期限の利益とは、支払期日になるまでの間に支払いを行う必要はないという権利のことです。
取引先がこの権利を保有したままでいると、倒産の可能性が高まったのでその前に売掛金を払ってくださいと依頼しても「まだ期日ではないので」という期限の利益を主張して断られてしまいかねません。
しかし、「期限の利益喪失条項」によって、取引先の期限の利益を喪失させることができれば、当初の支払期日を迎えていなくても、速やかに回収するための措置をとることができるようになります。
そのため、倒産の可能性が高まっても支払いを請求できないといった事態に陥らないよう、倒産の可能性がある取引先の契約を見直す際は、「期限の利益喪失条項」を設けておくことが重要なのです。
取引を続ける場合の対応
入金遅延の発生後も取引を続ける場合は、取引規模を縮小したり、支払方法を変更したりした方がいいかもしれません。
取引先が倒産するかもしれないということを考えると、支払方法を前払いなどに変更してもらい、債権をきちんと回収できるような対応方法を考えておいた方がいいでしょう。
取引を中止する場合の対応
取引を中止する場合は、取引先との協議を行い、契約解除などの詳細をつめる必要があります。
取引を中止する理由が一度の入金遅延だけということであれば、取引中止の理由としては弱いかもしれませんが、他にも取引先が2期以上連続で赤字決算であったり、取引先の財務内容が債務超過になっていたり、支払延期の要請があったりと、これらのうちのいずれか一つ以上が該当していれば、取引を中止した検討した方がいいでしょう。
リスク回避のためのサービスを利用する
回収不能リスクのある債権を抱えたままでいるのは危険です。そのため、売掛保証サービスなどのサービスを利用することも検討し、できる限り回収不能リスクを回避するよう努めましょう。
売掛保証サービスとは、事前に一定の保険料を納めておくことで、倒産などによって取引先から債権を回収できなくなっても、保証会社が債権の支払いを保証してくれるというサービスです。
入金遅延などが発生して取引先に倒産の可能性を感じてから利用することもできるため、取引先に不安を感じられた方は、債権の回収不能リスク回避のためにも売掛保証サービスの利用を検討してみてもいいかもしれません。
まとめ
時おり発生してしまう入金遅延ですが、発生してしまった時は何よりも優先して原因の確認を行わなければいけません。場合によっては、自社の書類不備や取引先との認識齟齬が原因となっていることもあるからです。
そして、取引先の資金不足が原因の場合は、倒産の可能性などもあるため、その後の対応には厳重に注意する必要があります。
入金遅延の発生後、取引を続けるにしても中止するにしても、取引先からきちんと回収できるように、契約内容の見直しや支払方法の変更、場合によっては取引の中止などの検討も必要でしょう。
また、入金遅延や貸し倒れのリスクヘッジのためには、請求代行サービスの利用も有効です。請求代行サービス「マネーフォワード 掛け払い」であれば掛け売りに必要な与信審査・請求書の発行発送・入金管理・未入金フォローなど、請求にかかわるすべてのプロセスを代行します。さらに、審査通過後は確実に入金されるため、貸し倒れリスクから解放されます。(※)
取引先の与信管理、債権回収やリスク管理などに苦労されている方は、「マネーフォワード 掛け払い」の利用を検討されてみてはいかがでしょうか。
※表明保証違反が審査通過後に発覚した場合等、例外的な場合は対象外です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
出張旅費や出張手当は課税対象?精算書のテンプレートも紹介
旅費精算は、従業員が出張時に立て替えた交通費、宿泊費、日当などの経費を会社が精算するプロセスです。本記事では、出張旅費や出張手当の課税対象について解説します。非課税となる費用の種類や例外的な課税ケース、適切な旅費規程の作成ポイントの紹介やテ…
詳しくみる社債とは?株式との違いや種類、リスクや銘柄まで簡単に解説!
事業の拡大を図りたいとき、新事業を立ち上げたいとき、事業の成長スピードを上げたいときなど、企業はさまざまな場面で資金が必要になります。資金調達の方法として代表的なのが、株式の発行です。株式を発行して資金を集め、代わりに会社は株式を取得した株…
詳しくみる小切手は2026年度末までに廃止予定!理由や電子記録債権(でんさい)などの代替手段を解説
2026年度末(2027年3月末)に、紙の小切手が完全に廃止されます。小切手は日本企業の取引で長年使われてきましたが、効率性の問題や不渡り・紛失などのリスクから電子決済への移行が求められています。この変化は、企業だけでなく、小切手を使ってい…
詳しくみる負債とは?科目の意味と定義をそれぞれ解説
一般的な負債の定義は、債権者に対する支払義務を表します。しかし、会計上、貸借対照表の貸方(右側)に表示される負債は異なる意味も含みます。会計上の負債とは何でしょうか。この記事では、会計上の負債の意味、貸借対照表上の表示区分である流動負債と固…
詳しくみる途上与信とは?タイミングや法定途上与信との違い、審査による影響などを解説
クレジットカードやローンを利用する際、金融機関は契約時に審査を行いますが、その後も定期的に借り手の信用状況を確認していることをご存じでしょうか?この継続的な審査を「途上与信」といいます。 この記事では、途上与信の仕組みや目的、法的な位置づけ…
詳しくみる入金消込サービスとは?自動化・効率化できる?よくある課題も解説
入金消込とは、売掛金の入金を消し込む作業のことです。手入力で行う入金消込にはさまざまな問題があります。入金消込は、できるだけ自動化や効率化を進めて手入力によるミスが生じないようにすることが重要です。この記事では、入金消込の課題や自動化・効率…
詳しくみる