- 更新日 : 2025年4月23日
決算書の作り方は?手順や必要書類を簡単にわかりやすく解説
決算書を作るには、会計関連の書類の収集など、の事前準備が必要です。その上で、日々の取引の記帳を行い、決算整理仕訳などの手順を踏んで、決算書を作成していきます。この記事では、決算書作成のスケジュールモデルや作成工程の目安、決算書作成に必要な書類などについて簡単にわかりやすく解説していきます。
目次
決算書の作り方
決算書とは、企業の財政状況や経営成績などがわかる書類です。代表的なものに、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書があります。
決算書については、以下の記事で詳しく説明しています。
決算書の作成に必要な書類
決算書を作成するためには、会計情報などを確認できる書類が必要です。作成前に、下記の書類を準備しておきます。
書類名 | 書類の内容 |
---|---|
総勘定元帳 | 勘定科目ごとの取引が記録された帳簿です。決算書作成の対象年度の取引データをすべて記録した上で準備します。 |
領収書 | 取引の内容や金額を確認するために必要な書類です。すぐに確認できるように、日付順に並べてファイルにまとめておきます。 |
請求書 | 得意先との取引関係や取引内容が記録された書類です。領収書と同様に日付順に、また取引先別にまとめておくと確認しやすくなります。 |
残高証明書 | 預金口座の決算日時点での残高証明書を請求して準備しておきます。 |
売掛金元帳・買掛金元帳 | 売掛金や買掛金の状況が確認できる書類です。取引先と残高が一致しない場合は、残高が確認できる書類を発行してもらいます。 |
返済予定表 | 借入金の返済がある場合は、残高の確認などのために用意しておきます。 |
契約書関係 | リース契約など事業に関係する契約書類を用意しておきます。 |
決算書を作成する手順
決算書の作成手順は下記の通りです。
- 日々の取引を記帳する
- 実際の残高と帳簿上の残高を確認する
- 決算整理仕訳をする
- 総勘定元帳に仕訳を転記する
- 試算表を作成する
- 決算書を作成する
決算書を作成するには、日々の取引についてこまめに記帳しておくことが重要です。決算の時期が近づいたら、実際の残高と帳簿上の残高を比較して、不一致がないか確認します。一致しない場合は、帳簿に誤りがある可能性があるため、原因を特定します。
残高確認を終えたら、帳簿を締め切るための決算整理仕訳を行い、総勘定元帳に仕訳を転記し、試算表を作成します。試算表とは、合計試算表や残高試算表のことで、金額の確認に役立ちます。試算表によって金額の整合性がとれた後は、準備した書類を使い、貸借対照表や損益計算書などの決算書の作成を行います。
決算書作成のモデルスケジュールと所要日数の目安
法人の場合、作成した決算書類をもとに、法人税などの申告書を作成して提出しなければなりません。決算日が到来した後は余裕をもってスケジュールを組み、決算書を作成するようにしましょう。3月決算の法人における決算書作成のモデルスケジュールは下記の通りです。
時期 | 工程 | 所要日数の目安 |
---|---|---|
前4月~3月 | 記帳 | 日々 |
4月 | 残高確認 | 5日 |
4月 | 決算整理仕訳 | 2日 |
4月 | 総勘定元帳への転記 | 10日 |
4月 | 試算表の作成 | 5日 |
5月 | 決算書作成 | 10日 |
決算書作成をスムーズに進めるには
決算書作成業務を滞りなく行うためのポイントを5つ紹介します。
必要なデータを整理しておく
決算書作成時に必要な書類にすぐにアクセスできるように、日頃からデータの整理を心がけるようにしましょう。決算書作成前になって領収書の整理や請求書の整理などを始めると、決算書作成までのスケジュールに間に合わなくなってしまいます。
データについては、ファイル名を工夫して検索しやすいようにしておくなどの工夫を取り入れてみましょう。残高照会などでつまずかないためにも、日々の記帳はダブルチェックするなどして入念に確認作業をすることも重要です。
月次決算を取り入れる
中小企業などでは、年に1回の決算が一般的です。しかし、従来の決算方法だと、必要に応じて1年分のデータを確認しなければならず、かえって負担がかかることがあります。帳簿の誤りなどを早期に発見して修正するには、月次決算を取り入れるのもおすすめです。
自動化できる会計システムを取り入れる
決算書作成を円滑に進めるには、日々の記帳の負担や帳簿への転記の負担を軽減できる会計システムの導入も検討してみましょう。連携先からデータを取り込み、自動で仕訳までしてくれる機能があれば、仕訳のチェックだけで済むため、経理業務にかかる作業時間を削減できます。
アウトソーシングを活用する
アウトソーシングとは、業務の一部をサービス代行会社や個人事業主などに委託することです。決算書作成をスムーズに進める方法として、日々の記帳業務をアウトソーシングする方法もあります。ただし、会計情報は会社の重要な情報であるため、セキュリティ対策が講じられている業者に依頼するのが良いでしょう。
複雑な作業は税理士に依頼する
決算業務では、専門的な知識が必要になることもあります。複雑な会計処理が多く判断に迷う場合や書類作成で迷う場合は、税理士などの専門家に依頼するのも良いでしょう。税理士は、税務の専門家です。決算書作成後の税務申告に必要な書類の作成や申告のサポートなども依頼できます。
決算書の作り方の流れを押さえてスムーズに作成しよう
決算書の作成までには、帳簿と実際の残高照会、決算整理仕訳、試算表の作成と確認など複数の工程があります。会社の規模によって、決算書作成までに時間がかかることもあるため、決算書作成が楽になる工夫を取り入れていくことも検討しましょう。具体的には、仕訳などを自動化できるクラウド会計ソフトの利用やアウトソーシングの活用などが考えられます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
町内会等の会計報告書の書き方・話し方・テンプレート
自治会、町内会などの団体や地域活動を行っているコミュニティ団体で法人格を持たないものは「任意団体」に分類されます。任意団体の運営については、法律などで決められたルールがありません。しかし、実務的には一定の運営のルールに基づいて会計報告などが…
詳しくみる本決算とは?決算業務における立ち位置や必要な書類、手順を解説
本決算とは、企業が1事業年度の経営成績と財政状態を示す重要な会計プロセスです。本決算の目的や時期、過程、必要書類、中間決算との違いなど、決算業務の重要な要素を理解することは経理担当者にとって欠かせません。 この記事では、本決算の基本的な概念…
詳しくみる子会社株式の減損処理や評価損について解説
会社が保有する有価証券は、会計処理上、時価評価するもの、時価評価しないものに分類されます。時価評価しない有価証券は、取得原価(取得時の取得価額)などで評価しますが、時価が大きく下落し、回復の見込みがないときは減損処理が必要です。今回は、減損…
詳しくみる決算発表日の調べ方は?スケジュール把握のメリットと発表が多いシーズンを紹介
決算発表日の調べ方を知ることは、投資戦略を立てる上で重要です。本記事では、発表日の確認方法やスケジュール把握のメリット、注目すべき企業や発表時期、そして決算発表で確認すべきポイントを解説します。これらの情報を活用し、効果的な投資判断につなげ…
詳しくみる決算書と財務諸表の違いは?目的や読み方のポイントをわかりやすく解説
一般的に決算書という用語は、財務諸表とほとんど同じ意味で使われます。なぜ決算書の他に、財務諸表や計算書類などと呼ばれるのでしょうか。この記事では、決算書と財務諸表の違いの他、財務諸表の作成目的や読み方のポイントなどを解説します。 決算書と財…
詳しくみる連結決算の対象となる条件は?義務付けられている親会社の定義も解説
連結決算業務をスムーズに行うには、どのような会社が対象になるかを理解しておくことが重要です。一部の会社においては連結決算が義務付けられており、適切な会計処理が求められます。 連結決算の対象になるのは原則として子・関連会社です。とはいえ、必ず…
詳しくみる