• 作成日 : 2022年12月29日

ERPで財務会計を効率化 | 財務会計の課題やERPを導入するメリットを解説

これまでは「経理業務なら会計ソフト」といったように、業務ごとにシステムを導入する形が一般的でした。しかし現在は、独立したシステムではなく複数のシステムを統合したERPの導入が増えています。ここでは、財務会計の概要と業務内容、課題、そして財務会計におけるERPのメリットをご紹介します。

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財務会計とは

財務会計(Financial accounting)とは、社外に自社の業績を把握してもらうためのものです。主に情報提供機能と利害調整機能の2つに分かれ、情報提供機能が基本になります。

  • 情報提供機能
    情報提供機能とは財務情報を公開することを意味し、企業の経営状況を社外に公開することです。具体的には、伝票処理など日常の経理業務をベースに、期間ごとに決算を行い、財務諸表を作成します。

社外とは投資家や債権者、税務署などのことで、財務諸表とは貸借対照表損益計算書キャッシュフロー計算書などのことで、一般的にイメージされる「会計業務」に近いものといえます。

  • 利害調整機能
    利害調整機能とは、財務状況を明らかにすることで経営陣や株主など企業の経営に関わる関係者同士の利害を調整することを意味します。それにより、企業のスムーズな運営を目指します。

財務会計の目的

財務会計の目的は、ステークホルダーに対して企業単体、またはグループでの経営状況や財政状態を開示することです。

財務諸表は、投資や融資の資料として用いられるため、正確であることがもっとも重要です。ステークホルダーとは企業外部の利害関係者のことで、具体的には、株主、投資家、金融機関、債権者、取引先、仕入れ先などを指します。

管理会計との違い

会計には、大きく分けて財務会計と管理会計があります。

財務会計は、企業の現状を対外的に報告するためのものです。企業であれば、財務会計業務を行って財務諸表を作成する義務があります。財務諸表は、ステークホルダーや税務署が参考とするため、その内容や形式には法的な規定があります。

管理会計は、企業の現状を経営層に報告するものです。経営層はそれを参考にして経営戦略を作成し、意思決定を行います。あくまで社内の資料のため、内容や形式に法的な規定はありません。管理会計を行うかどうか、行う場合はどのような観点で分析をし、レポートを作成するかなど、各企業の経営や評価の基準に沿って検討する必要があります。

管理会計については「ERPで管理会計を高速化 | 管理会計の課題やERPを導入するメリットを解説」も参考にしてください。

財務会計の業務

財務会計ではさまざまな業務を行いますが、日々発生する経理業務と、月末・期末(年末)の決算業務に分けられます。

日次業務

日次業務では、まず伝票入力(仕訳)を行います。伝票入力では、取引で作成した伝票を仕訳し、簿記のルールに従って記帳しなくてはなりません。伝票入力はすべての会計・経理業務の基本となる業務です。

さらに、伝票入力をもとにして次のような業務を行います。

  • 現預金の入出金明細の確認
    小口現金や預金の入出金明細を確認します。
  • 債権債務の確認
    売掛金買掛金を確認し、売掛金の入金の督促や、買掛金の支払いを行います。
  • 資金繰り表の作成
    資金繰り表を作成し、資金の状況を把握します。

月次業務

月が変わったら、前月の1日から月末までのデータをまとめ、月次業務を行います。

  • 売上請求書の発行・送付
    一か月分の請求書を発行し、顧客へ送付します。顧客の締め日に合わせたスケジュール管理も必要です。
  • 支払請求書の精査・支払処理
    請求書への支払い処理を行います。これには、給与支払いも含まれます。
  • 月次決算書の作成
    月次損益計算書と月次貸借対照表を作成し、月次決算を行います。
  • 経営資料の作成
    売上や利益の推移など、経営層が経営判断に必要とする資料を作成します。

年次業務

1年間の業務が終了したら、期初から期末までのデータをまとめ、年次業務を行います。

  • 棚卸資産の実地棚卸と固定資産の現物確認
    棚卸を行って正確な在庫数を把握し、固定資産についても現物を確認します。
  • 仮払金や仮受金の精査
    仮払金や仮受金で伝票処理していた取引の内容を確認し、適切な勘定科目に振り分けます。

2つの業務が終わったら、決算報告書を作成します。具体的には、貸借対照表、損益計算書、勘定科目内訳明細書、株主資本等変動計算書、別注記表などです。

この業務がスムーズに進むかどうかは、日々の経理処理にかかっています。

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Excelでの財務会計の課題

Excelを使用して財務会計を行なっている企業もありますが、Excelでの財務会計には次のような課題があります。

関数やマクロの入力に専門知識が必要で属人的になりがち

複雑な関数やマクロの入力、その後のメンテナンスなど専門的な知識が必要となり、 属人的になりがちです。

  • システム作成が属人化する
    Excelで毎日の仕訳から決算書類作成までを行うには、複雑な関数やマクロを利用し、システムを構築する必要があります。そのためには、Excelに精通した人材が必要です。
  • システムのメンテナンスが属人化する
    会計システムは、税制改正や社内の組織改編などさまざまな要因の影響を受けるため、修正の機会が多いものです。しかし、Excelで作成した財務会計システムは、作成時同様、メンテナンスできる人材が限られます。
  • 操作が属人化する
    仕訳から決算書類作成までの入力や操作にも、Excelや簿記についてある程度専門的な知識が必要です。

工数がかかるだけでなくミスが起こりやすい

Excelでの財務会計は作業工数が多く、時間もかかり、人的ミスも起こりやすいものです。例えば、次のような点が挙げられます。

  • 社内の各部署から必要なデータを収集するのに時間がかかる
  • 各部署から収集したデータが正しい形式でない場合、データの加工が必要になる
  • データをCSV形式でまとめてインポートする場合でも、一定の手作業が発生し、ミスが起こる可能性が高まる
  • ネットバンキングでない場合、銀行残高の確認にも時間がかかる
  • どこかの段階でエラーを発見した場合、その確認や修正に時間と工数がかかる
  • Excelファイルはバージョン管理がしにくく、月別・年別・部署別など、多数の個別のExcelファイルの管理が必要になる

ERPで財務会計業務の課題を解決

前述した課題は、ERP(Enterprise Resource Planning、統合基幹業務システム)を導入することで解消できます。

ERPはすべての基幹業務システムを統合し、データを一元管理するものです。また、強力なAPI連携機能もあります。

業務の標準化が可能

ERPでは複雑な計算や処理はシステムが行うため、Excelのような複雑な関数やマクロを使用する必要がなく、属人化を防ぐことができます。

また、ERPを導入すると、作業の方法や手順を標準化して固定することができるようになるため、作業の無駄やムラをなくし、大幅な業務効率化が実現できます。業務に関するノウハウや知見の属人化も防ぎ、業務全体のレベルアップにもつながります。

API連携による自動連携

ERPの機能であるAPI連携により、データを自動的に取得することができ、次のような場面で活用することが可能です。

  • 周辺ツールとのAPI連携により、社内のさまざまな部署から正しい情報を自動的に入力することが可能
  • 銀行やクレジットカード会社との外部連携により、オンラインで残高確認や明細確認が可能
  • データはすべてERPで一元管理されるため、常に最新のデータを確認することが可能

このようにERPの自動連携を活用することで、財務会計に必要なデータを自動的に収集できます。それによりデータ入力の手間を省き、工数と人的ミスを大幅に削減することが可能となり、大きな業務効率化につながります。

まとめ

多くの企業でデジタル化による業務効率化やDX推進が進んでいます。財務会計業務も、より効率化を考える必要がありますが、Excelを使用しての財務会計は属人的になりがちであることや、人的ミスが発生しやすいなど、課題が多くあります。
ERPを導入することでExcelにおける課題を解決し、業務効率化を進めましょう。

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よくある質問

財務会計とは?

決算報告書を作成し、経営状況を外部に正しく公開するための会計です。

Excelでの財務会計の課題とは?

Excelでは、操作やシステムの作成・メンテナンスで属人化の問題が起こりやすく、工数も多くなり、ミスも発生しやすくなります。

ERPでの財務会計のメリットとは?

Excelでの財務会計の課題を解消し、業務の標準化とデータ入力の自動化が可能です。そこから業務効率化と処理速度向上につながります。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:成瀬恭子

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