- 更新日 : 2025年11月13日
法定実効税率とは?計算方法をわかりやすく解説
法定実効税率とは所得に対して課税される法人税、住民税、事業税の表面税率を使って所定の方法で計算される総合的な税率のことです。法定実効税率は、主に「税効果会計」という会計処理で使われます。
2025年(令和7年)の税制改正の防衛特別法人税の創設により、企業の法定実効税率は上昇します。適用時期は、 2026年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
※表面税率(もしくは合計税率)とは、法律が定めている税率のことを指します。税金の納付や申告の際には表面税率が、税効果会計の会計処理の際には法定実効税率が使用されます。これらは法定実効税率と表面税率の間にズレが発生するため分けられています。
今回はこの法定実効税率が具体的にどう計算され、表面税率とどう違うのかを解説します。
目次
法定実効税率とは
法定実効税率とは、所得に対して課税される法人税、住民税、事業税の表面税率を使って所定の方法で計算される総合的な税率のことを指します。表面税率(もしくは合計税率)とは、法律が定めている税率のことを指します。
税金の納付や申告の際には表面税率が、税効果会計の会計処理の際には法定実効税率が使用されます。これらは法定実効税率と表面税率の間にズレが発生するため分けられています。
企業が所得等の応じて負担する税の種類
1.法人税:23.4%
法人税は法人の所得に応じて課税される国税で、直接税です。法人税は赤字企業においては免除されています。
2.地方法人税:4.4%
地方法人税は法人に課される法人税に応じて課税される国税で、直接税です。
3.住民税:16.3%(東京都内23区に事業所がある場合)
住民税とは都道府県と市町村が当該自治体に住所や居所を持つ個人、事業所を置く法人などに課税する税金です。
個人の税率とは違い、法人の住民税の税率は各自治体が標準税率から制限税率(最高税率)までの範囲内で独自の税率を定め、「超過税率」として適用することができます。東京都内23区に事業所がある場合は、以下の標準税率と超過税率に従って課税されます。
市町村民税:標準税率 9.7%(制限税率12.1%)
道府県民税:標準税率 3.2%(制限税率4.2%)
※令和元年10月1日以後に開始する事業年度に適用される税率は以下の通りです。
市町村民税:標準税率 6.0%(制限税率8.4%)
道府県民税:標準税率 1.0%(制限税率2.0%)
4.事業税:3.78%
事業税とは地方税法に基づいて個人または法人の行う事業について都道府県が課税する税金です。法人税同様、法人の事業税に関しても赤字企業はこれを免除されています。また住民税同様、一部の都道府県においては「超過税率」を適用しています。
※3.78%は、東京都で平成28年4月1日から平成31年9月30日までに事業を開始するまたはした事業所のうち、外形標準課税の対象となる事業所が課税される事業税率です。
▼計算式
0.88%(超過税率)+0.7%(標準税率)×414.2%(地方特別法人税率)=3.78%
法定実効税率の計算方法
本来、法定実効税率は法人税率に地方法人税率、事業税率、住民税率を加算すれば求められるはずです。しかし、実際には、表面税率と法定実効税率は異なります。なぜ、税率に違いがあるのか、表面税率と法定実効税率計算式の違いから見ていきましょう。
表面税率の計算式
表面税率 = 法人税率 + 法人税率 × 地方法人税率 + 法人税率 × 住民税率 + 事業税率
この計算式に基づくと、東京都の外形標準課税適用法人(※資本金1億円超の法人)の表面税率は31.78%(標準税率のみで計算した場合30.81%)となります。
しかし、実効税率を求めるためには事業税が当該事業年度の課税所得算定上、損金に算入される点を考慮しなくてはいけません。これによって実際の負担税率は表面税率よりも低くなります。
法定実効税率の計算式
法定実効税率 = (法人税率 × (1+ 地方法人税率 + 住民税率)+ 事業税率)/(1+ 事業税率)
この計算式に基づくと、東京都の外形標準課税適用法人の法定実効税率は30.62%(標準税率のみで計算した場合29.74%)となります。
※実際の表面税率と実効税率は、会社の規模や所在地などでも変わってきます。
表面税率と実行税率がズレるのはなぜ?
表面税率と実効税率が一致しないのは事業税が当該事業年度の課税所得算定上、損金に算入されることが原因だと紹介しました。これをもう少し具体的に見ていきましょう。
所得を基準として課税するのが事業税です。損金は税務上、会社の費用=経費として計上できるお金を指します。例えば交際費や旅費交通費などの会計上の費用で損金に算入されるものもあれば、欠損金の繰越控除額のように費用ではないが損金となる項目もあります。
損金として算入すると、その企業の課税対象になる所得額は低減されます。この時に表面税率と実効税率のズレが生まれるのです。例えば表面税率に基づいて事業税を加算した場合の税額が50万円だったとしましょう。この場合の所得額は50万円÷3.78%(東京都の外形標準課税適用法人における事業税超過税率)=1,322.7万円です。
しかし、ここに事業税が損金として算入されるため、(1,322.7万円-50万円)×3.78%=48.1万円となります。この50万円-48.1万円=1.9万円が表面税率と実効税率のズレとして現れるのです。
防衛特別法人税で法定実効税率はどうなる?
防衛特別法人税の創設により、企業の法定実効税率は上昇します。法定実効税率は、本来、法人事業税などの「損金算入」の減税効果を織り込んで計算されます。しかし、防衛特別法人税は以下の理由で税率を引き上げます。
1. 適用開始時期
防衛特別法人税の規定は、2026年(令和8年)4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
| 項目 | 法人事業税など | 防衛特別法人税 |
|---|---|---|
| 課税基準 | 企業の所得など | 法人税額 |
| 損金算入 | 認められる(翌期以降の経費になる) | 認められない |
| 結果 | 実質的な税負担率が下がる | 実質的な税負担率が上がる |
2. 税効果会計への影響(重要)
実際の課税は将来からですが、企業の税効果会計(将来の税金負担を見積もる会計処理)においては、税法が成立した時点(2025年3月31日)から影響が出ます。
- 対応: 2026年4月1日以後に解消が見込まれる「一時差異」(将来の税金)については、改正後の新しい法定実効税率(例:約31.52%)を適用して、繰延税金資産や繰延税金負債を計算する必要があります。
3. 基礎控除(中小法人への配慮)
- 防衛特別法人税は、課税標準となる法人税額から500万円を控除した額に4%を乗じて計算されます。
- これにより、法人税額が500万円を下回る中小法人においては、防衛特別法人税は課税されません。ただし、法定実効税率の計算自体は、地域や規模に応じて個別に計算する必要があります。
まとめ
申告の際の税額と、会計処理の際の税額が異なると不安に思われるかもしれません。ですがそれには理由があります。法定実効税率と表面税率の違いを理解してしっかりと区別できるようになりましょう。
よくある質問
法定実効税率とは?
所得に対して課税される法人税、住民税、事業税の表面税率を使って所定の方法で計算される総合的な税率のことを指します。詳しくはこちらをご覧ください。
企業が所得等の応じて負担する税の種類は何がある?
法人税や地方法人税、事業税などがあります。詳しい税の種類や税率はこちらをご覧ください。
表面税率の計算式は?
「表面税率 = 法人税率 + 法人税率 × 地方法人税率 + 法人税率 × 住民税率 + 事業税率」です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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