- 更新日 : 2025年2月19日
投資その他の資産とは?会計処理や分析と評価時のポイントを解説
「投資その他の資産」とは、固定資産のうち有形・無形固定資産に含まれないものを意味します。具体例としては、子会社株式や投資有価証券、長期前払費用などの勘定科目が挙げられます。
本記事では、「投資その他の資産」の意味や会計処理について解説します。また、投資その他の資産の分析にあたっての注意点もお伝えします。
目次
投資その他の資産とは
はじめに、「投資その他の資産」の意味や有形・無形固定資産との違いを解説します。
投資その他の資産とは
投資その他の資産とは、有形固定資産と無形固定資産に含まれない固定資産の総称です。
大前提として、貸借対照表の左側には「資産」、右側には「負債および純資産」が記載されます。
資産は、大きく「流動資産」、「固定資産」、「繰延資産」の3種類に分けられます。そして、固定資産(長期間にわたって企業活動に使用される資産)の一部に、「投資その他の資産」があります。
なお、投資その他の資産は、英語で”Investments and other assets”と表記されます。
有形固定資産や無形固定資産との違い
投資その他の資産を理解するには、有形・無形固定資産との違いを理解することが不可欠です。
有形固定資産とは、固定資産のうち、形(実体)があるものの総称です。
例えば、機械装置や建物、土地、車両運搬具などが該当します。ちなみに有形固定資産のうち、使用によって資産価値が徐々に減少する資産は「減価償却資産」と呼ばれます。
一方で無形固定資産とは、形(実体)がない固定資産の総称です。
営業権(のれん)や法律上の権利(借地権など)、ソフトウェアなどが無形固定資産に該当します。
有形固定資産と同様に、資産価値が減少するものに関しては減価償却が必要となります。
投資その他の資産の構成項目と例
投資その他の資産は、「他企業への資本参加を目的とした投資」、「長期資産運用を目的とした投資」、「その他の長期資産」の3種類に大別されます。
この章では、各構成項目の概要と具体的な勘定科目の例を紹介します。
他企業への資本参加を目的とした投資
「他企業への資本参加」とは、株式取得に伴う資本の拠出を通じて、他社との関係性を強化する行為です。この行為を通じて計上された勘定科目は、主に以下の構成項目に含まれます。
- 子会社株式
- 関係会社株式
- 関連会社株式
- 子会社出資金
- 子会社長期貸付金
主に、M&Aや資本提携などの際に計上される勘定科目が該当します。
長期資産運用を目的とした投資
長期的に会社の余剰資金を運用するための投資を意味します。この投資を通じて計上された勘定科目は、主に以下の構成項目に含まれます。
- 投資有価証券
- 投資不動産
- 投資仮想通貨
- 長期貸付金
有価証券や不動産などに対し、法人として投資した場合に計上されるものだと認識しておきましょう。
その他の長期資産
その他の長期資産には、他に適切な区分がない勘定科目が該当します。具体的な構成項目は以下のとおりです。
- 長期前払費用
- 保険積立金
- 差入保証金
- 破産債権
- 更生債権
- 貸倒引当金
その他の括りとされているものの、日々の業務で頻繁に目にする科目(長期前払費用など)から、あまり見かけない科目(破産債権など)などさまざまです。
投資その他の資産の会計処理
投資その他の資産の会計処理は、他の資産や負債と同様、会計のルールに則って行う必要があります。
この章では、投資その他の資産に関する仕訳や、財務諸表への影響を解説します。
勘定科目の仕訳
全ての勘定科目の仕訳を紹介すると膨大な量となるので、今回は「長期貸付金」と「子会社株式」を例に、原則的な仕訳を紹介します。
例1:長期貸付金
例えば、3年後を返済期限として、現金200万円を他社に貸し付ける場合、借方に長期貸付金(資産の増加)、貸方に現金(資産の減少)を記帳します。
| 借方 | 貸方 |
| 長期貸付金 2,000,000 | 現金 2,000,000 |
そして、期限が到来した際に200万円が返済された場合、以下のとおり反対の仕訳を実施します。
| 借方 | 貸方 |
| 現金 2,000,000 | 長期貸付金 2,000,000 |
例2:子会社株式
例えば、普通預金500万円の拠出により子会社株式を取得した場合には、借方に子会社株式(資産の増加)、貸方に普通預金(資産の減少)を記帳します。
| 借方 | 貸方 |
| 子会社株式 5,000,000 | 普通預金 5,000,000 |
後日、取得した子会社株式の全てを売却し、50万円の利益が出た場合の仕訳は以下のとおりです。
| 借方 | 貸方 |
| 普通預金5,500,000 | 子会社株式 5,000,000 子会社株式売却益 500,000 |
手放した子会社株式(資産の減少)だけでなく、売却益(収益の発生)も貸方に記録し、その合計額を借方に計上する点が特徴です。
投資その他の資産の増減が財務諸表に与える影響
財務諸表に与える影響について、有形・無形固定資産や負債などとの違いはありません。仕訳の変動は財務諸表に反映されます。
例えば、前述の長期貸付金を例にすると、各勘定科目の増減は生じているものの、資産全体に変動はありません。
一方で子会社株式を例にすると、売却時に発生した利益の分だけ、貸借対照表の「資産」および損益計算書の「収益」が増加します(取得時との単純比較)。
影響はケースバイケースですので、状況に応じて仕訳や財務諸表の作成を適切に行うことが重要です。
投資その他の資産の分析と評価
M&Aや他社への投資に際しては、「投資その他の資産」の中身を分析・評価することも一般的です。
そこで、この章では分析および評価の際に注意すべき点を2つ紹介します。
帳簿価額と実質的な価値に差額が生じているケースが多い
前述のとおり、投資その他の資産は、長期(1年超〜)保有が前提のものが多いです。そのため、帳簿価額と実質的な価値(≒時価)に大きな差額が生じやすい傾向があります。
例えば、投資有価証券の場合、時価評価がされていなかったり、時価評価されているものの、実態とかけ離れていたりする可能性があります。
また、バブルの時期に取得したリゾート施設の会員権は、帳簿価額と売買が成立する価格に大幅な差ができているケースも少なくありません。
評価の際には「回収可能性」を精査することが重要
以上のとおり、帳簿価額と実質的な価値に違いが生じているケースが多いため、評価時には「回収可能性」を精査することが重要です。
売却時に帳簿価額(≒取得価額)を全額回収できる前提で投資やM&Aを行うと、後からごく一部しか回収できないことが発覚する恐れがあります。
こうした事態を回避するためにも、財務情報の確認だけでなく、1つひとつの資産を個別に評価することが重要です。ただし、全ての資産を個別評価することにはコストや労力がかかるため、影響度合いの高い資産を見極めることがおすすめです。
まとめ
投資その他の資産の意味や構成項目を知っておくと、対象企業における財務の実態をより正確に把握できるようになります。つまり、「どのくらい重要な資産を持っているのか」、「回収可能性が低い資産をどの程度持っているか(リスクが大きいか)」が分析でき、投資やM&Aのリスク軽減にもつながるのです。
また、基本的な知識を把握しておくだけでも、日々の会計処理をスムーズに行えるようになるでしょう。
【期間限定】会計ソフト移行で最大70万円ポイント還元!
オンプレミス型・インストール型をご利用の企業様へ。 移行作業をプロに任せる「導入支援サービス(サクセスプラン)」の費用相当額が、最大70万円分ポイント還元されるお得なキャンペーンを実施中です。
最後までこの記事をお読みの方に人気のガイド3選
最後に、ここまでこの記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料を紹介します。こちらもすべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
固定資産管理と減価償却の基本
固定資産管理の基本知識や流れ、ソフトウェアやシステム資産の管理と減価償却のポイントなどを解説した分かりやすいガイドです。
基本版の1冊として、多くの経理担当者の方にダウンロードいただいていおります。
経理のための固定資産管理見直しガイド
表計算ソフトでの固定資産管理に限界を感じる企業も多いのではないでしょうか。
経理業務における固定資産管理の見直しを検討している企業向けに、基本的な固定資産管理の業務の流れと、効率的な管理方法を詳しく解説した人気のガイドです。
マネーフォワード クラウド固定資産 サービス資料
マネーフォワード クラウド固定資産は、固定資産に関わる担当者全員がラクになる、複数台帳管理可能なクラウド型固定資産管理システムです。
クラウド上で資産の情報を一括管理できるため、最新の情報がすぐに見つかります。償却資産税申告書や法人税別表十六などの帳票が出力可能で、固定資産管理〜税務申告までを効率化します。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
- # 勘定科目・仕訳
門松の勘定科目は?購入した際の仕訳をわかりやすく解説!
企業の経理担当者や自営業者の中には、門松の購入費用が経費に計上できるか気になっている方もいるでしょう。立派な門松を購入・レンタルすると高額になる場合もあるため、可能であれば経費に計…
詳しくみる - # 勘定科目・仕訳
挨拶まわりのタオル代を経費に!仕訳に使う勘定科目まとめ
兼ねてより付き合いがある取引先に対し、年初めにタオルを配布して回る慣習を持つ場合があります。挨拶まわりのタオル代は経費にできるのか、疑問を持っていませんか。 タオルに限らず、取引先…
詳しくみる - # 勘定科目・仕訳
為替手形とは?仕組みや仕訳例、印紙税の金額などを解説
為替手形という手形がありますが、通常の約束手形や工業手形とは何が違うのでしょうか。今回は為替手形という手形独特の仕組みと流れと項目を説明した上で、為替手形を理解するために必要な、支…
詳しくみる - # 勘定科目・仕訳
有償支給取引の仕訳とは?会計処理や消費税の扱いをわかりやすく解説
製造業や委託加工を行っている企業では、「有償支給」の取引がよく行われます。しかし、実際に仕訳をしようとすると、「どの勘定科目を使えばいいの?」「消費税はどう処理するの?」など、悩ま…
詳しくみる - # 勘定科目・仕訳
産業廃棄物処理費の仕訳に使える勘定科目まとめ
事業を運営するなかで発生した粗大ごみや解体工事などで出たごみは、産業廃棄物として処理しなければなりません。処理には収集や運搬をする委託事業者の費用やゴミ処理券の購入費用が発生します…
詳しくみる - # 勘定科目・仕訳
初穂料の勘定科目は?玉串料や祈禱料との違いも解説
法人が神社仏閣等に初穂料を支払った場合、寄附金あるいは雑費の勘定科目で経費計上できます。しかし、個人事業主は経費に計上できないとする判例があり、個人事業主が初穂料を支払った場合は事…
詳しくみる
会計の注目テーマ
- 損益分岐点
- 勘定科目 消耗品費
- 国際会計基準(IFRS)
- 会計帳簿
- キャッシュフロー計算書
- 予実管理
- 損益計算書
- 減価償却
- 決算報告書
- 財務分析
- 総勘定元帳
- 資金繰り表
- 連結決算
- 支払調書
- 経理の仕事
- 会計ソフト
- 貸借対照表
- 外注費
- 勘定科目 交際費
- 法人の節税
- 法人税 節税
- 給付金
- 手形
- 損金
- 決算書
- 勘定科目 福利厚生
- 法人税申告書
- 原価計算 棚卸資産評価
- 勘定科目 引当金
- 財務諸表
- 勘定科目 修繕費
- 仕訳 仮勘定
- 仕訳 のれん
- 一括償却資産
- 工具器具備品
- 勘定科目 地代家賃
- リース取引
- 中小企業 業務課題
- 税理士
- 原価計算
- 軽減税率
- 簡易課税
- 法人税申告
- 税務調査
- 貸倒引当金
- 売掛金 会計処理
- 電子帳簿保存法
- 粉飾決算
- 勘定科目
- 勘定科目 固定資産
- 勘定科目 税務
- 勘定科目 業種別
- 勘定科目 収益
- 勘定科目 車両費
- 簿記
- 勘定科目 水道光熱費
- 資産除去債務
- 圧縮記帳
- 会計ソフト 運用
- 利益
- 経理 効率化
- 前受金
- 固定資産
- 勘定科目 営業外収益
- 月次決算
- 勘定科目 広告宣伝費
- 益金
- 資産
- 勘定科目 人件費
- 勘定科目 負債
- 予算管理
- 勘定科目 流動資産
- 棚卸
- 資金繰り
- 会計システム
- 原価計算 売上原価
- 未払金
- 労働分配率
- 飲食店 経理
- 電子帳簿保存法 保存要件
- 売上台帳
- 勘定科目 前払い
- 収支計算書
- 収支報告書
- 勘定科目 荷造運賃
- 勘定科目 支払手数料
- 仕訳 固定資産
- 消費税
- 借地権
- 役員報酬
- 中小企業
- 勘定科目 損害
- 勘定科目 被服費
- 仕訳
- 仕訳 金融商品
- 決算
- 預金
- 会計の基本
- 勘定科目 仕入れ
- 仕訳 仕入
- 経費精算
- 経費精算 領収書
- 勘定科目 資産
- 原価計算 原価率
- 電子帳簿保存法 対応
- 電子帳簿保存法 対応 ケース別
- 減価償却 機械 設備
- 勘定科目 旅費交通費
- 旅費交通費
- 減価償却 少額資産
- 勘定科目 資本
- 小口現金
- 電子取引
- 勘定科目 固定資産 車両
- 個人事業主 経費 固定資産
- 勘定科目 固定資産 PC
- 勘定科目 固定資産 建物
- 勘定科目 通信費
- 法人税
- 連結納税
- 勘定科目 保険料
- 督促状
- 請求管理
- 勘定科目 諸会費
- 入金
- 消込
- 債権管理
- M&A 資本政策
- 決算公告
- 決算業務
- スキャナ保存
- 仕訳 経費
- 経費精算 効率化
- 債権
- 電子記録債権
- 売掛金回収
- 口座振替
- 確定申告 法人
- 入出金管理
- 与信管理
- 請求代行
- 決済代行
- 財務会計
- 小切手
- オペレーティングリース
- 新リース会計
- 購買申請
- 消費税 会計処理
- ファクタリング
- 償却資産
- 会計基準
- 法人税 関連税



