- 更新日 : 2024年8月8日
明瞭性の原則とは?具体例から解説
明瞭性の原則は、企業会計原則の一般原則の4つ目に示されている原則です。どのような内容の原則なのか、その必要性と具体例もあわせて解説していきます。
明瞭性の原則とは?
企業会計原則、一般原則の明瞭性の原則では、以下の内容が示されています。
”四 企業会計は、財務諸表によって、利害関係者に対し必要な会計事実を明瞭に表示し、企業の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならない。”
財務諸表(決算書)は、利害関係者にとって、企業の状況を知るための重要な情報のひとつです。決算書をわかりやすく表示するほか、貸借対照表や損益計算書を見ただけでは知り得ない情報を明確に表示することを明瞭性の原則では求めています。
企業会計原則の一般原則については以下の記事でも解説していますので、こちらも参照ください。
明瞭性の原則はなぜ必要なのか
財務会計において、決算書は利害関係者に企業の財政状態や経営成績などを伝える役割があります。こうした決算書が企業内部の状況を知り得ない外部の利害関係者に誤解を与えるようなものだと、当利害関係者が誤った判断をする可能性があります。
明瞭性の原則があるのは、企業外部の利害関係者も含めて決算書の内容について適切に把握できるようにするためです。決算書を明瞭に表示させることなどで、情報発信者と受け手の間で誤解が生じないようにしています。
明瞭性の原則の具体例とは
明瞭性の原則の具体例には、代表的なものとして次のようなものがあります。
- 区分表示損益計算書を営業損益や経常損益で分けるなど表示方法を区分すること。
- 明瞭な科目の分類貸借対照表において1年基準で科目を分類するなど見やすい分類を採用すること。
- 明瞭な科目の配列貸借対照表で流動性の高い科目から表示するなど見やすい配列にすること。
- 総額表示損益計算書の売上高や売上原価の表示のように取引の総額を表示すること。
- 重要な会計方針の開示決算書の理解のために重要な会計方針、例えば有価証券の評価基準や評価方法、棚卸資産の評価基準や評価方法、固定資産の減価償却方法などを注記すること。
- 重要事項の注記特殊な方法で使用・運用する資産の状況、保証債務の注記、後発事項には該当しないものの重要な事項など、重要または特殊な事項を注記すること。
- 重要な後発事項の開示重大な損害、企業合併や譲渡、多額の増資や減資、主要取引先の倒産など、貸借対照表作成日以後に発生した事象で、その後の企業の財政状態や経営成績に影響を及ぼしかねない事項を注記すること。
明瞭性の原則は決算書の明瞭な表示や注記に関する原則
明瞭性の原則は、企業の内情を知り得ない企業外部の利害関係者が判断を誤らないように、決算書の明瞭な表示や注記について求めた原則です。決算書の区分表示や重要事項の注記などが具体例としてあり、企業は明瞭性の原則に対応するために、決算書の適切な作成や必要事項の注記を行う必要があります。
よくある質問
明瞭性の原則とは?
決算書の明瞭な表示や決算書の内容だけでは知り得ない重要な事項を注記することを求めた原則です。詳しくはこちらをご覧ください。
明瞭性の原則の具体例は?
区分表示、明瞭な科目の分類、明瞭な科目の配列、総額表示、重要な会計方針の開示、重要事項の注記、重要な後発事項の開示、などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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