- 更新日 : 2024年8月8日
香典を経費にする時の仕訳に使う勘定科目まとめ
従業員や取引先などに会社として香典をお渡しする場合は、経費にできます。仕訳の際は、亡くなった方との関係性によって勘定科目を使い分けることが必要です。従業員やそのご家族の場合は福利厚生費、取引先の場合は接待交際費を使用しましょう。本記事では、香典の仕訳に使える勘定科目を、仕訳例とともにご紹介します。
香典の仕訳に使える勘定科目
葬儀の際に会社として香典をお渡しする場合、香典にかかる費用は経費として計上できます。
香典の仕訳に使える勘定科目は以下の2つです。
- 福利厚生費
- 接待交際費
会社と故人の関係性により、勘定科目を使い分ける必要があります。それぞれの勘定科目を使用した仕訳例については、後の章で解説しているため、ぜひ参考にしてください。
このように、会社としてお渡しする香典にかかる費用は経費にできますが、その金額は社会通念上の常識範囲内である必要があります。あまりにも高額な香典の場合、経費として認められず、相手に所得税が課税される可能性もあるため注意が必要です。税務調査が入った際に説明を求められることもあります。亡くなった方の役職によって、香典額の相場は異なるため、社会通念上の役職別による金額相場を理解しましょう。
亡くなった方の役職 | 香典額の相場 |
---|---|
創業者・会長・社長 | 30,000〜100,000円 |
副社長・役員 | 10,000〜100,000円 |
会長や社長のご家族・ご親戚 | 10,000〜50,000円 |
取引先の担当者 | 5,000〜30,000円 |
上記のとおり、亡くなった方の役職や関係性によって相場は変わってきますが、基本的には10万円が社会通念上の上限と言えます。
香典を福利厚生費で仕訳する
従業員やその家族に対して香典をお渡しする場合は、福利厚生費として処理しましょう。福利厚生費とは、会社が従業員のために給与以外のサービスとして提供するものです。なお、退職した従業員の香典も、福利厚生費として処理できます。
仕訳の際は、税務調査が入った時に説明できるよう、摘要欄に香典代と記載しておきましょう。
仕訳例は以下のとおりです。
(例)副社長のご家族が亡くなったため、50,000円の香典をお渡しした。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
福利厚生費 | 50,000円 | 現金 | 50,000円 | 香典代 |
香典を接待交際費で仕訳する
取引先の関係者にお渡しする香典については、接待交際費で処理しましょう。現在取引中の関係者だけでなく、近い将来取引を行う予定である関係者に対する香典についても、接待交際費で処理できます。
しかし、以下のように、社員と同様の仕事をしていると判断される方に出す香典については、税務上交際費とは認められません。
- 下請け企業の経営者・従業員
- フランチャイズ契約を結んでいる企業の経営者・従業員
個人事業主の場合、ビジネス上付き合いがある方への香典は、税務上交際費として認められます。
仕訳例は以下のとおりです。
(例)取引先Aの役員が亡くなったため、30,000円の香典をお渡しした。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
接待交際費 | 30,000円 | 現金 | 30,000円 | 香典代 |
香典を渡す相手との関係性によって勘定科目を使い分ける
今回は、香典を経費に計上する際の勘定科目と仕訳例について解説しました。会社として社員や取引先などに対して香典をお渡しする際は、経費に計上できます。使用される勘定科目は、福利厚生費と接待交際費です。亡くなった方との関係性によって、適切な勘定科目を使用しましょう。また、社会通念上の香典額相場を理解し、相場に合った香典額を設定することも大切です。この記事を参考に、ぜひ適切な会計処理を行ってください。
よくある質問
香典は経費にできる?
自社の従業員やその家族、取引先に対して会社として渡す香典については経費に計上でき、福利厚生費や接待交際費として処理します。詳しくはこちらをご覧ください。
香典を福利厚生費で仕訳するポイントは?
従業員やその家族、退職した従業員の香典については福利厚生費として処理し、摘要欄に香典代と記載しておきましょう。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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