- 更新日 : 2024年8月8日
仲介手数料の仕訳と勘定科目まとめ
不動産を購入するときや借りるときには、不動産会社に仲介手数料を支払います。不動産の購入や賃貸が事業に関わるときは、仲介手数料を経費として計上することが可能です。どの勘定科目で仕訳をするのか、具体的な例を挙げて解説します。
仲介手数料とは
仲介手数料は、一般的に不動産会社に支払う手数料のことを指します。不動産を賃貸するときも取得するときも、上限が決まっている点に注意しましょう。
賃貸においては家賃の1ヵ月分とその消費税、取得においては、取引額が400万円を超える場合は、取引額の3%+ 6万円とその消費税が上限となります。
参考:宅地建物取引業法
仲介手数料の会計処理と仕訳
事業に関連する不動産を賃貸あるいは取得した場合、不動産会社に仲介手数料を支払うことが一般的です。それぞれの会計処理と仕訳について解説します。
不動産を取得した場合
事業に関する不動産を取得したとき、不動産会社に支払った仲介手数料は経費計上することが可能です。ただし、土地の取得に関する仲介手数料は経費計上できません。不動産投資を行うときや事業所を購入するときなどは、建物の費用だけでなく建物取得する際にかかった仲介手数料も正しく経費計上しましょう。
仲介手数料は、取得費用の一部です。不動産の代金と合算して資産として扱うことができます。例えば、事務所として鉄筋コンクリート造の建物を1億円で購入し、仲介手数料を300万円支払った場合は、以下のように仕訳ができます。
<購入時>
借方 | 貸方 | 摘要 | |||
---|---|---|---|---|---|
建物 | 103,000,000円 | 普通預金 | 103,000,000円 | 事務所の建物購入 (仲介手数料300万円含む) |
鉄筋コンクリート造の建物の法定耐用年数は50年です。新築で購入した場合は、決算期には以下のように仕訳ができます。
<決算時(定額法)>
借方 | 貸方 | 摘要 | |||
---|---|---|---|---|---|
減価償却費 | 2,060,000円 | 建物 | 2,060,000円 | 事務所の建物(1年目) |
不動産を賃貸した場合
事務所を借りるときの仲介手数料は、支払手数料として経費計上することができます。仲介手数料が20万円の場合は、以下のように仕訳をします。
借方 | 貸方 | 摘要 | |||
---|---|---|---|---|---|
支払手数料 | 200,000円 | 預金 | 200,000円 | 事務所の賃貸契約時の仲介手数料 |
自宅兼事務所の場合は、家事按分して事務所の分だけ経費計上します。仲介手数料が20万円で、広さが100平方メートル、そのうち事務所の広さが40平方メートルの場合は20万円×40/100=8万円を経費計上できます。
借方 | 貸方 | 摘要 | |||
---|---|---|---|---|---|
支払手数料 | 80,000円 | 預金 | 80,000円 | 事務所の賃貸契約時の仲介手数料 |
正しい勘定科目で仲介手数料を経費計上しよう
事業に関係する不動産を取得するとき、あるいは賃貸するときに不動産会社に支払う仲介手数料は、経費計上することができます。取得するときは建物の代金などの他の取得費と合算して「建物」の勘定科目で仕訳をします。決算期には「減価償却費」として耐用年数に基づいて仕訳をしましょう。
一方で賃貸の場合は、「支払手数料」の勘定科目で仕訳をします。支払手数料の勘定科目を使うことは多いので、摘要欄に仲介手数料であることを明記しておくようにしましょう。
よくある質問
仲介手数料とは?
不動産を購入するときや借りるときに不動産会社に支払う手数料のことです。上限が法律で定められているので、正しい金額を請求する必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。
仲介手数料の会計処理のポイントは?
事業関連の不動産であれば経費計上できます。賃貸の場合は「支払手数料」として計上します。購入の場合は、不動産の取得費用として不動産代金も合算して「建物」とし、決算期には「減価償却費」として記載します。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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