- 更新日 : 2024年8月8日
減価償却費は決算書にどう記載する?減価償却累計額も解説
減価償却費は、貸借対照表やキャッシュフロー計算書などの決算書に記載しなくてはいけません。具体的な書き方を直接法と間接法に分けて仕訳例を挙げて解説するので、ぜひ参考にしてください。また減価償却累計額と減価償却費の違いについても説明します。
目次
決算書のどこに減価償却が記載されている?
減価償却費や減価償却累計額については、決算書に記載されています。明細のどこに記載されているのか、決算書の見方を解説します。
貸借対照表
貸借対照表では、固定資産として取得金額を記載し、減価償却累計額を差し引いた金額を減価償却累計額の下に記載します。この金額はまだ費用化していない固定資産の金額(将来的に減価償却費になる)を示します。
有形固定資産
建物および建造物 5,000,000
減価償却累計額 △ 800,000
建物および構築物(純額) 4,200,000
機械装置および運搬具 4,000,000
減価償却累計額 △ 600,000
機械装置および運搬具(純額) 3,400,000
損益計算書
損益計算書では、販売費および一般管理費の中に減価償却費を記載します。
科目 | 金額 | |
---|---|---|
Ⅰ 売上高 | 10,000,000 | |
Ⅱ 売上原価 | ||
期首棚卸高 | 1,000,000 | |
商品仕入高 | 5,000,000 | |
期末棚卸高 | 500,000 | 5,500,000 |
売上総利益 | 4,500,000 | |
Ⅲ 販売費および一般管理費 | ||
減価償却費 | 450,000 |
キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書では、営業活動によるキャッシュフローに、その年の減価償却費を記載します。
決算書に減価償却を表示する方法
損益計算書や貸借対照表などの決算書には、減価償却費を記載することが必要です。事前に仕訳をしておくと決算書に記載しやすくなるだけでなく、合わないときに原因を調べられるので便利です。また貸借対照表では、減価償却累計額をマイナスで表示する点にも注意しましょう。
直接法
直接法とは、減価償却した金額を直接記載する方法です。40万円で購入した軽自動車((法定耐用年数4年))を定額法で減価償却した場合、以下のように仕訳ができます。なお直接法では、今までに減価償却した金額を表示できません。
(2022年40万円で購入) |
間接法
間接法では、減価償却累計額を貸方に記載します。例えば毎年10万円ずつ減価償却している場合は次のように記載できます。
(2022年40万円で購入) |
減価償却累計額と減価償却費の違い
減価償却費とは当期に費用として計上する金額を指します。一方、減価償却累計額とは当期に計上する金額と今までに計上した金額の合計額です。購入金額から減価償却累計額を差し引くと、まだ費用化していない固定資産の金額がわかります。
記載個所の違い
減価償却費は損益計算書の費用の欄に書き込みます。一方、減価償却累計額は貸借対照表の資産の欄に書き込みます。
記載方法の違い
減価償却費はその年の経費計上額だけを書きます。例えばその年分の減価償却費が10万円であれば、10万円のみです。
一方で減価償却累計額は、その年の計上額と今までに計上した額を合算した金額です。今までに30万円減価償却費を計上してきたなら、今年分と合わせて40万円を記載します。
減価償却費を正しく記録しよう
減価償却費を正しく仕訳をして、それをもとに決算書に正しく記録します。仕訳をするときには直接法と間接法がありますが、減価償却累計額を記載したいときは間接法を選びましょう。
よくある質問
減価償却は決算書のどこに記載されていますか?
損益計算書では販売費および一般管理費の中、キャッシュフロー計算書では営業活動におけるキャッシュフローの中に記載されています。一方、貸借対照表では固定資産の中に減価償却累計額として記載されています。詳しくはこちらをご覧ください。
決算書に減価償却費を記載するには、どのような方法がありますか?
直接法と間接法があります。直接法では現時点で減価償却した金額については記載できますが、減価償却の累計額は記載できません。一方、間接法では貸方に減価償却した累計額を記載します。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
減価償却の関連記事
新着記事
小切手の銀行渡りとは?メリットや手続き、必要書類、廃止の方針などをわかりやすく解説
「銀行渡り」という言葉を聞いたことはあっても、その仕組みや使い方について詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。銀行渡りとは、小切手をより安全に利用するための仕組みで、企業間の取引や高額な決済などで広く使われています。本記事では、銀行渡…
詳しくみる小切手は2026年度末までに廃止予定!理由や電子記録債権(でんさい)などの代替手段を解説
2026年度末(2027年3月末)に、紙の小切手が完全に廃止されます。小切手は日本企業の取引で長年使われてきましたが、効率性の問題や不渡り・紛失などのリスクから電子決済への移行が求められています。この変化は、企業だけでなく、小切手を使ってい…
詳しくみる小切手とは?仕組みや種類、メリット、換金方法、廃止の方針などをわかりやすく解説
小切手は、主に企業間取引で利用される、現金に代わる便利な決済手段です。しかし、普段の生活では使う機会が少ないため、詳しい仕組みや使い方がよくわからないという人も多いかもしれません。本記事では、小切手の基本的な仕組みや手形との違いをはじめ、小…
詳しくみる約束手形の支払期日は60日に短縮!当日持ち込みの方法や3営業日を過ぎた場合の対応も解説
約束手形は日本の企業間取引で広く使われていますが、その取り扱いを誤ると資金繰りや信用に大きな問題が生じます。特に、支払期日のルールや銀行への持ち込み手続きを正確に理解しておかないと、思わぬトラブルに発展することがあります。この記事では、約束…
詳しくみる約束手形の銀行持ち込みはいつまで?期限を過ぎた場合の対応や廃止に向けた方針も解説
約束手形は、企業間取引における信用決済の手段として長年利用されてきた有価証券です。買掛金の支払いを一定期間先に延ばすことができるため、資金繰りの調整や信用取引の証として機能してきました。一方で、手形の管理や取り扱いには専門的な知識が必要であ…
詳しくみる約束手形の裏書とは?書き方や譲渡するメリット・デメリット、仕訳などをわかりやすく解説
約束手形は商取引で多く利用される信用取引の代表的な手段です。その中でも「裏書」は、手形を他者に譲渡するための重要な手続きであり、資金流動性や企業間信用の強化に大きく関わります。 この記事では、約束手形の裏書の基本的な内容から、メリット・デメ…
詳しくみる